現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「水没車」どこまで復活できる? 豪雨続きで「水浸し」のクルマ増加!? 「ギリ乗れる」or「即廃車」のボーダーラインはあるのか

ここから本文です

「水没車」どこまで復活できる? 豪雨続きで「水浸し」のクルマ増加!? 「ギリ乗れる」or「即廃車」のボーダーラインはあるのか

掲載 18
「水没車」どこまで復活できる? 豪雨続きで「水浸し」のクルマ増加!? 「ギリ乗れる」or「即廃車」のボーダーラインはあるのか

■復旧可能か廃車かの“分かれ道”はどこに?

 近年はゲリラ豪雨や線状降水帯による集中豪雨が発生し、多数のクルマが水没しています。
 
 テレビのニュースでは、冠水した道路を水しぶきをあげながら走行するクルマの映像を見ることがありますが、クルマがどこまで耐えられるのかは気になるところです。
 
 水没車の復旧作業をおこなった経験がある整備士に聞いてみました。

【画像】「えっ…!」これが泥まみれになった「水没車の車内」です!

 今回話を聞いたT整備士が住むエリアは、普段から落雷やゲリラ豪雨の発生が多いといいますが、これまでは短時間に大雨になることは少なく、クルマが水没するとは考えられなかったケースがほとんどだったそうです。

「お客様にお持ち込みいただいたのはトヨタ『カローラルミオン』(初代)とホンダ『フィット』(2代目)でした。

 水没車の復旧は諦めるケースが多いのですが、両車ともなんとか自走できるとのことで、それなら復旧できる可能性は高いと判断しました。

 通常は水没によって電気系統がショートし、さまざまな電子部品が使えなくなってしまいます。今回はちょっと古い車種だったこともあって、先進運転支援システムのような複雑な電子機構を搭載していなかったことが幸いし、自走ができた可能性があります」

 通常、冠水時に車内に入り込む水は土砂を大量に含んだ泥水であり、乾燥しても大量の砂やゴミなどがあらゆる箇所に残留し、エンジンルーム内は茶色い土砂が残り、回路をつなぐカプラー内も砂だらけになります。

 今回の水没車はシートの座面が水で浸ってしまうほどの被害を受けたほか、さらにショートしてしまった箇所が多数あったといいます。

 では、どのような手順で復旧作業を行なうのでしょうか。

「水没したフィットはまずはシートを取り外し、フロアはカーペットまで全部剥がしました。このカーペットはたとえ洗浄しても、強烈な悪臭が取れなくなってしまうため、交換が前提です。

 またダッシュボードやセンターコンソール、そのほかのパネルも外せるところはすべて外し、主にスチームを用いて徹底的に洗浄しました」(T整備士)

 ちなみに取り外したシートもすべて分解し、内包されるスポンジやウレタンなども洗浄・乾燥を行ったとのこと。シートも交換する予定でしたが、純正の交換パーツの在庫がすでにないため、やむなく洗浄し再利用することになったといいます。

「自走できたのは救いでしたが、パワーウインドウはレギュレーターがダメになってしまい、左右のシートベルト・テンショナーは分解清掃をしました。

 搭載される地デジチューナーも水没しましたが、分解清掃後に乾燥させて復活させるなど、できる限りのことはやりました。ただし、エアバッグのCPUなども影響を受けて誤動作する可能性を残しています」(T整備士)

 一度クルマが水没してしまうと、いつ壊れてもおかしくない危険性となっています。

 今回、フィットはギリギリ復旧できたものの、ルミオンは残念ながら全損扱いに。車種や形状、搭載される精密機器の被害具合で、復旧できるか否かが分かれるようです。

「今回は急な増水による被害だったため、思いのほか冠水が汚れていなかったのが幸いし、1台は救出できましたが、河川の氾濫などでさらに土砂を含んだ濁流だったら復旧できなかったでしょう。

 それでも1台は廃車になるなど、完全に臭いを除去するのは難しいです」(T整備士)

 T整備士の判断では、車種によっても差はあるものの、ドアの半分程度、座面が水に浸ってしまう、またはシフトゲートが水没するあたりまでが、復旧できるかどうかの境界線と言えそうです。

「必ずしもカバーしてもらえるばかりではありませんが、可能なら車両保険に加入し全損扱いとして中古の同じ車種に乗り換えたほうが安全です。

 また電子機器が多いハイブリッド車などは完全復旧が難しいかもしれません」(T整備士)

※ ※ ※

 最近の洗浄技術は進化しており、電子部品なども冠水したときに通電していなければ、洗浄と乾燥で復旧するケースも多いそうですが、どうしても痕跡は残ってしまいます。

 冠水被害に遭う前にクルマを移動させたり、冠水路は迂回するという算段を考えておきたいところです。

文:くるまのニュース くるまのニュースライター 金田ケイスケ
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

悲願の「平戸直結」ついに実現! 西九州道「松浦~平戸」開通で何が変わる?
悲願の「平戸直結」ついに実現! 西九州道「松浦~平戸」開通で何が変わる?
くるまのニュース
祝デリカD:5新型発表(マイチェン)「次期デリカは?」に「デリカのファンに聞くとみんな100%が…」
祝デリカD:5新型発表(マイチェン)「次期デリカは?」に「デリカのファンに聞くとみんな100%が…」
ベストカーWeb
イケウチ、大阪府高槻市に板金塗装専門店を12月20日オープン…北摂エリアのサービス網強化
イケウチ、大阪府高槻市に板金塗装専門店を12月20日オープン…北摂エリアのサービス網強化
レスポンス
ニッサン、ミニバンの『セレナ』に外観デザイン刷新や機能拡充のマイナーチェンジ。オーテックも登場
ニッサン、ミニバンの『セレナ』に外観デザイン刷新や機能拡充のマイナーチェンジ。オーテックも登場
AUTOSPORT web
「え!やば!」 狩野英孝さんのJAL便搭乗券が“粋すぎ仕様”でSNS話題沸騰! 券面には「意外すぎる」文字も
「え!やば!」 狩野英孝さんのJAL便搭乗券が“粋すぎ仕様”でSNS話題沸騰! 券面には「意外すぎる」文字も
乗りものニュース
日産が「“新”スカイライン」発売! “純ガソリンエンジン”の咆哮と「FRハンドリング」の楽しさを追求できる「究極モンスターセダン」登場! “日産スポーツ魂”を継ぐ「400Rリミテッド」はバーゲンプライス!?
日産が「“新”スカイライン」発売! “純ガソリンエンジン”の咆哮と「FRハンドリング」の楽しさを追求できる「究極モンスターセダン」登場! “日産スポーツ魂”を継ぐ「400Rリミテッド」はバーゲンプライス!?
くるまのニュース
ユーグレナのバイオディーゼル燃料「サステオ」、10トントラック2台で長距離輸送に利用開始
ユーグレナのバイオディーゼル燃料「サステオ」、10トントラック2台で長距離輸送に利用開始
レスポンス
サムスンSDI、米ESS市場に本格参入…角形LFP電池を2027年から供給へ
サムスンSDI、米ESS市場に本格参入…角形LFP電池を2027年から供給へ
レスポンス
FBIが最重要指名手配者の所有する6台しか製造されていないメルセデスCLK GTRロードスターの1台を押収した!その価値20億円!
FBIが最重要指名手配者の所有する6台しか製造されていないメルセデスCLK GTRロードスターの1台を押収した!その価値20億円!
AutoBild Japan
史上初の艦名! 最新自衛艦「けらま」進水 日本最大級のプラスチック船その理由は?
史上初の艦名! 最新自衛艦「けらま」進水 日本最大級のプラスチック船その理由は?
乗りものニュース
価格約38万円! ホンダ「PCX」なぜ人気? 「原付二種スクーター」の“絶対王者”は「15年目」を迎えてもなお衰えない魅力も! 「日常の足」に良い定番モデルの最新の動向は?
価格約38万円! ホンダ「PCX」なぜ人気? 「原付二種スクーター」の“絶対王者”は「15年目」を迎えてもなお衰えない魅力も! 「日常の足」に良い定番モデルの最新の動向は?
くるまのニュース
トヨタ『ヤリスハイブリッド』、MKチャリティカップ優勝副賞を福祉施設へ寄贈
トヨタ『ヤリスハイブリッド』、MKチャリティカップ優勝副賞を福祉施設へ寄贈
レスポンス
「万葉の歌に導かれてサイクリング」 富山県高岡市で出会う歌と景色は特別な体験!!
「万葉の歌に導かれてサイクリング」 富山県高岡市で出会う歌と景色は特別な体験!!
バイクのニュース
世界初になる「自動運航の“フェリー”」に乗った! 車の自動運転と全然違う! 「海の銀座」瀬戸内海でレベル4相当
世界初になる「自動運航の“フェリー”」に乗った! 車の自動運転と全然違う! 「海の銀座」瀬戸内海でレベル4相当
乗りものニュース
トヨタ「最新・最安ランドクルーザー」が凄い! ガバっと開く“観音開きドア”&「リッター10キロ超え」のパワトレ採用! 最上級より「330万円以上オトク」なナナマルに注目!
トヨタ「最新・最安ランドクルーザー」が凄い! ガバっと開く“観音開きドア”&「リッター10キロ超え」のパワトレ採用! 最上級より「330万円以上オトク」なナナマルに注目!
くるまのニュース
HRCがミズノとパートナーシップ契約を締結。2026年からホンダ初の二輪/四輪の統一ユニフォームで世界のレースに参戦
HRCがミズノとパートナーシップ契約を締結。2026年からホンダ初の二輪/四輪の統一ユニフォームで世界のレースに参戦
AUTOSPORT web
三菱『デリカD:5』新型発売、価格は451万円から…SUVとミニバンが融合「三菱らしさ」武器に
三菱『デリカD:5』新型発売、価格は451万円から…SUVとミニバンが融合「三菱らしさ」武器に
レスポンス
『イタリア発 大矢アキオ ロレンツォの今日もクルマでアンディアーモ!』第63回【Movie】──アルファ・ロメオ115周年祭リポート! 若者アルフィスタは「年上」がお好き?
『イタリア発 大矢アキオ ロレンツォの今日もクルマでアンディアーモ!』第63回【Movie】──アルファ・ロメオ115周年祭リポート! 若者アルフィスタは「年上」がお好き?
くるくら

みんなのコメント

18件
  • tra********
    こんな工程普通の業者はお断りします
    だって買い換えた方が安いから
    余程、所有者が思い入れ有るか、業者がそこまでしても高い利益が得られるか…リスク考えたら普通廃車。
  • motorider
    泥水は即廃車。(濁っていないで)ホイールが半分くらい浸かるくらいならギリセーフかな。今のクルマは電子機器を満載しているので修理するのは工数が掛かり過ぎるので無理でしょう。隠して販売して後で発覚したら店が潰れるのは避けられないか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

177 . 7万円 257 . 8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

8 . 0万円 296 . 0万円

中古車を検索
ホンダ フィットの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

177 . 7万円 257 . 8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

8 . 0万円 296 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村