プレミアムアーバンスポーツギヤをコンセプトに、2014年にデビューしたレクサスのSUVがNX。今ではLXとともにレクサスの主力モデルに成長し、2021年10月に2代目へと進化。彫刻的なエクステリアデザインを継承したボディサイズは全長、全幅で20mm、全高が15mm拡大したものの、それはトヨタの人気SUV、RAV4と変わるところがなく、日本でも扱いやすいサイズに収まっている。
新型NX最大のハイライトは、RAV4やハリアーと同じ、トヨタ最新、TNGAのGA-Kプラットフォームの剛性を高めて用い、2.5Lガソリン(201ps、24.5kg-m)=NX250、2.4Lガソリンターボ(279ps、43.8kg-m)=NX350、主力グレードとなる2.5Lエンジン+2モーター(185ps、23.2kg-m+Fモーター182ps、27.5kg-m、Rモーター54ps、12.3kg-m)=NX350hに加え、レクサス初のPHVモデル、2.5L+2モーター(190ps、24.8kg-m+Fモーター182ps、27.5kg-m、Rモーター54ps、12.3kg-m、システム最高出力309ps)=NX450h+をラインナップしたところにある。
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また、独自性とシンプリティを追求した次世代レクサスデザインをいち早く採用し、一段とダイナミックなエクステリアデザインと先進感溢れる上質なインテリアを実現。先代とくらべ、特にSUVの世界的トレンドでもある横一文字のリヤコンビランプを持つリヤデザインの新しさが特徴的だ。
しかも、ドアの開閉はレクサス初のeラッチと呼ばれる電磁ボタン式で、外からはアウトサイドドアハンドル内側のボタン、内側から開ける際もまたインサイドドアハンドルのボタンでオープンする未来感覚の仕掛け。さらにブラインドスポットモニターとの連携で、ドアを開ける際、後から接近クルマなどによって危険と判断されるとロックが解除されない開操作のキャンセルが行われるなどの安全性もしっかりと確保されているのである。
人間中心の思想をさらに進化させたTazuna Conceptによるコクピットも新鮮だ。フルデジタルメーター、カラーヘッドアップディスプレイの採用はもちろん、センターには大型タッチディスプレイが用意され、グレードによって9.8インチ、または国産車最大級サイズの14インチ!!が採用されているのである。次世代レクサスの扉を開いたかのような14インチディスプレイの装備だけでも先進性に溢れ、筆者はその点でも新型NXにぞっこんなのである。
さて、今回試乗したのは、そのNX450h+ AWD。つまり最上級グレードとなる、309psものシステム最高出力を誇り、18.1kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載するレクサス初のPHVモデルである。WLTCモードでのEV航続距離は88kmだから、実質65km程度はモーターのみで走れることになる。走行モードはEVモード、AUTO EV/HVモード、HVモード、セルフチャージモードがあり、先読みエコドライブ(先読みEV/HVモード切替制御)では高度なナビと連携し、日々の運転履歴や道路・交通状況をもとに、AUTO EV/HVモードとHVモードを自動的に切り替えてくれる、エネルギー効率に特化した制御をクルマが自動で行ってくれるのだから、賢い。
PHVは街中ではEV、高速走行ではEVとHVを自在に切り替えて走れる、電欠の心配のない、極めてピュアEVに近い電動車だが、もちろん、充電も必要だ。その充電システムは、RAV4 PHVと同じ考え方で、急速充電は行えず、家庭でも行うことが可能な普通充電の200V/100Vのみに対応。充電時間は200Vで約5時間30分。100Vで約33時間と説明されている(タイマー充電、マイルームモード対応)。もちろん、AC100V/1500Wコンセントを用意し、車内外で家電品を使うことができるとともに、AC外部給電システムによって、災害時の安心に直結する家庭内への給電も可能となるのだから頼りになる。
そうそう、NX450h+はリアを独立したモーターで駆動する4WDシステム=E-Fourを搭載。前後の駆動配分を100:0~20:80の間で最適に配分し、走りのダイナミクス、および走破性に寄与する。
14インチディスプレイの大きさ、高精細な画像、視認性の良さ(老眼でも!!)、そしてエアコン設定ダイヤルのLED照明の美しさに感動しつつ走り出せば、充電済みのNX450h+はもちろん、モーターだけの力で、静かに、滑らかに、トルキーに加速を開始する。乗り心地は同エンジンを積むNX350hより200kgも重いことがむしろ功を奏し、新型NXの中でもっとも重厚で上質な落ち着いた乗り味を示す。同時に、モーターの大トルクとリチウムイオンバッテリーの床下搭載による低重心が際立ち、試乗車のF SPORTの場合、20インチタイヤによるタイトでビシリとした、無駄な動き(姿勢変化)のないスポーティな乗り心地と操縦性を味わい尽くすことができる。
タイトな乗り心地と書くと、ただ硬いだけのように聞こえるが、そうではない。ボディ、足回り剛性の高さや絶妙な足回りのセッティングから、路面によって多少のゴツゴツ感こそあっても、荒れた路面でのザラつき感、ゼブラゾーンでの振動などを見事に遮断。路面を問わない、心地よくスポーティな走りを可能にしてくれるのである。ステアリングフィールも素晴らしくすっきりしていて、シートのかけ心地の良さもあり、いつまでもステアリングを握っていたくなったほどだった。
システム最高出力309psの加速力はさすがにすごい。ガソリンハイパワー車とは違う、モーター駆動によるシームレスでトルクの途切れのない、静かでジェントルにして血の気が引くほどの加速フィールは、まさにハイパワーなピュアEVそのもの。HVモードでも350hをしのぐモーターによるより力強い加速力を発揮してくれることはもちろんだ。リヤモーターを積極的に使った、コーナリングでの後ろから押し出されるようなFR的駆動力を発揮してくれるのも、この450h+ならではだろう。
ドライブモードはエコ、ノーマル、スポーツ、スポーツ+が用意され、そのメリハリ感も文句なし。無論、エコモードでも十二分に速い(NX250との大きな違いがここ)。
レクサスNX最上級、もっとも高価なグレードなる450h+。走行面でラグジュアリーな世界を望むならversion Lの選択もアリだが、スポーティな走りの領域までを我が物にしたいのなら、活発な走りを試みたときの姿勢変化がより少ない、専用エクステリア、ホイール、最新AVS含む専用サスペンショを奢るF SPORTということになるだろう。付け加えれば、高速道路でのレーダークルーズコントロール(ACC)、カーブなどに対する減速支援を含むプロアクティブドライビングアシストの制御も見事だった。
ただし、レクサスの説明によれば、10月7日時点ですでに納期は半年以上だという・・・。
レクサスNX
https://lexus.jp/models/nx/
写真・文/青山尚暉
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みんなのコメント
俺たち気狂いはそれだけで満足なんやから。