次世代モデルに向けた実験的プロトタイプ
フランスのスポーツカーブランドであるアルピーヌは、A110をベースとしたEVプロトタイプ「A110 E-ternite」を公開した。
【画像】電動パワーユニット搭載の2ドア・スポーツカー【アルピーヌA110 E-terniteを標準モデルと写真で比較】 全50枚
アルピーヌA110の誕生60周年を記念して発表されたこの車両は、ブランド初の実走行可能なEVであるだけでなく、初のドロップトップモデルでもある。剛性とデザインへの影響を最小限に抑えた、取り外し可能なルーフを備えている。
次世代のアルピーヌA110は、エンジン車ではなく完全EVとなる予定だ。ルノー由来のEVプラットフォームをベースにしたモデルラインを展開するが、アルピーヌの独自性を高度に維持していくという。
ブランドCEOのローラン・ロッシは、「我々はA110のDNAを守りたいと考えており、プラットフォームを共有していながら、他のモデルとはかなり異なるものになるだろう」と語っている。
今回公開されたA110 E-terniteは、2025年に登場するEVモデルとの関連性については明言されていないが、コンパクトで軽量、ダイナミックな性能とスピードという、ファンに定評あるフォーマットに対するアルピーヌのコミットメントと位置づけられている。
フラッグシップスポーツカーの電動化に向けた実験的なプロトタイプで、アルピーヌは「名誉ある過去と、野心的な未来との架け橋」と表現している。
特製デュアルクラッチに特製ルーフ
A110 E-terniteは、現行モデルと同じシャシーをベースに、ルノー・メガーヌEテック・エレクトリックのバッテリーを使用している。A110の特徴であるミドシップならではのハンドリングを再現するため、バッテリーを複数の特製ケースに収め、最適な重量配分で配置している(フロントに4個、リアに8個の構成)。
バッテリー重量は392kgだが、アルピーヌによると全体的な重量増加は258kgに抑えられ、車重は1378kgとなっているという。もし、次期A110 EVの車重がこの程度であれば、市販EVの中で最も軽い部類に入るかもしれない。軽さはハンドリングだけでなく、エネルギー消費効率にも有利に働く。アルピーヌは、1回の充電での航続距離を420kmと謳っている。
プロトタイプの性能は、ベースとなった内燃機関車に匹敵するものだ。リアに搭載された1基のモーターから最高出力242psと最大トルク30.5kg-mを発生し、0-100km/h加速4.5秒、最高速度249km/hを達成する。
求められる性能に見合うトランスミッションが「社内になかった」ため、サプライヤーであるゲトラグと協力して、標準のA110のDCTを電動パワートレインに適合させたという。これにより、「コンパクトで軽量でありながら、トルクの切れ目をなくすことができる」とのこと。
A110 E-terniteは、オープンルーフと専用のリアデッキを除けば、デザインは内外装とも標準モデルと同じ。キャビンには、タッチスクリーン、「最新鋭」のサウンドシステム、クライメート・コントロールがそのまま採用されている。
ルーフパネルは自社で設計・製造し、一部にリサイクルカーボンを使用することで、剛性と重量を最適化し、サステイナビリティを高めている。アルピーヌによると、亜麻はカーボンファイバーと同等の強度を持ち、音響特性にも優れているという。
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