「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、ボルボ S60だ。
ボルボ S60(2011年:2代目フルモデルチェンジ)
ボルボのDセグメント セダン、S60がフルモデルチェンジされて2代目となった。先代同様の流麗なスタイルに新開発のエンジンも搭載し、画期的なセーフティテクノロジーも採用。そしてDセグメント輸入車初の「エコカー減税」対象車となっている。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
昨年(編集部註:2010年)に日本デビューを果たしたSUVのXC60や、マイナーチェンジしたコンパクトのC30、クーペのC70と同じデザインの流れを汲んでフルモデルチェンジされたS60。コンサバティブなボルボ ファンからは好き嫌いの分かれるフロントマスクだが、4ドアクーペ風の流麗なスタイリングとの相性は悪くなさそうだ。
基本フォルムは先代を踏襲しているが、ダブルウエーブのショルダーラインなど、抑揚のあるデザインとなった。また、日本市場のためにドアミラーステーやドアハンドルを専用開発し、全幅を本国仕様より20mm縮めたり、ドアミラーをたたんだときの車幅も狭められているあたりは、いかにもボルボらしい配慮だ。
最新ボルボのトレンドであるフローティングスタックが目をひくインテリアは、北欧家具調のシンプルで高品質なもの。視認性に優れて操作性の高いインターフェース、人間工学に基づいたシートなど、長く付き合っても飽きがこないよう、ボルボらしくまとめられている。
日本仕様のエンジンは、従来からの3L 直6ターボと1.6L 直4 直噴ターボの2種。ついにボルボもヨーロッパの他メーカー同様、エンジンのダウンサイジングをはじめてきたというわけだ。
街乗り中心なら1.6Lの直噴ターボでも十分だろう
まずは3Lターボを搭載した「T6」に乗る。駆動方式は4WDで、1800kg近い車重をものともせずに加速し、パワー的には十分以上。「ボルボ史上もっともダイナミックなクルマ」と謳われるだけのことはあって、素直なハンドリングでワインディングロードの走りが楽しめる。
本革シートやカーナビゲーションも標準装備し、高速ツーリングの機会が多く、予算にも余裕があるのならこちらを選ぶといいだろう。さらに辛口のモデルをお好みなら、足まわりを固めて外観も派手にまとめた「R-デザイン」が用意されている。
1.6L 直噴ターボを搭載した「DRIVe(ドライブe:ドライブイーと読む)」はボルボ初(Dセグメント輸入車としても初)のエコカー減税対象車だ。駆動方式はFF。低速時は直噴エンジン独特の音が気になるが、エンジン回転が上がれば問題ないだろう。
T6より車両重量が200kg以上軽いので、180psでも十分なパフォーマンスを発揮してくれる。しかも、ハンドリングはT6より軽快だ。デュアルクラッチ(DCT)のパワーシフトとの相性もいい。街乗り中心で使うなら、こちらで十分だろう。
安全運転支援装備の「ヒューマン・セーフティ」も設定された新型S60は、メルセデス CクラスやBMW 3シリーズといったドイツのDセグメント ライバル車に、価格でも装備でも十分に対抗できるクルマに仕上がっている。
■ボルボ S60 ドライブe 主要諸元
●全長×全幅×全高:4630×1845×1480mm
●ホイールベース:2775mm
●車両重量:1540kg
●エンジン種類:直4 DOHCターボ
●排気量:1595cc
●最高出力:132kW<180ps>/5700rpm
●最大トルク:240Nm<24.5kgm>/1600-5000rpm
●トランスミッション:6速DCT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:12.6km/L
●タイヤ:215/55R16
●当時の車両価格(税込):375万円
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みんなのコメント
新型S60はその美しさを更に洗練して表現していて絶妙なプロポーション。
R-デザインを検討している。