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わかりやすいカッコよさと優れた機動性が「新しい」!スズキ新型「フロンクス」を公道で初試乗

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わかりやすいカッコよさと優れた機動性が「新しい」!スズキ新型「フロンクス」を公道で初試乗

活況を呈するコンパクトSUVカテゴリーに誕生した新たな個性を、一般道で初チェック。ルックスでも運転フィールについてもスズキ新型「フロンクス」は、小さいからこそ魅力的なクルマ作りにとことん長けたスズキが提案する、スタイリッシュかつスポーティなクーペSUVの新しいスタイルと言えそうです。(文:神原 久 Webモーターマガジン編集部/写真:永元秀和)

1.5Lクラスの常識を覆す?攻めたデザイン
1.5L直列4気筒エンジンを搭載しながら、全長4m未満のスタイリッシュSUV・・・意外にこれってレアな存在なのではないでしょうか。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

同じ1.5Lクラスのガソリンエンジンを搭載することもあって、直接的なライバルとして真っ先に思い浮かぶのは、ホンダ WR-Vやトヨタ ヤリスクロスでしょう。WR-Vの場合は出自が同じインド、というご縁もあります。

ただしボディサイズを数値で比べると、この2台はフロンクスよりかなり大柄であることがわかります。

細かい数値は写真でご紹介しますが、おおよそ200~300mmに達する全長差(フロンクスが短い)に加えて、ホイールベースの差(およそ40~120mmフロンクスが短い)も大きめです。全高の差(約40~100mmフロンクスが低い)はさらにわかりやすい。

そもそもクラスに関係のないところで強さとか逞しさとか広さとかのアピールが求められる「SUV」をコンパクトするには、いろいろと成約があります。だからと言って「パッケージング」にこだわり過ぎると、四隅を徹底的に使い尽くすべく重箱の隅をつつくように広げまくった結果の・・・まあ、少々没個性な形が出来上がりかねません。

ところが、実車と対面した時の第一印象は、シンプルに「これはけっこうカッコいいかも!?」でした。わかりやすさという意味でも、なかなかに「攻めたデザイン」です。

コンパクトなのにしっかりSUV。実用性でもメリット大
前後のオーバーハングは極端に短く、シルエット的には余分なところをスパっと断ち落としたマッシブなもの。オーバーではないレベルでほどよくエッジやプレスラインを配することで、しっかり「張り出し感」が表現されています。

最近は「余分なプレスラインを削る」方向で上質感を演出する手法が注目されていますが、フロンクスの場合は「盛る」テクニックが、なかなか巧みです。

正直、これでトヨタ ライズ(1.0~1.2Lクラス)と同じ全長なの!?と驚いてしまいました。一方で全体的なグレード感がより高く見えるのは、比較的ワイドな全幅(1765mm。これはライバルとほぼ一緒)が効いているのでしょうか。

思えば「ジムニー」や「ワゴンR」など、軽自動車という極めた限られたサイズの中でとびきり個性的なクルマたちを生み出してきたスズキだし。ある意味、フロンクス開発にあたって与えられたさまざまなお題(課題)もまた、「得意科目」だったのかも。

付け加えておくと、最小回転半径はわずか4.8mでライズ(4.9m~)よりも小回りが得意。おかげで狭い駐車場でも大丈夫。ほとんどの立体駐車場にも入れられる車高なので、文字どおりどこに乗っていっても安心できます。そういった「機動性の高さ」もまた、SUVというジャンルに求められる才能のひとつかもしれません。

開発者によれば、こうした絶妙なサイズ感と優れたデザイン性、実用性のバランスは発売前からオーナー予備軍に非常に高い評価を受け、非常に好調な受注に結び付いているのだそうです。

「軽さ」が生む軽快感と、手ごたえから伝わる上質感
そうしたコンパクトさ、バランスの良さは同時に、「軽さ」という魅力にもつながっています。

フロンクスは各種装備が充実したモノグレードで、エンジンも1.5L直4ガソリンエンジン×MHEV(マイルドハイブリッド)の1種類、2WDと4WDが設定されているのですが、それぞれカタログ数値は1070kg/1130kgに抑えられています。

一方のライバルはといえば、WR-V(1.5L直4ガソリン FF)が1210kg~、ヤリスクロス(1.5L直3ガソリン FF/4WD)は1110kg~/1200kg~と、おおむね40~100kg近く重くなっています。燃費性能にも十二分に配慮しなければならない=効率が重視されるこのクラスにあって、この差はドライバビリティにしっかり影響してきます。

今回の試乗は2WD、4WDともにもっぱら街乗りでのチェックとなりましたが、なるほど、普通に交差点を曲がっていても身のこなしがとても素直なことがわかります。峠道などではもしかするともっとはっきりとスポーティ感を確かめることができるのかもしれませんが、日常的に使うシーンでも、軽いからこそ生まれる軽快さを実感することができます。

もちろん軽い=走り味が安っぽい、わけではありません。なによりハンドルのタッチは好ましいもの。比較的しっかりとした手ごたえを残した操舵フィールで、だからといって重すぎることもなく、クルマとの自然な一体感を感じさせてくれます。

電動パワーステアリングは、日本向けに操舵アシスト力が最適化されているということでしたが、まっすぐ走っていている時はもちろん、車線変更でわずかに切り込んだ時などにもクルマの動きがわかりやすく、頼りがいを感じさせる味付けでした。

同様にサスペンションまわりやタイヤが日本の道路環境に合わせてセッティングされたおかげもあって、乗り心地にも上質感が生まれています。こと遮音に関しては、雑味を伝える高周波レンジのノイズを抑える方向で採用されたさまざまなアイテムが快適性を高めているようです。

しかも日本向けに設定された4WDモデルは、さらに共振、振動対策を徹底している、とのこと。どうしても2WDに比べてNVH(騒音、振動、ハーシュネス)性能が不利になりがちな4WDですが、開発陣はその弱点を克服しながら、より落ち着き感のある乗り味というメリットにつながっています。

ずーっと運転していたくなるのは「ほどよい刺激」のせいか?
一方、本格的に「コンパクトだけれどカッコいいクーペスタイルSUV」らしいキビキビ感や機動性がよりはっきりと味わえるのは、やはり2WDの方ではないでしょうか。

K15C型パワーユニットは2WDが最高出力101ps/最大トルク135Nm、4WDが99ps/134Nmというカタログ数値(微妙な差ですね)。1.5Lの自然吸気ながら今どきのエンジンらしく、低速でも扱いやすいフレキシビリティを備えています。

開発者によればスタート時にのみ電気モーター(3.1ps/60Nm)のアシストが入るそうですが、それはあくまで燃費節約のため。体感できるようなサポート感はありません。となると総じて、60kg分の軽さはやはり大きいわけです。

なによりこのエンジン、2500rpmを過ぎたあたりからググっとトルクが盛り上がる「スポーティ」な一面も備えているのですが、その気持ち良さが2WDはより明快でほどよく刺激的に感じられるのがポイントと言えるでしょう。

とはいえCVTではなく6速ATを採用していることで、エンジン回転とパワー/トルクの盛り上がりがしっかりシンクロしている心地よさは、駆動方式に関係なしのフロンクスの魅力となっています。より積極的に「加速感」を楽しみたくなるタイプなので、アクセルを踏み込む右足にもついつい気合が入ります。

さらにドライバーの走り心をくすぐるのが、アクセルレスポンスが向上するスポーツモード(スズキの2WD車としては初の設定なのだそう)やパドルシフトの標準装備。けっして劇的に速いわけではないけれどほどよい力強さを使いこなす楽しみもまた、「格別」と言えそうです。

高速道路では、遠出をするときにあると便利なアダプティブクルーズコントロール(全車速追従機能・停止保持機能付)を試してみました。とくに好印象だったのはレーンキープアシストのフィール。車線を維持するための入力がとても自然なので、任せて安心です。

走りの部分で少し気になったのは、減速感にややムラが感じられたところ。ATのセッティングによるものなのか、ブレーキ回生によるものなのか微妙にはっきりしませんが、減速トルクが一瞬強くなったり、フッと軽くなるような変化が微妙な違和感として感じられました。あくまで「微妙」なので、慣れれば気にならないレベルではあります。

アナログ2眼は、やっぱりスポーティだと思う
気にならないと言えば・・・居住性に関しては、小ささとバーターになっている一面が確かにあります。いわゆるシンプルな「広々感」ではさすがに、同クラスのライバルたちには及ばないかな、というのが正直なところ。ヘッドクリアランスなどは、図抜けてゆとりがあるわけではありません。

そもそもアナログ2眼メーターが、個人的には推しポイント。ヘッドアップディスプレイとのコンビネーションで、さまざまな情報が自然に目線に入ってくるのが嬉しい。流行のフルデジタルメーターならではのハイテク感も魅力ですが、スポーティな雰囲気という点ではやはりリアルな表示のほうがわかりやすいかも・・・。

「わかりやすい」という意味では、ほとんどの装備が標準となっているモノグレード展開もわかりやすい!

表示がスタイリッシュな9インチディスプレイを備えたメモリーナビゲーションや、優れた検知機能を備える衝突被害軽減ブレーキほか、最先端の安全運転支援機能ももれなくついています。

こうした「割り切りの良さ」も含めたフロンクスの際立つ個性は、盛り上がりを見せるコンパクトSUVカテゴリーをますます面白くしてくれそうです。

スズキ フロンクス 主要諸元 ※< >内は4WD
●全長×全幅×全高:3995×1765×1550mm
●ホイールベース:2520mm
●車両重量:1070kg<1130kg>
●エンジン:直4 DOHC+モーター
●総排気量:1460cc
●最高出力:74kW(101ps)/6000rpm<73kW(99ps)/6000rpm>
●最大トルク:135Nm(13.8kgm)/4400rpm<134kW(13.7ps)/4400rpm>
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:横置きFF<フロント横置き4WD>
●燃料・タンク容量:レギュラー・37L
●WLTCモード燃費:19.0km/L<17.8km/L>
●タイヤサイズ:195/60R16
●車両価格(税込):254万1000円<273万9000円>

[ アルバム : スズキ フロンクス 公道試乗記 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

4件
  • pik********
    3気筒CVTのカバが可愛そうになるぐらい、安くてかっこいい。確かに新しい。
  • 甘党ですみません
    「こんな車を待っていた!」方が大勢いらっしゃるのでは?

    車のスタイル評価は第一印象でほぼ決まる。

    「ああ、この車は格好悪い」と一目見て感じたら、まず購入しようとは思わないはず。普通、購入の決め手は第一印象が多いと思っている。

    スズキの車は、妻が数台乗り継いでいるが、小型・軽量で乗りやすい。小回りも効くし、女性も運転しやすいはず(なにしろ、運転が苦手な妻がスズキ車一択だし)。

    価格もさほど高額でもないし、人気が出るのも頷ける。

    新しく世の中に出てくる車で、内容が「これはひどい」と思うような車は珍しい。なにしろ、巨額の開発費をかけて新車を開発しているのだから、どうにもならないような内容の車など出てくるはずもない。

    だから、基本的に新車はデザインで決めてもあまり問題はないと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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