7月30日にスタートが切られた第74回『トタルエナジーズ・スパ24時間』は決勝レースの折り返しとなる12時間が経過した。現地31日(日)4時45分を回った時点での総合首位はニッキー・キャツバーグ/アウグスト・ファーフス/フランク・イェロリー組98号車BMW M4 GT3(ローヴェ・レーシング)。総合2番手には同じくBMW M4 GT3の50号車(BMWジュニア・チーム・ウィズ・ローヴェ)がつけている。
ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで、IGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ第2戦/GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第7戦として開催されている2022年のスパ24時間。66台のマシンがグリッドに着いた決勝レースは土曜日の16時45分、晴天の下ドライコンディションでスタートが切られた。
KPAXランボルギーニ、技術違反によりポール剥奪。30グリッド降格と340万円の罰金/スパ24時間
好スタートを決めホールショットを奪ったのは54号車ポルシェ911 GT3 R(ダイナミック・モータースポーツ)だった。クラウス・バクラーがドライブが乗り込んだマシンは、決勝を前に30グリッド降格の処分を受けた6号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ(オレンジ1・KPAXレーシング)に代わってポールポジションを得た88号車メルセデスAMG GT3(AMGチーム・アコーディスASP)を交わしレースの序盤戦をリードしていく。
オープニングラップに大きな混乱はなく、その後も比較的落ち着いた展開をみせていたレースだったが、77号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ(バーウェル・モータースポーツ)のパンクを皮切りにタイヤトラブルが続発する。この直後から7番手を走る66号車アウディR8 LMSエボII(アテンプト・レーシング)や3番手63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ(エミル・フレイ・レーシング)、さらに2台のクルマのタイヤがパンク。左右輪の違いはあったがいずれもリヤタイヤが悲鳴をあげた。
スタートから1時間後、最大スティント時間の65分にあわせて上位陣がピットへなだれ込む。首位に立つ54号車ポルシェはここでは順位を守ったが、コース復帰後に2号車メルセデスAMG GT3(AMGチーム・ゲットスピード)と88号車メルセデスにかわされ総合3番手に後退する。
シルバーカップエントリーの26号車アウディR8 LMSエボII(サンテロック・ジュニア・チーム)はスタートから1時間30分過ぎにブランシモンでクラッシュを喫した。フロントを大破しながらも自走でピットに戻ったためフルコースイエロー(FCY)やセーフティカー(SC)は出なかったが、同車は戦線に復帰することなく今大会のリタイア第1号となった。
このレース最初のFCYは57号車メルセデスAMG GT3(ウィンワード・レーシング)が他車と接触しスピンを喫した弾みでグラベルにはまった後に出され、これが2度目のルーティン・ピットタイミングと重なった。
各車のピット作業後も2号車と88号車によるメルセデスAMG勢のワン・ツーは変わらず。54号車ポルシェは4番手に順位を落とし、その間には221号車ポルシェ911 GT3 R(GPXマルティニ・レーシング)が割り込んだ。
スタートから2時間13分、SCランを経てリスタートを迎えるが富田竜一郎がスタートドライバーを務めた33号車アウディR8 LMSエボII(チームWRT)がグラベルにスタックするなど同時多発的にアクシデントが発生したため、ふたたびFCYが導入される。この時間帯には、さらにもう1回FCYが入っている。
■ポルシェのクラッシュにより赤旗提示
3時間目には4度目のFCYとSCが導入され、これのリスタート時には3回目のFCY時にピット作業を行わなかった55号車メルセデスAMG GT3(AMGチーム・グループM・レーシング)、221号車ポルシェ、98号車BMW M4 GT3(ローヴェ・レーシング)、46号車アウディR8 LMSエボII(チームWRT)が、ワン・ツーを築いていたメルセデス勢の前に躍り出る。
ピットタイミングに約20分のズレがある上位の2グループが入り乱れ始めたスタート4時間目の終盤、今レース5回目のFCYが出されたタイミングで首位の55号車がピットイン。これにより98号車BMWがトップに立ったが、5時間目には55号車と同時にピット作業を行った71号車フェラーリ488 GT3エボ(アイアン・リンクス)が首位に立つ。
その後はフェラーリとBMWによる接近戦が繰り広げられた状態で6時間目を迎える。しかし、71号車はレースの“クウォーター”で得られる選手権ポイントを受け取るためのラップでピットに入ったため、このボーナスは98号車にもたらされた。
現地の日付が変わる頃、序盤にレースを引っ張った54号車ポルシェがトラブルのためガレージで長い時間を過ごすことになる。また、63号車ランボルギーニのアクシデントなど複数回のFCYとSCランが導入される。そのなかでも71号車フェラーリと98号車BMWがレースを引っ張る存在となる。一方で9時間目は88号車メルセデスが総合トップで通過。ステアリングを握るラファエル・マルチェッロが後続へのリードを約10秒に広げてみせた。
しかし30分後、高速左コーナーのブランシモンで16号車ポルシェ911 GT3 R(EBM・グローブ・レーシング)がクラッシュを喫する。レースは当該箇所のバリアを復元するためにレッドフラッグが提示され、一時中断されることとなった。なお、ドライブしていた19歳のマット・ペインは病院でチェックを受けることになったが、幸い無事が確認されている。
この赤旗は42分間にわたって続いた後、2周のSCランをもってリスタートが切られる予定だったが、SCの先導中に221号車ポルシェがメカニカルトラブルで止まっため長引くことに。結局、レースは10時間40分から再開されることとなった。
この時点での首位は98号車BMWに変わっており、2番手にも姉妹車50号車が続きBMW勢がワン・ツー体制を築く。彼らはレース折り返しの12時間目もこのポジションを維持している。88号車メルセデスが3番手につけ、4番手に71号車フェラーリ、5番手には95号車アストンマーティン・バンテージGT3(ビーチディーンAMR)がつけている。
シルバーカップは総合12番手の4号車メルセデスAMG GT3(HRT)がクラストップを走行中だ。同クラスを戦う根本悠生組563号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ(VSR)は総合26番手/クラス6番手につける。
ゴールドカップでは女性ドライバートリオの83号車フェラーリ488 GT3エボ(アイアン・デイムス)がリードしており、富田も乗り込む33号車アウディは総合40番手/クラス8番手でレースを折り返している。
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