5年以上続くブランドの秘密
多くの人々が憧れるファーストクラスーー飲み物にも高級感のある特別なものが用意され、空港のラウンジサービスやウェルカムドリンク、機内食で惜しみなく提供される。
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採用されたブランドは「ファーストクラスで採用」とアピールすることが多く、実際にECサイトや専門店などで見たことがある人も多いだろう。
ただし、入れ替わりが非常に激しいのも特徴で、長い間ブランド効果が続いている飲み物は少ない。
そのなかでも、5年以上採用され、成功を収めているブランドが存在する。本稿では、そんなブランドを五つ紹介しよう。
ブランド価値と「ファーストクラス」戦略
まずファーストクラス採用という言葉のブランドにおける意味を考えてみよう。
ブランド価値を分類するフレームワークとして有名なのが、デイビッド・A・アーカー氏が提唱した「ブランド・エクイティ」の考え方だ。同氏は著書のなかで、ブランド価値を以下の五つの要素に分けている。
1.認知:よく知っているかどうか
2.知覚品質:その製品の品質が高いか
3.ブランド・ロイヤルティ:リピーターが多いか
4.ブランド連想:そのブランドからどのような連想ができるか
5.名前、シンボル、スローガン:トレードマークや名前がその製品にふさわしいか
次に、「ファーストクラスに採用される」というマーケティング戦略について考えてみよう。まず、ファーストクラスは高級で高品質というイメージが強いため、そこで採用されることをアピールすれば消費者はその製品を優れたものと認識しやすく、
「ブランド連想」
の観点でもプラスに働く。また、「知覚品質」においてもプラスに作用するだろう。特に、JALやANAなどの日本の航空会社では、航空会社専属のシェフやソムリエが在籍し、プロの視点から飲み物を厳選している。
ファーストクラスとなると、各社はPRも兼ねて非常に熱心に取り組む。そのため、ファーストクラスに採用されたということは高品質を保証する役割を果たし、私たちにその品質の高さを強く印象づける。
しかし、ファーストクラスの飲み物は、機内食と同様に半年ごとに入れ替わり、2~3年も経つとほとんどのラインナップが変わることも珍しくない。そのため、ファーストクラスに採用されたからといってブランド・ロイヤルティが高まり、富裕層の顧客を獲得できるとは限らない。
つまり、飲み物ブランドの成功にはファーストクラス採用だけでなく、さまざまなマーケティング戦略を駆使して拡大していく必要がある。
「森伊蔵」JAL機内販売で生きる希少価値
なかには、数年以上ファーストクラスのドリンクメニューに採用され続けているブランドもある。その代表的なものが、高級芋焼酎の
・森伊蔵
・村尾
だ。これらは「魔王」とともに、鹿児島県産の高級芋焼酎「3M」として名高いブランドで、航空会社との関係が非常に深い。
まず、森伊蔵を紹介しよう。1988(昭和63)年以来、かめ壺仕込みの伝統的な醸造方法を守りつつ、紫外線を遮る茶色いボトルを採用するなど、品質保持のための画期的な手法を取り入れた森伊蔵は、瞬く間に焼酎ファンの人気を集めた。1996(平成8)年には、フランス大統領ジャック・シラクが愛用していたことが明らかになり、その人気は全国に広がった。しかし、森伊蔵は品質にこだわるため、生産量は創業時の4石(約720ml)かめ壺50個分にとどまり、増産は一切行われていない。そのため、需要に対して供給が全く足りず、定価で購入しようとする場合、わざわざ森伊蔵酒造に電話をかけ、場合によっては抽選に参加する必要があるほど、入手困難であることでも有名だ。
この森伊蔵と深い関係を持っているのがJALで、ファーストクラスのドリンクメニューとして長年提供されているほか、JALの国際線ファーストクラス・ビジネスクラスの機内販売でも限定品を含むラインナップが用意されている。機内販売の歴史は1999年にさかのぼり、2025年で26年目を迎える。入れ替わりの激しい機内販売メニューのなかでは、大手メーカー製以外でこれほど長く続いている例は珍しい。720ml入りのボトルは機内で約3200円で販売されており、定価で購入できる唯一の場所となっている。このボトルは、Amazonで検索すると1本1万円以上で販売されており、いかにお得かがわかるだろう。しかし、こちらも期間・数量限定で、JALの機内販売で非常に人気のある商品であるため、なかなか手に入れるのは難しい。
JALが森伊蔵を採用した理由は明らかにはされていないが、2024年には森伊蔵の機内販売25周年を記念した動画がJALの公式YouTubeチャンネルにアップされ、その深い関係がうかがえる。JALにとって、最高の顧客体験を支える要素として、森伊蔵の高品質さを世界にアピールするうえで、お互いにとって欠かせない存在となっている。
「村尾」ANAが支える高級焼酎の魅力
次に村尾だが、これもかめ壺仕込みの伝統を守り続け、その年に作った酒はすべて年内に売り切るスタンスで少量しか生産しない。そのため、1本1万円以上することも珍しくない超高級品となっている。
このブランドを長年提供しているのはJALの競合であるANAで、2008(平成20)年からファーストクラスに採用されており、2025年現在でもメニューに載っている。森伊蔵ほどではないが、長く続いているブランドといえるだろう。
ANAでは機内販売でも事前にネット予約を受け付け、ANAオリジナルパッケージが採用されている。価格は4,200円で、ECサイトでの販売価格の半額以上で購入できるが、販売数量は限られており、販売開始から2、3か月で売り切れることも珍しくない。実際、2024年12月31日には完売となり、2025年2月9日時点では入手できない状態だ。
どちらもファンにはよく知られた高級品だが、希少性が非常に高いため、お金があっても手に入れるのが難しいことが多い。そのなかでファーストクラスでの提供や機内販売は、
「ここでしか楽しむ機会がない」
という意味で、高額な運賃を支払ってでも手に入れる価値があるものとして、重要な位置を占めている。特に外国人客にとっては、これまで知らなかった人へのアピールや、機内販売での購入を通じてブランドへのロイヤルティを獲得する手段にもつながっている。森伊蔵と村尾は、単なるファーストクラス採用にとどまらず、認知やブランドロイヤルティの向上にも成功した好例だといえる。
品質と希少性の確立
ファーストクラスで長年採用されているブランドには、JALのファーストクラスラウンジで使用されるシャンパン「SALON(サロン)」や、ワイングラスで飲めるお茶として有名な中国青茶「Queen of blue」、また高級ワインのような風味とパッケージで人気のフランスのノンアルコールブランド「アランミリア スパークリンググレープジュース 『ミュスカデル』」などがある。これらは百貨店などでも人気を集める高級ブランドだ。
ファーストクラスに採用される飲み物は、その品質に定評があり、ブランドの品質をさらに伝える手段としても採用されていると考えられる。しかし、数多くの高級ブランドの中から長年選ばれ続けるのは簡単なことではない。森伊蔵や村尾のように、生産体制を維持し、ブランドの品質を守り続けることが求められている。
もしファーストクラスで印象に残った飲み物や、長年にわたって採用され続けているブランドがあれば、ぜひ教えてほしい。その際、数年間のファーストクラスでの飲み物ブランド採用実績を参考にし、定量的な分析を加えた形で紹介できればと思う。
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