7人のレースウィナーが誕生した2024年シーズンを終えて、F1は未来を見据えている。テクニカルレギュレーションが刷新される2026年からはゼネラル・モーターズ(GM)傘下のキャデラックが新規参戦を開始することが決まるなど、世界的なF1人気は衰えを知らない。
F1招致を目指す団体の数も、1年間に開催可能なスケジュールを遥かに上回っている。イタリアでは現在、イモラ・サーキットでエミリア・ロマーニャGPを、モンツァ・サーキットでイタリアGPを開催しているが、この2レースが需要の高いカレンダーに残るためには、それぞれに条件を飲む必要があるようだ。
■鈴鹿サーキットでのF1日本GP開催契約、延長期間が5年になった理由
2025年で期限を迎える現在のコンコルド協定では1年間の最大開催数は25戦と定められているが、現実的には現在の24戦が実現可能な上限と考えられている。その中で、ザントフールトでのオランダGPが2026年で契約終了となり、F1はスパ・フランコルシャンとベルギーGP開催契約を2031年まで延長したが、2028年と2030年は開催がスキップされることとなった。
これによりF1が水面下で計画してきたヨーロッパでのローテーション開催が具体的なモノとなってきた。既に2026年からスペインGPがマドリード市街地で開催されるが、現在同グランプリを開催するカタルニア・サーキットの契約も残っている。
イモラでのエミリア・ロマーニャGP開催契約は2025年まで。同じくイタリアでF1を開催するモンツァは少なくとも2031年までカレンダーに残ることが決まっているが、その未来が安泰というわけではない。1国での複数グランプリ開催は現時点で、F1ブームに湧くアメリカだけの特権のようだ……。
「モンツァとの契約は、インフラの近代化という点で重要なコミットメントと共に更新された」
AutosprintのインタビューでF1のステファノ・ドメニカリCEOはそう語った。
「去年モンツァで行なわれたことは、求められてきたことの第一歩に過ぎない。幸運にも歴史的な場所と見なされたからといって、古いままである必要はないという考え方だ。歴史的なモノは、それが未来に投影されて初めて価値を持つのだ」
「(モンツァがある)ブリアンツァの施設は近代化の必要がある。ACI(イタリア自動車クラブ)のアンジェロ・スティッキ・ダミアーノ会長は、ある種のコミットメント示しており、彼のコミットメントがなければ色々と合意をまとめるのは難しかっただろう」
「経済的な部分について、この地域から政府レベルでしっかりと意見が出されたことは明らかだ。今はイモラのために、そうしたことを考えなければならない」
ドメニカリCEOはF1カレンダーの将来あるべき姿について明確なビジョンを持っている。ただ、ドメニカリCEOが恩情を感じているのは、COVID-19の世界的蔓延の際、カレンダーを埋めるためにイモラが真っ先に手を上げたことだ。そうした背景から、ローテーション制の中にイモラは組み込まれるかもしれない。
その一方で、モンツァはF1が求める高い水準を満たしカレンダーに残るため、今後も厳しい目が向けられることになる。
「イモラにはプロジェクトを継続し継承する意志がある」とドメニカリCEOは言う。
「イモラはローテーション制に適合しうる重要なサーキットだが、モンツァは違う。確かに、ブリアンツァが合意を尊重しないのであれば、強力なオファーが既に用意されているはずだ。絶対にないとは言い切れない。来シーズン開幕前には、将来のポジションが決まるだろう」
パズルを組み立てるのは簡単ではないが、現在はグランプリを開催していないアフリカにF1が再上陸するという明確な意志が示されている他、フランコ・コラピントのF1デビューで湧くアルゼンチン、韓国、トルコ、大阪などが本格的に招致に乗り出せば、F1カレンダーの結び目は解かれる。
イモラはスパ以外のサーキットでも代替的な役割を果たす可能性があるが、モンツァはF1招致ゲームに足元をすくわれないよう、改善を続ける必要があるのだろう……。
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