■超割り切り感がスゴイ! 新時代の商用車「ハイラックスチャンプ」
「ハイラックス」といえば、1985年公開の映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に主人公が憧れるクルマとして登場しました。
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さらに、イギリス公共放送BBCの自動車番組「トップ・ギア」ではビルの屋上から落とすなど過剰な試練にも耐える頑丈さが評価されて殿堂入りを果たし、また同番組では別のハイラックスが北極点に到達するなど、世界中で活躍してきたトヨタ自動車の由緒正しきピックアップトラック。
初代モデルのデビューは1968年と、50年以上の歴史を持っています。
一時期販売をお休みしていた日本国内でも、現在(2017年秋から)はタイからの輸入車という形で販売されており、スポーティ仕様の「GR SPORT」も展開。
タイミングによっては月販1000台を超えることもあり、ピックアップトラックというニッチな市場を考えれば隠れたヒット商品となっています。
そんなハイラックスですが、生産拠点となっている東南アジアのタイでは「ハイラックスREVO(レボ)」と呼ばれる通常モデルとは別に「ハイラックスCHAMP(チャンプ)」と呼ばれる新しいバージョンが登場しました。
2023年11月28日に現地で発表され、翌29日からのバンコクで開催された「タイモーターエクスポ」で公開されました。このチャンプはレボの後継モデルではなく、別のタイプとして並行販売されます。
実はこのハイラックス チャンプ、すでに日本でも姿がお披露目されています。
東京で今年開催された第1回「ジャパンモビリティショー」において、トヨタブースに複数台が展示されていた「IMV 0」と呼ばれる見慣れないトラックを覚えているでしょうか。
その市販版がハイラックス チャンプというわけです。実はこのハイラックス チャンプには大きな狙いがあります。それは「原点回帰」です。
かつてはワークホース的存在として廉価な実用車だったハイラックスですが、昨今は快適装備の採用や内装の上質化などもあってどんどん価格が上がってしまいました。
しかし、「もっとベーシックでリーズナブルなハイラックスとして、お客様のニーズに寄り添いたい」「もっとたくさんの人を幸せにするクルマにしたい」といった願いから、従来のハイラックス(レボ)よりも安価に販売できるクルマとして開発されたのです。
タイでの販売価格(物品税含む)は、ハイラックス レボのスタンダードモデルが56万4000バーツ(約230万円)からなのに対し、ハイラックス チャンプの販売価格は45万9000バーツ(約188万円)から。2割弱も安くなったインパクトは決して小さくありません。
筆者(工藤貴宏)は現地に出かけ実車を確認してきました。
まず感じたのは、クラシックなデザインです。従来の正統派ハイラックス レボが力強い顔つきをしたモダンなモデルなのに対して、派生モデルのハイラックス チャンプはクラシカルな雰囲気です。
フロントガラスがほぼ平板状なことや、外板パネルのプレスがシンプルなのもそう感じさせる理由かもしれません。
またグリルやデザインはレゴブロックで作ったかのような不思議な感覚で、高級感の代わりにカジュアルな親しみやすさを覚えました。ちなみにヘッドライトは、ベーシックなタイプがハロゲン、上級タイプはLEDとなっています。
さらに興味深かったのはインテリアです。ドアトリムはほぼ1枚の樹脂、助手席のシートは調整機能のない固定式、シート下のフロアはカーペットがなく鉄板むき出しなど、コストを抑える工夫が髄所に盛り込まれていました。
驚いたのはエアコンです。
ヒーターがなくクーラーだけというのは現地のベーシックタイプのクルマによくあることですが、なんとその冷風の吹き出し口を切り替えるセレクターさえついていないのです。
通常のエアコンは、乗員の正面や足元など、風が出る場所を切り替えられます。しかし、このハイラックス チャンプはそれがないのだから衝撃でした。これもコスト削減策のひとつです。
もちろん、そんな“割り切り”が悪いということではありません。快適さを求めたいのであれば上位モデルのハイラックス レボを買えばいいのであり、このハイラックス チャンプはそれとは違うニーズに向けた提案だということ。
それを理解したうえで、価格を抑えることを目的とし、それを実現するために施された徹底したコストダウンに底力を感じたということです。
タイではピックアップトラックによるレースも盛んで、モーターショー会場にはフルバケットシートを装着したレース仕様も展示されていました。
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海外日本メーカーの車には日本国内で販売したら需要ありそうな車種もあるから販売して欲しいですね?