【WEC】プジョー、ハイパーカー『9X8』を初公開。”リヤウイングなし”の斬新スタイル！ 2022年WECに参戦

　2022年にLMH（ル・マン・ハイパーカー）規定のマシンでWEC（世界耐久選手権）に復帰する予定のプジョーは、開発中のハイパーカー『9X8』のイメージを初公開した。

　プジョーの親会社であるステランティスのモータースポーツ部門責任者であるジャン・マルク・フィノは、9X8にリヤウイングがないことを『革新的で大きな一歩だ』と表現した。

「その特徴（リヤウイング）を無くすことができるほどの空力効率を、我々は達成した」

　7月6日に行なわれたマシンの発表会で、彼はそう語った。

「どうやったのかは聞かないで！　我々はそれをできる限り秘密にしておきたいと思っているんだ」

　プジョー・スポーツでWECプログラムのテクニカルディレクターを務めるオリビエ・ジャンソニーは、次のように述べた。

「新しいLMHのレギュレーションは、従来の性能向上システムの重要性を平準化するために策定された」

「新しい技術規則は、空力に関してこれまでより大きな柔軟性を認めている。革新的なクルマの出現を促すような、急進的で新しい考え方ができ、デザインチームがより貢献できるようになる」

「プジョーのエンジニアとデザイナーは、この機会を効果的に利用して、新しい創造的なプロセスを考案し、既存の体系から脱却して、まったく新しいジャンルのハイパーカーを生み出したのだ」

　LMHのレギュレーションは、LMP1に比べて規定が少ない。最大ダウンフォースと最小ドラッグ（空気抵抗）の目標数値を含むパフォーマンス・ウインドウが設定され、マシンの性能をその中に収める事になっている。

　例えばLMP1では、ディフューザーのトンネル最大高は150mmと定められていたが、LMHでは自由となっている。また、スキッドプレートの設置が義務付けられている以外は、フロアがフラットである必要性もない。デザイナーはマシンのフロア下の気流を利用してダウンフォースを生み出すことができるようになっている。

　このルールは、メーカーがLMHのマシンに市販車のスタイリングを反映させることを可能にするために考案された。

　プジョーのデザインディレクターであるマティアス・ホッサンは9X8の発表に際し、「紛れもないプジョーの特徴」を採り入れていると説明した。

「9X8はプジョーだ。だから我々の仕事のヒントとなったオリジナルのスケッチは、今にも飛びかかろうとしている大きな猫を描いたもので、わずかに前傾したコックピットによってその姿勢を表現した」

「プジョー9X8の全体的なラインは、ブランドのスタイリングを表現しており、その滑らかでレーシーでエレガントなフォルムは、感情とダイナミズムを刺激する」

　プジョーは、新しいプロトタイプカーのネーミングについて、これまでのモデルに敬意を表して「9」で始まることを明かしていた。「X」はフロントアクスルにハイブリッドシステムを組み込んだ全輪駆動のパワートレインを意味する。「8」はプジョーの現行ストリートモデルが全て備えている数字である。

　2.6リッターのツインターボV6と200kWのフロントアクスルモーター・ジェネレーターユニットを搭載した新型9X8は、2022年のWECシーズン中どこかのタイミングで参戦を開始する予定だが、これは車両の初期テストが終わるまでは決定されないという。

　プジョーは2月にポール・ディ・レスタ、ジャン-エリック・ベルニュ、ケビン・マグヌッセン、ロイック・デュバル、グスタボ・メネゼス、ミケル・イェンセンをドライバーとして起用すると発表。さらにジェームス・ロシターがリザーブドライバーを務める。

　プジョーは2012年のWEC復活を前に耐久レース活動を打ち切っており、それ以来初めてトップレベルのスポーツカーレースに復帰することになる。