この記事をまとめると
■自販連と全軽自協がそれぞれ2024年5月単月の新車販売台数を発表した
全車種出荷再開のダイハツはどうなる? 2024年4月の新車販売台数を詳細分析した
■乗用車ではダイハツの出荷停止が尾を引いており小型乗用車の販売台数が減少した
■6月は暦年締めで上半期締めとなるので買いどきといえる時期が9月末まで続く
前年度を大きく下まわった2024年5月単月の新車販売台数
例年5月は大型連休明けから、事実上「夏商戦」がスタートする時期でもある。過去には夏商戦は「夏のボーナス商戦」などともいわれていたが、非正規雇用が増え、正社員でも「賞与」と呼ばれるボーナスのない企業が目立ってくるなど、雇用環境の変化から「労働者の誰もがボーナスをもらえる」ものでもなくなったので、いつからか「夏商戦」という表現となっていった。
ただ、ここ数年は新型コロナウイルスの感染拡大や、半導体不足などにより深刻な納期遅延などもあり、夏商戦などの「増販期」を意識した新車の販売促進活動ができなかったのだが、2024年は納期遅延もかなり改善が進んできたので、久しぶりに「夏商戦」を意識した販売促進活動ができるはずだったのだが……。6月3日、国交省(国土交通省)は、トヨタ、ホンダ、マツダ、スズキ、ヤマハの5社が型式指定を受けるための認証手続きに問題があったと発表した。
国交省の型式指定制度自体にも問題がないわけでもないとの意見があるなか、クルマ自体には問題はないとメーカー側は話しているが、消費者から見れば、たとえ実害のない話であっても、「それなら新車購入を見送るか」といった話にもなりやすく、夏商戦に暗雲が垂れ込みはじめているようにも見える。
ただ、自販連(日本自動車販売協会連合会/登録車)と全軽自協(全国軽自動車協会連合会)が発表した、2024年5月単月の新車販売台数は、今回の問題発表の影響はないものとなっている。
登録乗用車の2024年5月単月の新車販売台数は17万6693台(前年同期比98.3%)となっている。なかでも普通乗用車が前年同期比102%で小型乗用車の90.9%を上まわっている。
小型乗用車、いわゆる5ナンバー車ではそもそも最近ではラインアップ数自体「少数派」になりつつあるのだが、そのなかでダイハツの出荷停止が尾を引いた形でトヨタヘのOEM(相手先ブランド供給)車となる、ライズやルーミーといった、とくに車名(通称名)別新車販売ランキング上位のモデルが完全な復調傾向に至っていないことも影響しているようだ。ライズはいまだにハイブリッドモデルの生産が再開されていない(7月中旬再開予定)。
ホンダ・フリードもフルモデルチェンジ直前となり、販売台数が抑え気味となっているのも大きいようだ。
小型乗用車は普通乗用車の半分以下まで販売台数が減っており、たとえ数モデルといっても人気モデルの販売状況次第で小型乗用車全体の販売台数を左右してしまうのが小型乗用車の現状ともいえよう。
上半期末となる9月までの積極的な販売攻勢に期待
軽自動車では、軽四輪乗用車は8万4634台(前年同期比91.8%)となっている。ダイハツの全車種生産再開(ロッキーのハイブリッドなど一部を除く)となったものの、まだダイハツが完全復活(ダイハツの軽四輪乗用車は1万2435台で前年同期比42%)していないなか、スズキや三菱、ホンダ、日産の健闘が目立っている。
ちなみに2024年1月から5月の軽四輪車総台数での累計販売台数ではスズキの25万7019台に対し、ダイハツは8万2020台と、スズキに大差をつけられている。あえて計算しなくても暦年締めでの上半期(2024年1~6月)のブランド別軽自動車販売台数トップはスズキで確定したといっていいだろう。
また、事業年度締め上半期軽四輪車総販売台数でも現時点で17万4999台差がついているので、6月から9月の残り4カ月でその差を埋め、さらに販売台数を上積みしてダイハツがトップを獲るというのはほぼ不可能といっていいだろう。ちなみに現時点で累計販売台数ベースにてスズキに次いで2位になっているのはホンダだが、すでに14万台差を付けられているのでホンダがトップになることもまず考えられない。
スズキは届け出済み未使用軽中古車の流通台数は少なめであり、定点観測している専業店でも目立っていない。また軽四輪貨物ではダイハツのほうが多くの台数を販売している。つまり、新車購入でダイハツを敬遠するひとの受け皿にスズキがなっていることは間違いない。
ダイハツは、中古車市場において、とくに軽自動車の届け出済み未使用軽中古車を大量に見かけるので、現状でもダイハツの軽自動車が欲しいという人は届け出済未使用軽中古車に流れている(検査の手続き上の問題だからクルマには問題がないという意識を持つ消費者が多い)。ダイハツ以外のメーカーに積極的にお客が流れ込んできているわけでもないのだが、そのなかでスズキだけが吸収しているといっていいだろう。
6月は暦年締めでの上半期締めとなる。例年スズキは積極的に販売促進を行ってくるし、ダイハツも供給体制は5月の比ではなく復調してくるだろう。さらに、ホンダN-BOXは販売の勢いがいまひとつな様子なので、これから事業年度締めでの上半期末となる9月までは、日産や三菱も巻き込んで軽自動車はかなり積極的な販売攻勢が期待できる。買いどきといえる時期が9月末まで続くと筆者は考えている。
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みんなのコメント
今となってはあの国交省の動きと、マスコミの暴れっぷりはなんだったのかな。一体あの騒ぎ誰が得をしたのだろう。
改善してくれ