かつてのベストセラー車がまさかの販売半減? 身内のニューフェイス「躍進」で、現状&今後の展望はどうなる?
トヨタの人気ハイブリッド車「アクア」の販売が急落している。今月発表された2020年の車種/シリーズ別年間販売台数ランキングでは、5万9548台で14位。前年比57.4%とほぼ半減してしまった。
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いっぽう、同じく小型ハイブリッド車で身内の後発モデル「ヤリス」は、15万1766台でヴィッツ時代含めて初の年間1位に輝いた。
2013年から2014、2015年と3年連続で年間販売首位に輝いたベストセラーの販売最前線はどうなっているのか? 次期型の行方とともに最新情報をレポートしたい。
文/遠藤徹、写真/トヨタ、編集部
【画像ギャラリー】2013年から3年連続年間販売首位 アクアと2020年販売首位に輝いたヤリスをみる
ヤリス登場以降販売激減も次のアクア「ある」
2013年デビューの現行型アクア。発売当時はコンパクトなHV専用車は他になく、大ヒットしたが、より燃費も優れる新型ヤリスの登場で優位性は薄れている
2020年2月中旬に新型ヤリスが発売されて以来、現行アクアの販売は激減している。ヤリス1.5Lハイブリッドがあれば、アクアは必要ないとして、こちらに代替えするユーザーが増えているためである。
こうしたことから「アクアはモデル廃止となるのではないか。」とトヨタ販売店筋で囁かれたこともあった。
ところがつい最近、トヨタが2021年の新型車計画について、傘下販売店首脳に提示したネット配信の中にはランドクルーザー300、ノア、86、カローラクロスに次期型アクアが名を連ねているのが判明した。
商品内容はまだ明確に明らかになっていないが、ヤリスクロス1.5Lハイブリッドとの競合を避けるために、さまざまの改良が盛り込まれているのは間違いない。
2020年2月に発売開始し、2020年年間販売台数首位になったトヨタ ヤリス
次期型アクアは、トヨタの新しいクルマづくりの考え方である「TNGA」による「GA-B」プラットフォームを採用。エクステリアデザインや基本コンポ―ネントはキープコンセプトだが、若干サイズアップし、上級シフトする。
評判の悪かった後席の狭さは全高&室内高の引き上げでヘッドクリアランスや足元の広さをヤリス以上に確保する。
シート、内張、ダッシュボードなどは質感を上げてクオリティアップを図る。ホイールベースを50mm程度延長することで、居住空間の拡大と同時に、走行安定性も大幅に向上させる。
新型アクアはヤリスと同様の新HVに
次期型のパワーユニットには、ヤリスと同じ1.5L直3ハイブリッドエンジンに切り替えを行い、4WD車の設定が追加される(予想CG)
パワーユニットは、従来の1.5リッター直4ハイブリッドから、ヤリスと同じ新開発の1.5L直3ハイブリッドに切り替え、ハイブリッド用バッテリーもニッケル水素から高効率&コンパクトのリチウムイオンバッテリーとの組み合わせとする。
現行モデルではFFのみの設定であるが、次期型では4WD車を設定し、東北、北海道、山間部でのニーズにも応えられるラインアップとする。サイズアップするが、軽量化とリチウムイオンバッテリーの採用によって、燃費はWLTCモードで従来モデルよりも2~3km/L向上させる。
安心・安全パッケージの「トヨタセーフティセセンス」は、ヤリスハイブリッドと同じか、若干進化した新デバイスを採用する。ディスプレイオーディオも標準装備する。
現行アクアの価格は181万8300~219万8900円だが、次期型では30万円程度値上がりすると推測される(予想CG)
車両本体価格は、現行モデルだとヤリス1.5Lハイブリッドが199万8000~249万3000円(GRZハイパフォーマンス車を除く)に対して、現行アクア(GRスポーツを除く)は181万8300~219万8900円で、2WDだけに絞っても10万円前後安い設定となっている。
次期型は上級シフト、クオリティアップ、新開発パワーユニットの搭載、4WD車の設定、安全対策強化などのコストアップ要因があるから、30万円程度値上がりし220万~260万円程度の価格設定になるものと思われる。
ヤリスと競合? 現行アクアの売れ行き&現場の声は?
現行型アクアは2021年1月現在、全グレード通常通り生産・供給できる模様。写真は売れ筋の特別仕様車「S Style Black」
現行モデルは1月中旬現在でまだ全グレード、ボディカラー、オプション&付属品が通常通り生産・供給できる状況にあるわけだが、実際の売れ筋は特別仕様車の「Sスタイル ブラック」がほとんどを占めている状況にある。
こちらはSグレードに、インテリジェントクリアランスソナー、トヨタセーフティセンス、パノラミックビューモニター、スマートエントリー&スタートシステムを特別装備し、車両本体価格は206万8000円とベースグレードである「S」(192万2500円)より14万5500円高でプラス装備分の総額に比べると15万円程度の買い得となっている。
この特別仕様車にメーカーオプションのホワイトパールクリスタルシャイン、ディーラーオプションのガラスコート、フロアマット、ドライブレコーダー前後、ETC2.0サイドバイザー、TCナビ9インチモデルなど47万円強をつけて弾いてもらうと法定、法定外費用を含めて275万円弱と出た。
値引き額の第1回交渉では20万円と提示された。納期は約1ヶ月となっている。現行モデルは7月いっぱいでオーダーストップになり、最終の受注受付に入る見込みである。
次期型は、2021年8月の夏休み明けにも、商品内容を傘下扱い店にオンラインで流し、価格を決め手事前の予約受付をスタートさせる見込みである。
【証言:1 首都圏トヨタ店営業担当者】
次期型アクアを今秋に発売するという情報は当社の上層部に届いているようだが、商品内容はまだ明らかになっていない。
新型ヤリス1.5Lハイブリッドが発売になって以来、こちらへの代替えが増え、アクアは極端な売れ行き不振となっている。
次期型はヤリスハイブリッドとのダブりを防ぐために、ボディサイズを大型化し、上級シフトするのは間違いないだろう。不評となっている後席の狭さも改善されると見ている。
【証言:2 首都圏ネッツ店営業担当者】
現行アクアは、ヤリスハイブリッドがあれば必要がない状況になっている。ヤリスハイブリッドよりも車両本体価格が10万円以上安く、値引きは15万円以上大幅なので、実質15万円以上買い得だから、足替わりとして愛用するならトヨタ車では最も買い得のハイブリッドモデルであり、このことを理由に売り込みを強化しているところだ。
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みんなのコメント
後席重視の人ならヤリスと比較して、やや燃費は劣ってもフィットHVや少々高くてもノートを選ぶはず。
そんなユーザーを逃がさないためにも新型アクアはヤリスより後席を重視したスタイルと絶妙な価格で登場すると思います。トヨタはせっかく大勢いる現行アクアのユーザーを簡単に他社に取られたくないはずです。