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ポルシェ 718 ボクスター GTS 4.0、中世の趣残す古都リエカで元祖「GTS」とランデブー

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ポルシェ 718 ボクスター GTS 4.0、中世の趣残す古都リエカで元祖「GTS」とランデブー

Porsche 718 Boxter GTS 4.0 / 904 Carrera GTS

ポルシェ 718 ボクスター GTS 4.0 / 904 カレラ GTS

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中世・ハプスブルク時代の街並みを駆け抜けるボクスター

ローマ帝国、ハプスブルク家支配の色を強く残す、アドリア海に面したクロアチアの港湾都市リエカ。この美しい港町を舞台に、1963年型ポルシェ 904 カレラGTSと、「GTS」を名乗った最新モデル 718 ボクスター GTS 4.0が邂逅を果たした。

古の香りを残すリエカの街並みに朝日が降り注ぐなか、新型718 ボクスター GTS 4.0が入り組んだコーナーを駆け抜けていく。離れていてもボクサー6の鼓動はしっかりと確認できる。それは、それぞれのギヤでの音の違いを判別できるほどクリアに届く。

中世に建設された歴史的な要塞の隣には天文センターがあり、リエカの住民たちはいつでも星空を楽しむことができる。パイソン・グリーンのボクスターは郊外のワインディングロードを楽しみ、優雅に港へと向かった。

街の人々は歩みを止めて、その美しく鮮やかなボディカラーを見つめている。小学校を通過すると歓声が上がった。そのフォルムから、たとえ小さな子供であってもすぐにポルシェだと認識できるのだろう。

モロ・ロンゴで実現した新旧GTSの邂逅

このモデルは「GTS」の名前が与えられた「グラン・ツーリスモ・スポーツ」だ。ポルシェにおいて伝説的なGTSの称号は、高いレベルの快適性に加えてスポーティさを兼ね備えていることを意味している。

718 ボクスター GTS 4.0はオーストリア・ハンガリー帝国時代の宮殿や社会主義時代の高層ビルの間を駆け抜けていく。目的地は地元で「モロ・ロンゴ(Molo Longo)」と呼ばれている、全長1707mの防波堤でお馴染みの港だ。そこには、GTSの名が最初に与えられた、1963年製ポルシェ 904 カレラ GTSが待っていた。

厳しい耐久レースで性能を証明してきた「GTS」

美しい埠頭では、彫刻のようなエレガンスと厳しさを湛えた904 カレラ GTSが、”子孫”を待っていた。GTSのデザインは、かつて911を手掛けた“ブッツィ”ことフェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェが担当している。

その特徴的なヘッドライトが印象的な、ガラス繊維強化プラスチック製ボディワークにより、車重はわずか650kg。全高1.06mと低く構えたレーシーなフォルムのミッドには、最高出力132kW(180ps)を発揮する2.0リッター自然吸気フラット4エンジンが搭載される。その最高速度は263km/hを記録した。

1964年に実戦デビューすると様々な国際耐久レースに旋風を巻き起こした。その年のセブリング12時間レースにおけるクラス優勝に始まり、ル・マン24時間でもクラス優勝、さらにイタリア・シチリア島で開催される公道レース「タルガ・フローリオ」で1-2フィニッシュを達成した。この瞬間、ポルシェに「GTS」という新たな称号が生まれたのである。

「GTS」の頭文字は、現在でも強力なパワーユニット、高められたパフォーマンスを意味している。それは、ヴァルター・ロールのドライブで1981年シーズンのドイツ・ラリー選手権で勝利した924 カレラ GTS、2010年にデビューした初代911 カレラ GTSにも当てはまっている。また、2012年に登場したカイエン GTSは、当時最もダイナミックなSUVのひとつだった。

高いパフォーマンスと快適性の両立という904 カレラ GTSのコンセプトは、日常域での使用(ガレージとサーキットの往復など)も踏まえたプライベーター用レーシングカーとして実現した。登場から半世紀以上が経過した現在では、ポルシェの全モデルに最もスポーティなバージョンとしてGTSがオーダーできるようになっている。

リエカからクルク島へのボクスター GTSでのドライブ

再び、クロアチアへと戻ろう。2020年、リエカはアイルランドのゴールウェイとともに、欧州文化首都に選出された。アドリア海に面するクヴァルネル湾は、美しいヨットが静かに停泊し、水面がキラキラ揺れている。「多様性の港(Port of Diversity)」をモットーに掲げ、街は活気に溢れていた。文化を楽しむ1年として、2020年は600以上のイベントが計画されており、世界中から400万人以上の観光客が訪れると予想されている。

リエカは様々な表情を持った街だ。中世に建設されたトルサット要塞を見下ろすと、1970年代に建てられた古典主義デザインの邸宅が不思議なコントラストを生み出している。そしてその間には、廃墟となった工場や、第二次世界大戦の忘れ去られた地下壕が点在しているのである。

そして今、クロアチアの真珠は美しく磨かれようとしている。古い工場はイベント会場や文化的なスペースに、地下壕はレストランやバーへと変貌を遂げ、古い建物が再び新たな輝きを放つようになった。

2台のGTSは、そんなリエカの風景に完璧な調和をもって溶け込んでいる。718 ボクスター GTS 4.0は、市街の慌ただしい喧騒を離れ、近郊のクルク島へと向かった。最新ミッドエンジンスポーツカーはすぐに実力を発揮し、4.5秒後には100km/hに達した。そのままのスピードで走り続けることもできるが、その風景や光は、ただ通り過ぎてしまうにはあまりにも惜しい。

718 ボクスター GTS 4.0に搭載される4.0リッター水平対向6気筒自然吸気ユニットは400psを発揮し、最高速度は293km/h。標準装備の「ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメント(PASM)」は20mmのローダウンを実現し、「ポルシェ・トルクベクタリング(PTV)」と組み合わせることで、あらゆるドライビングスタイルにも適応してくれる。そして、曲がりくねったワインディングロード、高速道路、ゆったりとした街中でも快適な走りを実現した。

この先も綴られていくGTSの伝説

クルク島の石畳の風景を縫うようにヘアピンが続く。左手に山岳部、右手には断崖絶壁と海が見える。718 ボクスター GTS 4.0でのドライブは、まるで904 GTSで1964年のタルガ・フローリオを制したアントニオ・プッチになったような気分をもたらしてくれる。プッチは、コ・ドライバイバーのコリン・デイビスとコンビを組み、7時間10分で10周(1周72km)を走り切り、伝説的な総合優勝を達成した。

904 GTSの伝説は、718 ボクスター GTS 4.0にもしっかりと継承されている。正確無比なハンドリング、そしてスポーティでエレガントな雰囲気が、極上のドライビングプレジャーをもたらしてくれるだろう。アルカンターラ製スポーツシートは標準装備、オプションでコントラストステッチを追加することもできる。ボディサイドやリヤ、スピードメーターやヘッドレストなど、目立つ位置に配置された「GTS」のロゴも非常に印象的だ。

718 ボクスター GTS 4.0でのドライブを終えプロチェ・ビーチに降り立つと、地平線上の低い太陽がGTSのメタリックボディを金色の光で照らしていた。クロアチアでの美しいドライブ体験は終わりの時を迎えた。だが、ブッツィ・ポルシェによって生み出されたGTSの伝説は、この先も続いていく。

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