1950年、イギリスのシルバーストン・サーキットで、初めての”F1世界選手権”のグランプリが開催された。これを皮切りに、74シーズンで1100レース以上が開催され、その間全34ヵ国、77のサーキットを転戦してきた。
2023年シーズンは、アメリカでマイアミ、オースティン、ラスベガスの3レースが開催。1シーズン中に同じ国の中で3レースを開催するのは、1982年のアメリカ(ロングビーチ、デトロイト、シーザーズパレス)、2020年のイタリア(イモラ、ムジェロ、モンツァ)に次ぐ3度目ということになる。
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F1では、1シーズン中にひとつの国の中で複数回のグランプリを開催する際、国名以外のレース名が冠されることがある。例えば2023年ならば、オースティンでのレースはアメリカGPだったものの、マイアミはマイアミGP、ラスベガスはラスベガスGPとして開催された。
理論的ではない名前のグランプリも過去にはある。例えばイモラでのグランプリは、最近では州の名前を使い”エミリア・ロマーニャGP”として開催されているが、以前は近隣の小国であるサンマリノの名を冠していた。また日本で2開催されていた時、TI英田(現・岡山国際サーキット)でのグランプリは”パシフィックGP”とされた。
もっとも、F1は本来1国1開催、しかも国名を冠するのが原則。しかし最近ではこの原則が軽視され、ブラジルでのGPはサンパウロGP、メキシコでのGPはメキシコシティGPとされるなど、グランプリ名の自由度が高まっている。
■最も多くのグランプリを開催したのはどの国か?
これまで最も多くのF1グランプリを開催してきたのはイタリアで、合計105回のレースが開催されている。通算100戦を超えているのはこのイタリアだけであり、モンツァでのレースは1950年以来1980年を除くすべての年で行なわれている。ちなみにこの年はモンツァが改修中だったため、イモラでの代替開催となった。
そのイモラでも、前述の通りサンマリノGP、エミリア・ロマーニャGPとして30レースを開催。2020年のエミリア・ロマーニャGPが、イタリアでの100回目のグランプリであった。
これまで2番目に多くのグランプリを開催しているのがドイツ。そのうち最も多いのがニュルブルクリンクでの開催で41回、ホッケンハイムリンクでは37回のグランプリが開催された。ただ最近では、ドイツ国内でレースが開催されない年が続いている。
イギリスが3位で、1950年のF1初戦を皮切りに、78戦を開催した。開催サーキットはシルバーストン、ブランズハッチ、ドニントンパーク、エイントリーの4つ。なおドニントンパークでは、ヨーロッパGPを1回開催したのみである。アイルトン・セナが雨の中快走した、1993年のあの伝説のレースだ。
イギリス国内最多の開催地はシルバーストンで、合計56回の開催を誇る。
なお日本国内での開催数は39回。鈴鹿サーキット、富士スピードウェイ、TI英田の3サーキットが開催地である。
グランプリ開催数が多い国のトップ10は、以下の通り。
1. イタリア 105回(4サーキット)
2. ドイツ 79回(3サーキット)
3. イギリス 78回(4サーキット)
4. アメリカ 76回(12サーキット)
5. モナコ 69回(1サーキット)
6. ベルギー 68回(3サーキット)
7. フランス 63回(7サーキット)
8. スペイン 60回(6サーキット)
9. カナダ 52回(3サーキット)
10. ブラジル 50回(2サーキット)
(参考)日本 39回(3サーキット)
これまで最も多くのF1グランプリを開催したのは、イタリアのモンツァ・サーキットであり、合計73戦開催ということになっている。
このモンツァは、番狂わせのレースが多いことでも知られる。2020年には、アルファタウリのピエール・ガスリーが乱戦を戦い抜き優勝。その翌年となった2021年には、ダニエル・リカルドがマクラーレンにほぼ10年ぶりとなる勝利をもたらした。さらにその前、2008年にはアルファタウリの前身であるトロロッソのセバスチャン・ベッテルが優勝。この勝利は、姉妹チームであるレッドブルよりも早い初優勝ということになった。
なおイタリアと同じく、イギリスGPもこれまで最多となる74回の開催を数えるが、前述の通り複数のサーキットで開催されているため、開催サーキットという面では数字が伸びなかった。
そのため2番目の開催数を誇るのは、モナコのモンテカルロ市街地コースということになる。ここでは1950年にF1を初開催し、以来69戦を開催している。もちろん、モナコGPがモンテカルロ市街地コース以外で開催されたことはない。
なお2020年には新型コロナウイルスのパンデミックにより開催中止。このほか、1951年から1954年の4年間も、F1モナコGPは開催されなかった。
開催権料の問題などから、モナコGPの将来が不安視されることもあったが、とりあえず2025年までは開催が保証されている。
3位にはイギリスGPの開催サーキットであるシルバーストンが入った。これまでの合計は58回。新型コロナウイルスのパンデミックの際には、イギリスGPと70周年記念GPの1年2開催が実現した。
F1グランプリ開催数が多いサーキットベスト10は以下の通り。
1. モンツァ(イタリア):73回
2. モンテカルロ市街地(モナコ):69回
3. シルバーストン(イギリス):58回
4. スパ・フラナンコルシャン(ベルギー):56回
5. ジル・ビルヌーブ(カナダ):42回
6. ニュルブルクリンク(ドイツ):41回
7. インテルラゴス(ブラジル):40回
8. ハンガロリンク(ハンガリー):38回
9. ホッケンハイム(ドイツ):37回
10. レッドブルリンク(オーストリア):38回
(参考)鈴鹿サーキット(日本):33回
(参考)富士スピードウェイ(日本):4回
(参考)TI英田:2回
■最もレース開催数が少ない国はどこなのか?
数多くのレースを開催している国がある反面、逆にグランプリ開催数が少ない国もある。
1回のみで開催が終わった国がひとつだけある。それがモロッコだ。
モロッコは1958年に最終戦としてグランプリを開催。海岸道路と幹線道路を用いた市街地コースでのグランプリであった。この1回限りのレースは、ヴァンウォールのマシンを走らせたスターリング・モスが優勝した。
なおこのレースでは、別のヴァンウォールのマシンを走らせたスチュアート・ルイス・エバンスが、エンジンが焼き付いてしまったことが原因でクラッシュ。この事故により大火傷を負い、8日後に病院で亡くなっている。
2番目にグランプリ開催数が少ないのはカタールで、2021年と2023年の2回のみの開催。2022年はサッカーのワールドカップが同地で開催されたため、F1の開催は見送られた。
ただこのカタールGPは、2023年からの10年にわたる開催契約を結んでいるため、今後レース数は必然的に伸びていくはずだ。
インドでのGP開催は2011年から2013年までの3年で終わってしまった。ブッダ・インターナショナル・サーキットでのグランプリは、当初5年契約だった。しかし2014年の開催が中止され、2015年に復活の予定だったが、州政府との税金問題が浮上したことでこの復活も実現しなかった。
サウジアラビアもまだ3回の開催だが、長期契約が結ばれている。
グランプリ開催数の少ない国のランキングは、以下の通りである。
1. モロッコ:1回
2. カタール:2回
3. インド:3回
3. サウジアラビア:3回
5. 韓国:4回
6. スイス:5回
7. スウェーデン:6回
8. アゼルバイジャン:7回
9. ロシア:8回
10. トルコ:9回
■1戦のみの開催となったサーキットは、一体いくつあるのか?
1戦のみしかグランプリを開催していないサーキットは、実は12箇所もある。
イギリスのドニントンパーク、アメリカのダラス、フランスのル・マン・ブガッティ・サーキットなどは、1戦のみの開催となっている。
イタリアのペスカーラ・サーキットでもグランプリが1度だけ開催。その全長は16マイル(25.801km)であり、これまでF1を開催したサーキットとしては最長である。
ラスベガス市街地コースも、2023年1回のみの開催。こちらも、今後長きにわたってグランプリを開催していくことになるはずだ。
1回のみグランプリを開催したサーキットは、以下の通りである。
・アイン・ディアブ(モロッコ/1958年)
・アヴス(ドイツ/1959年)
・フェアパーク/ダラス(アメリカ/1984年)
・ドニントンパーク(イギリス/1993年)
・ラスベガス市街地(アメリカ/2023年)
・サルテ・サーキット(フランス/1967年)
・モンサント・パーク(ポルトガル/1959年)
・ムジェロ(イタリア/2020年)
・ペスカーラ(イタリア/1957年)
・リバーサイド(アメリカ/1960年)
・セブリンク(アメリカ/1959年)
・ツェルトベク(オーストリア/1964年)
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