初回 英国でニュースになった速度違反
text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
モデル名を聞いて、連想する言葉はなんだろう。996型ポルシェ911のGT2といえば、側道の生け垣?ロータス・エリーゼといえば、ヘッドガスケット?
スープラと聞いたのなら。少し意地悪な読者なら、BMWと答えるかも。しかし数年前なら、チューニングといった言葉が紐付いたはず。4代目、A80型スープラの時代では。
トヨタ・スープラが誕生したのは1978年。セリカへ直列6気筒エンジンを搭載するため、フロントノーズを伸ばしたのが始まりだった。
3代目のA70型は、グループAカテゴリーの世界ラリーで戦っていたが、スープラの名前を一躍有名にしたのは、A80型だろう。ふくよかなカーブを描くボディが、日本のアフターマーケット・チューニングを、鮮明に映し出した。
その当時は、想像ができれば、大体は実現できた。充分な現金さえあれば。
A80スープラの絶頂期を迎える、きっかけの1台が誕生したのは1999年。日本ではなく、英国ピーターバラ近郊が舞台だった。
金色に塗られた、日本のトップ・シークレット社が生み出したスープラには、5.0LのV型12気筒エンジンが積まれていた。最高出力は943psだったらしい。代表のスモーキー永田は、高速道路のA1号線でスープラを走らせた。
午前4時、318km/hという最高速度を記録。もちろん警察に見つかり、彼は逮捕され、その日の午後には裁判が開廷。運転免許は剥奪された。英国のマスコミは、この話題を大きく取り上げた。
ワイルド・スピードが高めた世界的知名度
自動車雑誌、マックスパワーでは新しいヒーローの登場を歓迎。タブロイド紙は、悪者として記事にした。しかし、その中心にあったのは、間違いなくA80型のスープラだった。
彼の走りは、英国で犯された速度違反として、いまも最速のまま。一般道での全開走行としては、桁外れだった。
その頃の日本では、カストロールがスポンサーに付いたトムス・スープラが、スーパーGTクラスで活躍。速度違反のニュースを発端に、トムス・スープラは世界でも最も有名なレーシングカーの1台になった。
続く2001年、4代目トヨタ・スープラはハリウッド映画、ワイルド・スピード(ファスト・アンド・フューリアス)に登場。派手なレースシーンでメガヒットを飛ばす。
ユーチューブにも掲載されている名シーンが、ポールウォーカー演じるブライアン・オコナーが、スープラでフェラーリF355を追い抜くシーン。イタリア製のスーパーカーが負けるシーンは、いま見てもなかなか痛快だ。
ワイルド・スピードを見れば、スープラが好きになる。違法な改造パーツの物語が、伝説を作り上げた。
ところが時代は変わった。トヨタは、ハイパフォーマンス・クーペに背を向けてしまう。作り方を忘れたかのように。
そのかわり与えられたのは、小さすぎるMR-Sと、前輪駆動のセリカ。近年になってGT 86も登場するが、スープラに迫るモデルではなかった。
そして2018年、遂に後継モデルが発表。われわれの期待が高まらないわけがない。
BMWと共同開発のA90スープラ
待つこと2年、AUTOCAR英国編集部にもA90型の最新GRスープラがやって来た。A80スープラが現役だった頃、筆者は免許もない10代。新しいスープラを迎えられただけで、1つの達成感すらある。
ボディカラーは、鮮やかなプロミネンス・レッド。トリムグレードはプロと呼ばれるもので、レザー内装にJBL製のサウンドシステム、ヘッドアップ・ディスプレイとワイヤレス充電機能が付いている。
英国価格は、5万4960ポンド(747万円)。この価格帯には強敵が多い。アルピーヌA110にBMW M2、ポルシェ718ケイマン。そして、BMW Z4 M40iも選べる。
利益が見込めなければ、トヨタ・スープラは誕生しなかった。計画は当初からBMWと共同で進められ、Z4とスープラが並行して開発されていたことは、AUTOCARの読者ならご存知だろう。
エンジンとシャシー、電気系統を共有している点は大きい。ほぼ双子といってもいい。主要部品の多くはドイツ側の供給となっている。トヨタ・スープラは、一体どんな性格に仕上がっているのだろうか。
少なくとも、BMW Z4と直接ぶつかることはない。これまでの試乗で確認できている。
第一印象として、デザインはドイツ的でもない。A80型のようにボディには曲面が多用され、現代的に再解釈されている。ハイカラな雰囲気は、日本車的だ。
ロンドンのマジックアワーで見るスープラは、見事。街路灯と日没直後の光が映し出すボディには、素晴らしい稜線が浮かび上がる。フォトグラファーは、スタジオで照明を当てたようだ、と話すほど。
名車と近似するボディ・プロポーション
BMWやポルシェなど、ライバルは多彩だが、トヨタも負けてはいない。フロントエンジン・リアドライブ、ロングノーズの2シータークーペで、車重も軽い。前後の重量配分も理想的なものに近い。
エンジンは3.0Lの直列6気筒で、最高出力は339ps。電子制御のLSDを備え、ホイールは19インチ。タイヤはミシュラン・パイロットスポーツを履く。
ホイールベースと前後のトレッド幅との比率は、フロントエンジンの名車とも近い。フェラーリ575マラネロなど。
加えてGRスープラは、ボディサイズも丁度いい。全長はケイマンと同値で、全幅は50mmほど広い。ホイールベースは、GT86より短いことも驚きだ。
すべての要素は、熱中した運転だけでなく、幅広く得点を稼げる可能性を示している。長期テストでは、日常的な利用も含めて、スープラを多角的に評価していきたい。
待ちに待ったトヨタ・スープラ。復活したヒーローの名前に相応しい内容を備えているのだろうか。今から楽しみだ。
セカンドオピニオン
最初に運転したときから、新しいスープラが気に入っていた。第一印象が良いというのは、悪いことではない。
問題なのが、最大のライバルも愛しているということ。ポルシェ718ケイマンと、アルピーヌA110だ。アップデートを受けた、ジャガーFタイプとの位置関係も興味深い。近似している可能性もあると思う。 Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
テストデータ
テスト車について
モデル名:トヨタGRスープラ・プロ(英国仕様)
新車価格:5万4340ポンド(739万円)
テスト車の価格:5万4960ポンド(747万円)
オプション装備
プロミネンス・レッド塗装:620ポンド(8万4000円)
テストの記録
燃費:12.2km/L(WLTP値)
故障:なし
出費:なし
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