6月1日、鈴鹿サーキットでスーパーGT第3戦「2024 AUTOBACS SUPER GT Round3 SUZUKA GT 3 Hours RACE」が行われた。前戦富士に引き続き2回目のタイムレースとなった今大会は、スープラ勢が躍動。37号車Deloitte TOM'S GR Supraを駆る笹原右京とジュリアーノ・アレジがGT初優勝を挙げた。
運も味方にした37号車が今季初優勝!
第3戦の舞台は鈴鹿サーキット。決勝前に雨が降ったことで決勝はピット戦略によって順位がシャッフルされる可能性も出てきた。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
ポールポジションを獲得したのは37号車Deloitte TOM'S GR Supra。2番グリッドに16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT、3番グリッドにはENEOS X PRIME GR Supraがつけた。
雨の心配もあった決勝だったが、各車グリッドに整列する際には天候が回復。路面も急激に変わり、一転ドライコンディションでのスタートとなった。
スタートでも混乱はなく、大きな順位変動もないまま3時間レースの火蓋が切って落とされた。2番グリッドスタートの16号車のステアリングを握る大津弘樹は序盤から果敢に37号車笹原にプレッシャーを与えていく。
しかし、笹原に行手を防がれてしまうと、逆に3番手につける14号車福住仁嶺にオーバーテイクを許してしまった。その後、16号車は上位2台に遅れをとり、後続から攻め立てられる展開となる。
レーススタートから40分経過時点で1回目のピットストップに入るチームが現れる中、トップ集団が動いたのは1時間が経過した32周目。
まず14号車、8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTがピットイン。14号車はここでドライバーチェンジを行っている。2番手の14号車の動きに反応したトップの37号車が翌周にピットイン。こちらは14号車とは違い、ドライバーチェンジを行わず笹原がダブルスティントを担当。順位は変わらず37号車がトップの座を守っている。
1時間20分が経過した頃、6位につけていた23号車MOTUL AUTECH Zのステアリングを握っていた千代勝正がシケインでのブレーキングでミスし、前にいたKeePer CERUMO GR Supraに追突。シケイン、そしてホームストレート上にデブリが撒かれたためフルコースイエローが掲示された。38号車はダメージが酷くここでリタイア。接触の原因である23号車にはドライブスルーペナルティが科されている。
レースの折り返し時点でも37号車はトップをキープ。しかし、14号車とは接近戦であり、2回目のピットストップが勝敗を分けるポイントとなる。
3位以下とは10秒以上もの差があり、優勝争いは37号車と14号車のトヨタ勢による一騎打ちに。ここまで14号車の接近を許しながらもトップの座をキープしていた37号車が先に動いた。60周目にピットインすると、ここでドライバー交代を行いコースに復帰。
ランキング首位36号車は驚愕の5位フィニッシュ
一方、14号車はオーバーカットを狙うべく猛プッシュ。インラップを2周引っ張り最後のピットストップを敢行。コースに出てみれば37号車に対し大きなギャップを築きトップに躍り出ていた。
気温と路温が下がり、アウトラップには厳しい環境であったこと、37号車が300の集団に捕まってしまったこと、そして14号車のインラップが驚異的に速かったことでレース終盤での逆転劇が起こったのだ。
あとはチェッカーを受けるのみの14号車。見事な逆転優勝かに思われたが、2回目のピットストップ時にアンセーフリリースと見なされてしまい、なんとドライブスルーペナルティが科されてしまった。
これにより勝利の女神に見放されたかに思われた37号車がトップに再浮上。14号車はペナルティにより4位にまで落ちてしまった。
しかし、ここから14号車福住が魅せた。36号車を捕えると16号車までもオーバーテイクし2位に浮上。トップとの差は10秒以上離れていたが、福住が猛プッシュし一部の望みにかける。
しかし、最終スティントを任された37号車のジュリアーノ・アレジもペースを上げ、福住の接近を許さなかった。
結果、92周を走り切った37号車はトップチェッカーでポールトゥウィン。37号車にとって2年ぶりの優勝であり、笹原、アレジともにGT初優勝となった。
2位にはピットストップのミスに泣いた14号車。結果に結びつくことができなかったが、今大会は間違いなく最速のパッケージであった。3位には16号車が入った。
驚くべきはランキングトップの36号車。搭載ウエイト45kg+燃料流量1段階ダウンというサクセスウエイトを積みながらなんと5位でチェッカーを受けた。ピットでのポジションアップを狙った36号車はピットにおける給油時間を短縮すべく、一定のレースペースを保ちながらも燃費に気をつけながら走行。さらにチームで勝ち取った5位と言える。
Vantage GT3が文句なしのポールトゥウィンで今季初優勝!
GT300クラスは、777号車D'station Vantage GT3がポールポジションを獲得。今季導入された新型アストンマーティン・ヴァンテージ GT3が高いポテンシャルを見せつけた。
2番グリッドには61号車SUBARU BRZ R&D SPORT、3番グリッドにはなんと54kgのサクセスウエイトを積むランキング首位の2号車muta Racing GR86 GTがつけている。
GT500同様、こちらもスタートでは順位に変動はなかったものの、2号車が61号車に食らいつき、15周目にオーバーテイクし2位に浮上。一方、トップの777号車は早くも独走体制を築いていった。
1回目のピットストップを迎える頃には、トップの777号車と2位2号車との差は14秒。ピットストップ後は2号車の前に出るも、31号車apr LC500h GTと52号車Green Brave GR Supra GTがスプラッシュ&ゴーを敢行。31号車がトップ、52号車は3位に浮上した。
レースの折り返し時点になると、タイヤ無交換組にタイヤ交換したマシンが接近。777号車はトップの31号車を45周目にオーバーテイクしトップ再浮上。3位争いでは52号車が61号車とのバトルを制した。
ポジションを落としてしまった61号車にさらなる不運が。なんとトラブルが発生しヘアピン先でストップ。ようやくポイント獲得かに思われた61号車だが、まさかの開幕3戦連続ノーポイントに終わってしまった。これによりフルコースイエローが出された。
777号車は残り50分で最後のピットストップ。磐石の体制とトップのままコースに復帰。一方、残り30分までステイアウトしていた2号車が最後にピットイン。2号車はドライバー交代、タイヤ交換を行わず給油のみで2位でコースに復帰してみせた。
上位2台がゴールへとひた走る中、3位争いが激化。3位につけていた31号車に6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIが急接近しバトルとなった。
777号車は最終的に2位以下に30秒以上の差をつける圧勝。完璧なポールトゥウィンを達成した。2位はウエイトを積みながらも、ドライバーの頑張りとレース戦略がハマった2号車。ランキングでは2位に17ポイント差をつけ、タイトル争いにおいて独走状態となった3位には31号車を攻略した6号車Lが入っている
2024 AUTOBACS SUPER GT Round3 リザルト
2024年スーパーGT 第3戦決勝 GT500結果
1位 37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/G.アレジ)92周
2位 14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)
3位 16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT (大津弘樹/佐藤蓮)
4位 12 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/B.バゲット)
5位 36 au TOM'S GR Supra(坪井翔/山下健太)
6位 17 Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進)
7位 100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)
8位 3 Niterra MOTUL Z(高星明誠/三宅淳詞)
9位 24 リアライズコーポレーション ADVAN Z (松田次生/名取鉄平)
10位 23 MOTUL AUTECH Z(千代勝正/R.クインタレッリ)
2024年スーパーGT 第3戦決勝 GT300結果
1位 777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/C.ファグ)85周
2位 2 muta Racing GR86 GT(堤 優威/平良 響)
3位 6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/R.メリ)
4位 31 apr LC500h GT(小高一斗/中村 仁/根本悠生)
5位 52 Green Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太)
6位 45 PONOS FERRARI 296(K.コッツォリーノ/リル・ワドゥー)
7位 7 Studie BMW M4(荒聖治/N.クルッテン/B.スペングラー )
8位 87 METALIVE S Lamborghini GT3(松浦孝亮/坂口夏月)
9位 65 LEON PYRAMID AMG (蒲生尚弥/篠原拓朗/黒澤治樹)
10位 60 Syntium LMcorsa GR Supra GT (吉本大樹/河野駿佑)
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