■トヨタの「超快適ミニバン」となる「FCVグランエース」で寝てみた!
トヨタは、燃料電池車(FCV)として「ミライ」を販売していますが、それ以外にも「グランエース」や「ハイエース」、「コースター」の試作車を製作して、地方自治体や各団体へ実証実験のひとつとして提供し、水素の価値を高める取り組みをしています。
そのなかで、「FCVグランエース」は何台か試作されていますが、その初号機ともいえる貴重な1台で車中泊をすることにしてみました。水素の価値を体感して寝ることは出来たのでしょうか。
【画像】こんな体験出来ない! トヨタ超快適ミニバンで車中泊! FCVグランエースの実車見る!
FCVグランエースの試作車は、2021年1月に開催された箱根駅伝でひっそりと走行していたことが話題となりました。
その後、FCVグランエースは、初号機、1号機、2号機と製作されていき、それぞれ見た目やFCユニットはミライのものを流用しているのは共通ですが、内装はこだわって製作されています。
白いボディカラーが特徴的な初号機と、黒いボディカラーの2号機、出来立てホヤホヤの3号機について担当の浜田氏は次のように説明しています。
「初号機は色々な人に使ってもらい『水素の価値』を広めるという意味で製作しました。
2号機や3号機は、それぞれで頂いたフィードバックをもとに製作しています。
FCユニットは基本的に初号機、2号機、3号機共にミライのものを使っています。
ただし、2号機では重量に合わせてステアリングやブレーキ、ECUの部品を一部変更。3号機では後席の乗り心地に関する部分に手を入れています。
エクステリアは、標準仕様に対して初号機はゴールドのラインを入れていますがほかには変わりなく、2号車と3号車では黒いボディカラーというだけです。
インテリアでは、全車で前席と後席の間にパーテーションを設置しています。
後席ならび荷室部分では、初号機がひとつの空間とし3座のキャプテンシートとモニターを設置して、オンラインや3人での会議などが可能です。
2号機では、ふたつの空間を用意。前方部に大型モニターと2座のキャプテンシートを設置することで移動しながらのオンライン会議や仕事が出来るようになっています。
後方部は、片側側面にキャビネットともう一方の側面に折りたたみデスクとモニターを搭載し真ん中に簡易チェアを配置することで、停車時の利用を想定してオフィスにいるより快適なオンライン会議が出来るようにという部分を意識しました。
3号機では、標準の3列目位置に2座のキャプテンシートを用意し、パーテーションに大型モニターを設置。
これにより、対面シートのある初号機や後方部空間のある2号機よりも余裕のある空間に仕立てています。
また、3号機ではパーテーション下部に大きな木目調キャビネットや四隅にスピーカーが設置され、豪華でリラックス出来る空間となりました」
また、これらのFCV試作車について吉田氏は次のように話しています。
「グランエースやハイエースなどは色々なお客さまに使って頂き『水素の価値』を広めたいと思っています。
グランエースはいくつも作って、使ってもらうことで私達だけでは気づかない価値をフィードバックして頂いています。
それをもとにさらにカイゼンしたものを作っていく段階です」
※ ※ ※
今回、FCVグランエースの3号機は2022年6月3日から5日に開催された「スーパー耐久シリーズ 第二戦 富士24時間レース」に参戦するROOKIE Racingのピット周辺の電気などを供給する部分で使用されていました。
トヨタとROOKIE Racingは、「カローラ」に水素エンジンを搭載して参戦していますが、その裏ではFCVを使った水素社会のノウハウ集めもおこなわれていたようです。
■いざ、世界に1台のFCVグランエースで車中泊にトライ!
今回は、FCVグランエースの初号機を借りて、実際に車中泊が可能なのかを試してみました。
場所は前述の富士24時間レースの駐車場で、このレースは土日にかけて一般ユーザーがキャンプや車中泊を楽しめることでも人気のイベントです。
初号機の周りには、一般ユーザーが車中泊しているため、夜中の物音などには気をつけたい部分だといえます。
従来のエンジン車による車中泊では、冷暖房などを使う際にはエンジンを始動しなければなりません。
しかし、FCVグランエースであれば真夜中でもシステム始動していても無音です。
また、今回は水素を充填する機会はありませんでしたが、電気自動車(BEV)であれば充電に30分以上かかるものの3分ほどで完了する点もFCVの魅力といえます。
実際の寝心地としては、従来の車中泊仕様のようにフラットにしてエアベッドに寝袋を設置しているわけでなく、グランエースの純正キャプテンシートで寝ることにします。
寝返りなどはしづらいものの、包み込むようなキャプテンシートはほぼフラットにまでリクライニング可能なことから、飛行機のファーストクラスのような寝心地です。
さらに、前述のように真夜中でもシステムを起動していられるために、クルマに備え付けられている空調設備以外に、家庭用家電のヒーターやクーラーをあわせて使い続けられることも魅力です。
※ ※ ※
今回の初号機は、ミライと同じ水素タンクを備えているため一般家庭約4日間の電力が供給可能となります。
このようなことから、昨今流行りのアウトドアや車中泊、そして万が一の災害時の避難場所としてもFCVグランエースは活躍出来る存在だといえます。
今後もFCVの試作車は製作していくといいますが、次なる仕様がどのようなものになるのか、期待が高まります。
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みんなのコメント
carviewでは車中泊が大ブームだね