ロータリー車初のラグジュアリーセダン!
環境対応と優雅な走りを併せ持った名作
「13Bロータリー初搭載の記念碑モデルに乗った!」令和に生きる2代目ルーチェ後期型の勇姿【ManiaxCars】
1975年10月までの前期型は“ビッグルーチェ”、それ以降の後期型が“エレガントルーチェ”と呼ばれた2代目ルーチェ。前期型は2ドアハードトップと4ドアセダン、ワゴンに加え、2ドアハードトップ顔の4ドアセダン“カスタム”と4モデルが用意されていたが、後期型ではセダンがカスタムに統合されて計3モデルでの展開になった。今回取材したのは、13Bロータリーを搭載した後期型カスタムのグランツーリスモだ。
「昔、父親がGRII(12A型搭載モデル)のAT車に乗っていたんですけど、1982年くらいに手放して。思い入れがあって好きなクルマですから自分でも乗りたいと思って探し続け、2年前にやっとコレを見つけたんです。最上級グレードだったので購入は即決でしたね」とオーナー。
後期型グランツーリスモに搭載された13B型は、昭和51年排ガス規制を見越したREAPS5(ロータリーエンジンアンチポリューションシステム)仕様とされ、排気ポート直後に装着されるサーマルリアクターで、排ガスを再燃焼することで有害なCO(一酸化炭素)やHC(炭化水素)を低減。排ガスのクリーン化と同時に燃費も改善された。
スクエア形状とされたマフラーエンド。メインサイレンサー脇に確認できるサブマフラー的なパイプはサーマルリアクター用エキゾーストだ。
ミッションは、トルクグライド付き5速。これはエンジンとクラッチの間にAT車のトルクコンバーター的な流体カップリングを装着。カップリング内はクランクシャフトを通して供給されるエンジンオイルで満たされ、カタログでは発進時やシフトチェンジ時の衝撃を和らげる他、トルク増幅効果によって高いギヤでの低速走行を可能にするなどのメリットがうたわれた。
室内は高級感あふれる作りだ。ウッド製ステアリングホイール、シフトノブ、サイドブレーキレバーはグランツーリスモとGR-IIに標準装備。メーター周りにもウッドパネルが採用される。ダッシュボード右端に設けられるのはパワーウインドウのスイッチだ。
スピードメーターは210km/h、タコメーターは8000rpmフルスケール。センターには電流計、水温計、燃料計、アナログ式時計が並ぶ。
最上級グレードらしく、モケット地でラグジュアリーに仕立て上げられたシート。前席は座面脇にスライドとリクライニングのレバーが付く。
後席のセンターアームレストはカスタムGR以上のグレードに装備。
グランツーリスモ専用となるセーフティパネル(オーバーヘッドコンソール)。前方にマップランプが設けられ、ブレーキ系統や液量類、ランプの断芯など8項目に異常が発生すると、該当のランプが点灯して警告する。
13B型とトルクグライド付き5速MTの走りを体感すべく試乗を開始。このミッション、操作は一般的な3ペダルMTそのものだが、面白いのはAT車と同じくPポジションがあることと、1速に入れてクラッチペダルを繋いでもエンストしないことだ。
そこからアクセルペダルを踏み込むとスルスルッ…と発進。NAで圧縮比が9.4と高い13B型は2000rpm前後の回転域でもトルク感に不満ナシ。ストレスをまるで感じさせない回転フィールはロータリーならではのもので、タコメーターの針が4000…5000…6000rpmと駆け上がっていっても吹け上がりが鈍くなる素振りは一切ないのだ。
13B型の優れた動力性能を前面に押し出しながら、時代の要求であった環境性能に対応し、さらにはトルクグライドによってスムーズかつ上質な走りも実現。それまでのロータリーエンジン搭載車は2ドアモデルでスポーツ色が強かったが、初めてラグジュアリーセダンの方向性を打ち出したという意味で、LA3♯系ルーチェの存在意義は大きいと思う。
■SPECIFICATIONS
車両型式:LA33S
全長×全幅×全高:4400×1670×1410mm
ホイールベース:2510mm
トレッド(F/R):1380/1370mm
車両重量:1190kg
エンジン型式:13B
エンジン形式:2ローター
ボア×ストローク:—
排気量:654cc×2 圧縮比:9.4:1
最高出力:135ps/6000rpm
最大トルク:19.0kgm/4000rpm
トランスミッション:トルクグライド付き5速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/リーフリジッド
ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム
タイヤサイズ:FR195/70R13
●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
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みんなのコメント
1つが現在一般的な「トルクコンバーター」(トルコン)、もう1一つが
「フルードカップリング」(FC)
何が違うのかというと、動力を伝えるポンプ翼と動力を受けるタービン翼、この間に
「ステーター」という翼があるかないかということです。
当時のルーチェ等に採用されていたのはFCの方でして、こちらはステーター翼が無いので
実際にはトルクの増幅効果は持ち合せていません。
FCは、かつては古い設計のディーゼルエンジンのようなトルク変動が大きいエンジンの
回転ムラの緩衝として用いられることがありました。
本車のシフトノブにある「P」ポジションは、FCが介在することで機械的に直結していない
ので、現在のATと同様出力軸側に溝幅の広いギヤを設け、その溝にドッグ(爪)をかけて
ロックする方式をとっているかと思います。
勤めていた修理工場の事務員さんが乗っていた。
何故かMT車なのにパーキングのPがシフトノブに
あったのを思い出しました。寒い時期はエンジンを掛けるのが難しく燃費もリッター3km位だったと
記憶してます。懐かしい