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ケータハム・セブン 420R チャンピオンシップへ試乗 孤高のワンメイクレーサー 前編

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ケータハム・セブン 420R チャンピオンシップへ試乗 孤高のワンメイクレーサー 前編

パワーウエイトレシオは911 GT3に匹敵

これまでにないほど威圧的なブラックのケータハム・セブンが、トレーラーから降ろされる。興奮するとともに、一抹の恐怖も感じる。このケータハムには、確かにこの色が一番似合うと思う。

【画像】ケータハム・セブン 420Rと170R スパルタンなスポーツモデルは他にも 全124枚

四角くフラットなテールが、まず先に姿を表す。鮮やかなレッドに塗られた、大きなロールケージがすぐに続く。エイボン社製のスリックタイヤが、粘っとした光沢を放つ。

磨かれた太いエグゾースト・サイレンサーが、陽光を反射する。フロントガラスはない。エンジンから伸びる4本のタコ足が、サイレンサーへ導かれている。フロントタイヤの上には、小さなサイクルフェンダーがかぶさっている。

ゼッケンは7番。数秒の時間をかけて、今日の試乗車が姿を表した。妥協なしに作り上げられた、ケータハム・セブン 420R チャンピオンシップというレースカーだ。その姿からして、忘れがたいインパクトがある。

このシングルシーターのケータハムは、現在販売されているセブンで最もパワフルなモデルではない。その栄光は620Rが保持している。スーパーチャージャーで加給される314psのモンスターは、どんなスーパーカーにも太刀打ちできる。

この420R チャンピオンシップの最高出力は、177ps。4気筒エンジンは自然吸気のまま。それでも重さ当たりの馬力、パワーウエイトレシオは最新のポルシェ911 GT3に匹敵する。

シーケンシャルMTにスリックタイヤ

420R チャンピオンシップは、ケーターハムのワンメイクレースに作られたサーキット専用マシン。このレースには4カテゴリーが存在するが、その最上位用モデルに当たる。911 GT3とは、直接戦うことはないだろう。

ケータハム 620Rのように、公道を走るための法規に準拠する必要もない。フロントガラスはなく、新製品だというタイヤには、溝もまったく彫られていない。

トランスミッションは通常のモデルと異なり、サデブ社製の6速シーケンシャルMT。過去にも公道用のセブンへ限定的に採用されたこともあるが、鋭いシフトアップと、素晴らしくメカニカルな感触を味わわせてくれる。

恐らく、最も精巧なデュアルクラッチATの感触をも超えると思う。そこから、ドディオン・アスクルに載るタイタン社製リミテッドスリップ・デフへパワーが導かれる。

エンジンは、フォード社製の2.0L 4気筒デュラテック・ユニット。スリックタイヤのグリップ力とパワーを受け止めるため、各部に補強が施され、A型フレームも剛性が高められている。

サスペンション・スプリングはアイバッハ社製で、ダンパーはビルシュタイン社製。サスペンションアームは新設計のものになり、キャンバー角の調整が可能だという。

420R チャンピオンシップに乗り込む方法は、ロールケージの上から身体を落とすのが良い。シートというより、身体が動かないようにするためのバケットに、腰をはめる。通常のケータハムより背もたれが寝ている。

エンジンの反応は敏感そのもの

正直いって、ドライビングシートは窮屈。目線は、クイックリリース・ボスの付いたモモ社製ステアリングホイール・リムの上をかすめるほど低い。

背の高いトランスミッション・トンネルにも、一切のパッドがない。縁石の段差に乗り上げると、跳ねるような振動で腰骨に衝撃が加わることを、後で思い知ることになる。

走るのは、英国西部のスランドウ・サーキット。余分なものが剥ぎ取られたセブン 420Rのエンジンを、ピットレーンでスタートさせると、エグゾーストノートが充満する。ステアリングホイールはコンクリートのように重い。LSDがガタガタと音を立てる。

アクセルペダルに対するエンジンの反応は、敏感そのもの。上質なガソリンがタンクを満たしているのだろう。燃料計はないものの、サーキット走行では45分で燃やし切るらしい。

公道用のケータハム 420Rですら、装備が豪華で居心地が良かったと思わせる。それよりスパルタンなクルマとなると、実際のところ、相当な我慢が求められる。

コースインしたら、まずはタイヤを温めなければならない。かなりのペースで走り込んで、冷え切ったゴムの温度がようやく上昇してくる。

ケータハム・チャンピオンシップ・シリーズでの優勝経験も持つ、豊富な知識を持った今日のサポートクルーの1人、ジョン・バーン氏ですら温めるのが大変だったと話していた。なるほど。

この続きは後編にて。

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