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ル・マン24時間初挑戦・6位入賞のD’station Racing。星野敏は悲願成就に「感無量」

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ル・マン24時間初挑戦・6位入賞のD’station Racing。星野敏は悲願成就に「感無量」

 8月18~22日、フランスのサルト・サーキットで開催されたWEC世界耐久選手権第4戦第89回ル・マン24時間耐久レース。TOYOTA GAZOO Racingが優勝を飾る一方で、今季はもうひとつの日本チームがデビューイヤーながら、LM-GTE Amクラス6位という好結果を残した。今季WECにフル参戦しているD'station Racingだ。チームオーナーであり、Aドライバーとして挑戦を続ける星野敏にとっては、悲願成就となった。

 アミューズメント事業を手がけるNEXUSグループのCSR活動の一環として、2017年から自社チームでモータースポーツ挑戦を開始したD'station Racing。都内のホテルでチーム立ち上げを発表した席上、オーナーの星野敏は「ル・マン24時間やデイトナ24時間に挑戦したい」という意志を示した。ジェントルマンドライバーならば最高の舞台であるのがル・マン。この目標を目指し、星野はチームのマネージングディレクターも務める藤井誠暢とともに、チームを育て、スーパー耐久参戦などさまざまな紆余曲折を経て挑戦を続けてきた。

D’station Racing 2021 WEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間 レースレポート

 そんな星野に、初めてのル・マン挑戦のチャンスが巡ってきたのが2019年。2018年のWEC富士にデンプシー・プロトンから参戦し好走をみせると、ル・マン参戦へのチャンスを掴んだ。しかし初挑戦のジェントルマンにとって、ル・マンスポット参戦は高いハードルがある。年間でWECを戦っていればまだしも、慣れた富士での経験しかなく、かつチームはいきなりクラスポールポジションを獲得。プレッシャーもあったか、星野はその年の決勝で接触やスピン等に見舞われ、チームはリタイアを決断。非常に悔しい思いを味わってきた。

 しかし2021年、星野とD'station Racingはふたたびル・マンに帰ってきた。新型コロナウイルス禍のなかでスーパー耐久との参戦を両立させ、アストンマーティンの強豪であるTF SPORTとの契約を藤井がまとめあげてみせた。慣れ親しんだアストンマーティン、シリーズフル参戦により感覚も掴みやすい状況が整った。

■「リスクを減らしながら、確実に結果を獲りに」
 D'station Racingは、今季のWEC第2戦こそ苦戦したものの、第3戦モンツァでは3位で初の表彰台を獲得。その勢いを保ち、8月15日(日)のテストデーでも、ル・マン初参戦の藤井誠暢が途中までトップとなるタイムをマークするなど、好調なすべり出しをみせる。星野もジェントルマンにとって高い壁であるラップタイム4分を早々に切った。

 8月18日からのフリープラクティスでも順調に決勝に向けたセットアップを続け、ナイトセッションも経験。ル・マン経験をもつアンドリュー・ワトソンが担った予選ではアタックラップにフルコースイエローが入ったり、トラフィックに見舞われたりと19番手でハイパーポール進出はならなかったが、チームは星野が今季に向けて掲げた“完走”を目標に見据え、ひたすら決勝に向けたクルマづくりを続けた。星野にとっても、19番手というグリッドは余計なプレッシャーを感じずに済んだはずだ。

 決勝レースでも、二度のタイヤパンクチャーや、フルコースイエロー時に喫したペナルティなどを除けば、極めて安定したラップを刻んだ。リスクがあるナイトセッションを藤井とワトソンで繋いだが、星野もブロンズドライバーとして必要な6時間を好ペースで走破。決勝を見すえたセットアップも功を奏し、順位は大きく上がり6位でフィニッシュ。D'station Racingとしての初挑戦で、大きな結果を残した。

「自分自身も初めてのル・マン24時間出場でしたが、テストデーの走り出しからクルマにスピードがあり、ピークのフィーリングをいち早く掴むことができたので、レース完走という目標に向けて、リスクを減らしながら、確実に結果を獲りにいけるような流れを組み立てることができたと思います」とマネージングディレクターでもありドライバーの藤井はレース後、チームレポートの中で語った。

「レースはハーフウエットやダンプなど難しい状況も多かったですが、星野選手、ワトソン選手、すべてのスタッフと力を合わせミスなく走り、6位まで順位を上げることができました。入賞、ノーミスで終えることができたので、来季以降に繋がる結果になったと思います。WECでもモンツァから良い流れが続いているので、残り2戦も良いレースができればと思っています」

■「ようやく心が晴れ晴れとした気持ちに」2019年の悔しさを晴らす
 そしてフィニッシュ後、「感無量です」と悲願成就に涙をみせたのは星野だ。「夢のル・マン24時間で、ついに完走という目標を果たすことができました。さらに6位入賞という結果を残すことができ、最高のレースになりました」とその喜びを語った。

「2年前に初めて挑戦したときは早々にリタイアしてしまい、本当に悔しい思いをしていました。しかし今回、こういう結果を残せて、ようやく心が晴れ晴れとした気持ちになりました。自分自身のスティントでも6時間を走りましたので、その点でも自信がついたような気がしています」

 WEC第3戦モンツァでの表彰台、そして今回のル・マン24時間初完走。またその間にはスーパー耐久での2位表彰台、また自身が長い間発展に寄与してきたフェンシングで、NEXUS FENCING CLUBの見延和靖選手がオリンピックの金メダルを獲得(報奨金1億を渡したのが星野)と、非常に良い流れが続いている。

「今年のWEC世界耐久選手権はまだ2戦が残っていますが、両戦ともに完走を目指し、今シーズンをしっかり締めくくりたいと思っています」と星野はこの流れをWECの残り2戦に繋げるべく、意気込みをみせた。

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