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【大混戦】ヴェンチュリーのモルタラ初優勝 in 香港

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【大混戦】ヴェンチュリーのモルタラ初優勝 in 香港

フォーミュラEシーズン5 2018/19

大荒れのレースとなった第5戦香港ラウンドは、ベンチュリーZFのモルタラが初優勝を遂げた。また、最終ラップまでトップ争いをしたアンドレ・ロッテラーとサム・バードは、ロッテラーの右リヤタイヤのパンクチャーでリタイヤ、その原因を作ったサム・バードは6位へ降格という裁定がくだされた。

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誰が勝つかわからない超接近戦

これまでの4レースはすべて違うドライバー、チームが優勝しているが、この第5戦も同様にベンチュリーのモルタラが優勝した。モルタラ は前戦メキシコシティでも3位表彰台で、フォーミュラEのキャリアで2度の表彰台があるものの、優勝は初めてだ。

これでドライバーランキングはヴァージンレーシングのサム・バードが54点でトップ。2位が53点でマヒンドラのダンブロージオ、3位が52点でアウディのディ・グラッシ、そして同点の3位に今回優勝したベンチュリーのモルタラという混戦だ。またチームランキングはエンヴィジョン・ヴァージンレーシング、アウディスポーツアプトシェフラー、マヒンドラレーシングが上位3チームとなっている。

雨中の予選から大荒れ

フォーミュラEの特徴にワンメイクタイヤがある。ミシュランが提供する溝付きのタイヤだが、これは1スペックのタイヤでウェットでもドライでも、さらに路面温度の違いも関係なく同じタイヤを供給してレースを行なっている。そのため、通常のレースのようにタイヤに関わる神経質な戦略は不要になるが、調整の範囲が空気圧程度しかないというのも別な意味で悩ましい。

予選は、雨のコンディションがグループごとに異なり、運・不運があった。だが、ようやくここにきてHWAのバンドーンとパフェットが上位に入ってきたのだ。HWAはZFからモーターやパワーユニットの供給を受けているが、実態はメルセデス・ベンツのレース・ラボでチーム名のHWAはハンス・ウエルナー・アウフレヒトの略。AMG産みの親、アウフレヒト氏のチームというわけだ。ドイツDTMからメルセデスは撤退し、研究・実験の場をフォーミュラEへシフトしたということだろう。

予選上位6台には、そのHWAのバンドーン、パッフェット、日産のローランド、ヴェンチュリーのモルタラ 、テチータのロッテラー、そしてアウディのディ・グラッシが入りスーパーポールでポールポジションが競われた。その結果バンドーンがポールポジションを獲得し、日産の新人ローランドが2位、モルタラは3グリッドダウンの6位に降格というペナルティがあり、ついでロッテラー、パフェット、ディ・グラッシという予選結果になった。

一方、チャンピオンシップをリードしていたマヒンドラは、ダンブロージオ 、ヴェアラインともに、セットアップが合わず予選は最下位に沈んでいる。また、日本から唯一参加している日産だが、エースのブエミがいまひとつだ。チームメイトのローランドは初のフォーミュラE参戦で、一方のブエミはフォーミュラE最多優勝ドライバー。そのため、ローランドはブエミの走行データにアクセスし、勉強しているという。

それが前戦のメキシコで何かを掴んだのか、予選でポールを奪っている。スーパーポールでは4位となったがいずれもブエミを上回るタイムをだし、今回もローランドはブエミを上回る速さを見せている。前戦のメキシコではエネルギーマネージメントの失敗から2台ともリタイヤとなっているだけに、ワンツーフィニッシュの期待がかかる香港ラウンドというわけだ。

まさかのローランドのミス

決勝はドライ路面になったものの、部分的には水たまりが残るような状況でスタート。レースは45分プラス1周で競われる。周回数を設定していないのは、明確な距離がわかれば、エネルギーマネージメントが計算しやすくなるわけで、時間で区切ってレースを展開していることもユニークなポイントだ。

ホールショットは予選2位の日産オリーバー・ローランド。ポールのストフェル・バンドーンを抑えてトップを奪った。また7位スタートのサム・バードもスタート直後に2位までジャンプアップしている。レース序盤でロッテラーはバンドーンのインを綺麗に差し3位に浮上。ローランド、バード、ロッテラーという順位で展開していた。が、バードがヘアピンの立ち上がりでローランドをプッシュ。その直後ローランドのマシンが失速し、大きく順位を落としてしまった。

原因はステアリングを切った状態で追突され、その衝撃で指がステアリングにある別のスイッチに触れてしまい、失速という事態になったようだ。ミスというには可哀想なアクシデントだがその後、マシンは息を吹き返して10位前後でレースを戦うが、終盤、マシントラブルによりリタイヤしている。

バード、ロッテラー、バンドーン、パフェットの順で序盤を経過したが、バードのわずかなミスを逃さずロッテラーが首位に浮上。そのままロッテラーとバードは最終ラップまでトップ争いを繰り広げ、3位以下を大きく引き離す展開になった。この日のロッテラーは見事な走りを見せ観客を魅了する。

そして迎えた最終ラップ、バードはヘアピンの突っ込みでロッテラーに接触。ロッテラーは姿勢を乱しながらもコーナーを立ち上がるが、さらにバードは立ち上がりでもロッテラーをプッシュ。結局それが原因で、ロッテラーの右のリヤタイヤがバーストしてしまい、最終ラップでリタイヤとなってしまった。

ミシュランのワンメイクタイヤ

何かにつけ、タイヤがポイントになった香港ラウンドだったが、ミシュランのモータースポーツフォーミュラEマネージャーのサージュ・グリサン氏に話を聞くことができたのでお伝えしよう。

溝付きのワンスペックというのがフォーミュラEで使用するタイヤの特徴だが、1レースで使用できる本数も176本程度に限定され、限りなくイコールコンディションで提供されている。そして各チームには内圧1.3~1.6の空気圧を最低内圧として提供しているという。今回のようにウェットとなると、内圧調整がさらに難しくなるわけだ。

このタイヤは前年までのジェネレーション1では、市販タイヤのパイロットスポーツ4のスペックをレース用に開発したものだったが、今季のGen2からはコンパウンド、構造、パターンデザインなどすべて新しいコンセプトで作られたものだという。したがってPS4との関連性はなくステップフォワード、一歩踏み出したレース用ワンスペックタイヤということになる。

ミシュランがこうしたタイヤを開発する背景には、環境への影響や、エネルギー消費が求められる今の時代に、フォーミュラEは市街地で行なわれるレースであり、次世代モビリティに求められる性能開発には非常に環境がいいということが挙げられるという。

Gen2マシンになり、バッテリー重量も重くなり、マシンの乗り換えもなくったため、耐久性にたいする要件も変わった。こうした環境、条件の変化があるため、タイヤもすべて変更する必要が出てきたわけだ。

また、ドライバーからの声のフィードバックが重要で、そうした意見から革新的なタイヤ開発につなげていっているということだ。特に、エネルギー効率は重要な要素であり、エネルギー消費を抑えるタイヤ開発ができているという。

それは今季のGen2用は3代目のタイヤにあたり、Gen1の時のタイヤと比較して、20~25%の効率化ができ、重量では1本あたり2~2.5kg程度の軽量化が達成できているという。こうした軽量化はガソリンで言えば燃費に好影響となるが、フォーミュラEの場合、エネルギー消費の効率が上がるという言い方になる。もちろんGen2では軽量化をしつつ、速度もあがり、周回数も増しているので、総合的な性能向上が必須なのは言うまでもない。

次戦は初開催の三亜

こうして天候にも、路面の悪さにも、そしてダスティ、スリッピー、狭くトリッキーな香港ラウンドはモルタラ の優勝、2位ディ・グラッシ 、3位ロビン・フラインスという順位だった。期待の日産はローランド、ブエミ共にリタイヤ、注目のHWAもギャリー・パフェットの8位がやっという結果。

次戦の中国・三亜は初開催で、全てのチームが初体験という大会だ。ここでも新たな何かが起こりそうな予感がある。それほど、Gen2となったフォーミュラEはエキサイティングなレース展開が期待できる新しいモータースポーツなのだ。

フォーミュラEシーズン5 2018/19

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