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【MotoGP】二輪レースの未来へ……ディーン・ベルタ・ビニャーレスのレース中事故死受け、”対策”への動きが始まる

掲載 更新 14
【MotoGP】二輪レースの未来へ……ディーン・ベルタ・ビニャーレスのレース中事故死受け、”対策”への動きが始まる

二輪のモータースポーツ界では、2021年だけでもこれまで3名ものライダーがレース中のアクシデントで亡くなっている。先週末起きたワールド・スーパースポーツ300でのディーン・ベルタ・ビニャーレスの事故を受け、この悲劇のサイクルを断ち切るために、緊急の安全性への変更が要求させたことが明らかとなった。

 モータースポーツは、大きな危険が伴うスポーツである。近年では以前と比べて安全性が格段に向上しているが、依然として大きなリスクが存在していることに変わりはなく、命を落とす可能性もいまだ存在している。

【訃報】ディーン・ベルタ・ビニャーレスがWSBKサポートレースで事故死。MotoGPライダー、マーベリックの従兄弟

 スーパーバイク選手権(WSBK)のサポートレースとして開催されたワールド・スーパースポーツ300(WSSP300)では、MotoGPライダーであるマーベリック・ビニャーレスの従兄弟、ディーン・ベルタ・ビニャーレスが複数台による悲劇的な事故に巻き込まれて亡くなった。まだ15歳であった。

 7月には、14歳のスペイン人ライダー、ヒューゴ・ミランがアラゴンで行なわれたCEVジュニア世界選手権のヨーロッパ・タレントカップのレース中に事故死した。6月には、MotoGP世界選手権Moto3クラスに参戦をしていた19歳のジェイソン・デュパスキエが第6戦イタリアGPの予選中に転倒し命を落とした。

 2021年のモーターサイクルレース界は、悲痛な想いを抱えている。そして、こうした事故が悲しいことに続発している。

 2019年には、20歳のアジアタレントカップのライダーであるアフリザ・ムナンダールがマレーシアで行なわれたレース中に死亡。2018年のCEV Moto3レース中には14歳のアンドレアス・ぺレスも同じくレースで事故死した。

 ミランの事故後、若いライダーをレースへ参加させるべきかを巡り、見解が変わりはじめた。そして、先週末へレスで起きたビニャーレスの悲劇を受け、対策を求める声は更に強まっている。

 レースは危険だ。それは誰も否定できないし、受け入れない人もいない事実である。しかし、モーターサイクルレース界全体としては、2021年の国際大会で3人の死亡者のうち2人を16歳以下のライダーが占めていることについて、一線を引かなければならない。

 ビニャーレスの事件の直後、国際レベルでのジュニア競技のあり方が問題視された。ビニャーレスが参戦をしていたWSS300にエントリーするための最低年齢制限は15歳だ。ジュニアMoto3世界選手権は14歳。MotoGP世界選手権Moto3クラスは16歳となっている。彼らがレースで使用するバイクは最高速度225km/hにも及び、参戦台数も多い。事故の起きたWSS300のレースには、実に42人のライダーが参戦していた。

 元MotoGPライダーのロリス・バズは、小型A2マシンをベースにしたWSS300について以下のように語った。

「僕にとってこのクラスは最も危険であり、好きではない。見たくもないし、見ていると恐くなる」

「あのバイクは重すぎる上、パワーも十分ではない」

 若干15歳でヨーロッパチャンピオンに輝いたバズは、WSS300マシンの限界について重要な指摘をする。それは、究極的にMotoGP世界選手権Moto3クラスに通じるものがある。この種のレースでは、大規模な集団でのポジション争いが常態化している。先頭グループに20台以上のマシンが並ぶこともある中で、パワーの無い性能が限られたマシンでレースをするためには、スリップストリームを使うことは速く走るための重要な要素となる。

 WSBKライダーのスコット・レディングも、安全性において次のように指摘した。

「問題は安全性が高まるにつれて、死亡事故が増えているということだ」

「10年前、15年前と何が違うのかを考えなければならない」

「何が違うかというと、とても接近戦のレースになったということだ。全てがレベルアップしていて、休むことができない。レースは素晴らしいが、15歳の子供達が40人もいて、同じバイクでしかも1秒以内の間隔にいるとなると、いつ何が起きても不思議ではない」

 またレディングは、接近戦でのレースの危険性を熟知する。2010年に彼は、Moto2クラスのミサノ戦で富沢祥也の命を奪った事故に巻き込まれたが、先週末彼が語ったことは「傷跡は癒えない」ということだった。

 ライダーが他のライダーの前でクラッシュをすることは、モーターサイクルレースにおいて避けることのできない事故のひとつだ。どんなに高度な安全性を備えていても、最高水準の装備であっても、高速での衝撃に耐えられない。先に挙げた全ての事故は残念ながらそうだった。

 スリップストリームで他のバイクの後ろに入ると、大勢のライダーが目に見えないアクシデントに反応するのが難しくなる。しかし、スリップストリームがラップタイムの鍵を握るというMoto3クラスの特性は、この問題をさらに大きくする。

 Moto3世界選手権では、レースディレクションが、予選で後追い走行をしようとするライダーを厳しく取り締まっている。結局ライダーは、計測ラップ1回の走行しか確保できないことが多い。デュパスキエの事故は、他のライダーたちと一緒に、予選の終盤の最終ラップに向けてプッシュしている時に起こった。

 ジュニアカテゴリーにももっとパワフルなマシンを与え、ラップタイムを稼ぐために個人のライディングスタイルに責任を持たせるべきだという意見が多い。スーパースポーツ600やMoto2、さらにはMotoGPやWSBKでは、10人以上のライダーが集団で順位を争うことはあまりない。実際、国際レースの大きなマシンのクラスで死亡事故が発生することは非常に稀であり、WSBKやMotoGPなどの競争環境が近年大きく変化しているにも関わらず、そのような状況が続いている。

 しかし、マシンをパワフルにすればすべてが解決するというわけではない。MotoGPのレジェンドであるバレンティーノ・ロッシは、近年この問題について訴えているひとりだ。Moto3クラスでは、ライダーがクラス昇格を目指す上で、よりアグレッシブで危険なレースが行なわれるようになっているとロッシは感じているというのだ。これは、MotoGPやWSBKレベルでは許されないことである。

 ではどうすればいいのか。ジュニアクラスの参加台数を削減することは、これらの事故を受けて多くの人が訴えていることだ。また危険すぎる行動を止めさせるために、より厳格な競技規則や厳しい罰則を設けることも提案されている。

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みんなのコメント

14件
  • 個人的な見解ですが、まぁ…つくづくGP125とGP250は良く出来たクラスだったと思います。
    パワフルかつ車重も軽くてコントロールがシビアな分ライダーのスキルも上がり、転倒してもマシンの破損度合いは軽い。
    何より自身でメンテナンスも容易で地方選から世界GPまでを夢見る事が可能で有った。
    最近では有鉛GASの悪影響に疑問も付される様に為ってある様ですので、復活しても良いんぢゃないですかね?
  • 子供のレースとしてはプロフェッショナルすぎると思う。ジュニアなら重くて非力なバイクでハイスピードサーキットを走るより、コストの安いミニバイクでカートコースを走るほうが技術は向上するしスピードレンジも低くて大きなケガに繋がりにくい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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