バクー市街地サーキットを舞台に開催されたF1第17戦アゼルバイジャンGP。9月15日(日)の決勝レースでは、マクラーレンのオスカー・ピアストリが優勝を収めた。RBの角田裕毅は無念のリタイアとなった。
決勝日のアゼルバイジャンは天候に恵まれ、スタート前の気温は27度。路面温度46度という温かいコンディションだった。
前日の予選ではフェラーリのシャルル・ルクレールが4年連続のポールポジションを獲得。ピアストリがフロントロウに並んだ。角田は11番手からのスタートだった
上位グリッドのドライバーは主にミディアムをスタートタイヤに選択。後方のドライバーにはハードを選ぶドライバーも少なくなかった。
51周のレースの幕が上がると、ルクレールが首位を維持。ピアストリ、そしてレッドブルのセルジオ・ペレスが3番手に浮上した。
上位陣は大きな混乱もなくオープニングラップを終えたが、後方では角田とアストンマーティンのランス・ストロールが接触。タイヤ同士が当たったことで、ストロールはパンクによりピットインを余儀なくされ、角田も接触によって右サイドポンツーンに大きなダメージを負った。その後、角田は走行を続けたものの、ペースが上がらずリタイアを選択した。
上位集団は序盤こそ各車1秒ずつの差で走っていたが、周回を重ねるごとに首位のルクレールが抜け出す形に。1分48秒台のペースで飛ばし、2番手ピアストリはそこから徐々に遅れていった。
10周目以降からミディアム勢がピットストップを開始。3番手ペレスが先にハードタイヤに交換し好ペースで飛ばしていたことから、ピアストリもアンダーカットを阻止すべく15周目終わりにピットイン。後方スタートとなったチームメイトのランド・ノリスのブロックもあり、ペレスの前でコースに戻ることができた。
首位ルクレールは16周目終わりにピットイン。ハードタイヤスタートであるウイリアムズのアレクサンダー・アルボンをはさみ、ピアストリ、ペレスが連なって走った。
ピアストリはアルボンをすぐさま交わすと、20周目のターン1でルクレールのインを差してオーバーテイクを完了し、首位に躍り出た。
ただ2番手に後退したルクレールは負けじと追いすがり、ピアストリの前を度々伺った。トップ2台の鍔迫り合いは何周にもわたって続き、ペレスも3番手で虎視眈々とその隙を狙い、次第にフェラーリのカルロス・サインツJr.もこの3台に近づいていった。
堂々のディフェンスを繰り広げるピアストリにルクレールはDRSを武器に攻め立てるも抜きあぐね、残り5周を過ぎるとルクレールのタイヤに“崖”が来たか、一気にペースを落とした。
苦しいルクレールに対して、後方の2台が急接近。ペレスは50周目のターン1でルクレールにアウトが側から仕掛けるも、その隙にサインツJr.が先行……サインツJr.はさらにルクレールまで抜き切ろうとしたものの、ターン2を抜けたところでイン側にマシンを寄せたサインツJr.とペレスが交錯した。
2台は激しくウォールに激突し、これでコース上にはバーチャル・セーフティカー(VSC)が提示された。
レースはVSCのままファイナルラップへ。ピアストリはトップチェッカーを受けてキャリア2勝目を挙げた。30周近くにわたりルクレールからのプレッシャーを受け続けたが、それをもろともしない逸材ぶりを遺憾なく発揮した。
ルクレールは4年連続でのポールスタートもまた勝利を逃したが、サインツJr.とペレスのクラッシュもあり2位でレースを終えることができた。
3位表彰台に転がり込んだのはメルセデスのジョージ・ラッセル。オーストリアGPでの勝利同様、チャンスをモノにする力をアゼルバイジャンGPでも見せつけた。
黄旗の影響を受けて予選Q1落ちを喫していたマクラーレンのランド・ノリスは、レース終盤にレッドブルのマックス・フェルスタッペンを抜き切り4位入賞。ファステストラップの1ポイントも掴んだ。
5位フェルスタッペンはノリスからファステストラップを奪うため、レース最終盤にソフトタイヤに履き替えたがVSCによりトライすることができなかった。
これでドライバーズチャンピオンシップの首位フェルスタッペンと2番手ノリスの差は59ポイントに縮まった。そしてコンストラクターズチャンピオンシップでは首位交代となり、マクラーレンが20ポイント差でトップに躍り出た。
ベスト・オブ・ザ・レストの6位はアストンマーティンのフェルナンド・アロンソ。ウイリアムズはダブル入賞を果たし、フランコ・コラピントはF1キャリア2戦目にして8位入賞を手にした。
パワーユニット交換によりピットレーンスタートとなったメルセデスのルイス・ハミルトンが9位。出場停止処分を受けたケビン・マグヌッセンの代役としてハースからアゼルバイジャンGPに参戦したオリバー・ベアマンが10位となった。ちなみに、ベアマンはF1デビュー2戦で異なるチームから出場しポイントを掴んだ史上初のドライバーとなった。
なお、マクラーレンはピットレーンの手順違反によって、レース後に審議対象となった。またフェルスタッペンも含めた複数のマシンが、VSCの手順違反によって審議対象となっている。このVSCの手順違反は、チェッカーが振られた後もVSCが解除されておらず、その中で他車を抜いてしまったことが原因であると思われる。そしてペレスとサインツJr.のクラッシュについても審議対象となり、両ドライバーと両チーム代表者がスチュワードからの召喚を受けている。
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