現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > アストンマーティン DB11の到達点「DB11 AMR」が魅せるジキルとハイド 【Playback GENROQ 2019】

ここから本文です

アストンマーティン DB11の到達点「DB11 AMR」が魅せるジキルとハイド 【Playback GENROQ 2019】

掲載 更新 2
アストンマーティン DB11の到達点「DB11 AMR」が魅せるジキルとハイド 【Playback GENROQ 2019】

Aston Martin DB11 AMR

アストンマーティン DB11 AMR

キャデラック XT4は「乗らなきゃ損」なコンパクトSUV! 渡辺慎太郎が試乗して痛感した実力をレポート

新たなる系譜

アストンマーティンが新たに用意したサブブランドがAMRである。もちろんレーシーな実力を持つ1台であることは言うまでもない。その戦闘的な名前から想像される実力の程を島下泰久が確かめた。

「刺激的でありながら従順で快適。だが、その本質はやはり猛獣めいていた・・・」

AMRの名が示すのは当然アストンマーティン・レーシングのことであり、その名がつけられた市販モデルは、そのレースシーンからのフィードバックがふんだんに採り入れられた、よりパフォーマンス志向のアストンマーティンと位置づけられる。まあ、そんなことは改めて説明するまでもないだろう。

ましてやこのカラーリングである。世界限定100台というスターリンググリーンのボディカラーにライムのストライプの組み合わせは、ワークスレーシングカー直系。無論、これはほんの一例でオーナー諸氏は多様なコーディネートを楽しむに違いないが、こういう組み合わせをロードカーでもしれっと着こなしてしまうのは、さすが英国車である。

「0-100km/h加速3.7秒、最高速度は334km/hに到達したV12ツインターボ」

DB11 AMRは、2016年の発表以来、これまで世界で4200台を販売する成功作となったDB11のV12モデルに代わり、ラインナップの頂点に君臨する存在だ。その心臓であるV型12気筒5.2リッターツインターボエンジンは最高出力が31ps増の639psに引き上げられ、V8モデルに対して実に129psもの差をつけるに至った。ギヤボックスの制御も見直されて、結果的に0-100km/h加速は0.2秒速い3.7秒に。そして最高速は334km/hに到達している。

それに合わせてシャシーも見直されている。V12モデルの登場以降にアストンマーティンにチーフエンジニアとして加わったマット・ベッカー率いるチームの仕事である。

「シート中央のストライプやステッチはライムで統一され、派手なのにシック」

内外装はカラーリングだけでなく仕立ても特別だ。外装はレンズ類、グリルやモール類などが軒並みモノトーンで揃えられ、特に試乗車は特別仕様ということでカーボンファイバーのパーツがこれでもかとあしらわれている。鋭く前に突き出したリップスポイラー、鍛造20インチホイールとも相まって、迫力あるいは凄みは相当なものだが、地上高などは十分確保されているから、日常使いに支障をきたすことはなさそうだ。

内装はレザーとアルカンターラをふんだんに使用。シート中央のストライプやステッチはライムで統一されていて、派手なのにシックだ。AMRのロゴは、スカッフプレートに光り輝くだけと控えめである。

「リズム良く街乗りをこなせるが、もちろん本領が発揮されるのは、その先の領域」

やまない雨を恨めしく見やりつつ、未だ慣れない特異な形状のステアリングホイールを握り走り出す。この車名、この出で立ちだけに思わず身構えるが、実際のDB11 AMRは想像とは真逆の、きわめて上質な乗り味で迎えてくれた。

相応にスプリングレートは高そうだが、ダンパーの初期の動きが非常に柔らかく、衝撃を丸めてくれる。正直、街中もSモードでいいと思うぐらいのしなやかさだ。S+にするとさすがに揺すられ感が出てくるが、それも十分、許容範囲である。

エンジンは低回転域からトルク分厚く、アクセルペダルに軽く足を乗せるだけでグイグイと背中を押してくる。100km/h巡航時のエンジン回転数は1300rpm。ここで淡々と流しているだけでも、少しだけ音量を増した排気音ともどもエンジンの心地よい息吹が伝わってきて豊潤な気分になれる。8速ATの変速は明らかに素早く、リズム良く街乗りをこなせるが、もちろん本領が発揮されるのは、その先の領域だ。

「6000rpmを過ぎた辺りで最後のロケットを点火するかのように勢いが高まる」

意を決して右足に力を込めると、その豊かなトルクをさらに二乗で上書きしていくが如く猛烈な勢いで力強さを増しながら、高回転域まで一直線に駆け上がり始める。それだけでも血の気が引くのに、さらに6000rpmを過ぎた辺りで最後のロケットを点火するかのように勢いが高まり、瞬時にトップエンドまで到達するのだ。Dレンジでは7200rpmからのレブリミットより手前、6800rpm辺りでシフトアップするが、それで不満があるものか。雨の中、低いギヤでの加速では決まってここで姿勢を乱そうとするから、ESPは切らない方がいい。

フットワークも負けず劣らず刺激的。操舵に対して軽やかに反応して、車体の大きさを意識させないのだ。ひらりひらりとニュートラルに近い絶妙な前後バランスで曲がっていくからコーナーの連続する区間がとにかく快感。アンダーステア知らずだから、気付くとどんどん通過速度が上がってしまう。

登場当初のDB11は街乗りはいいのに、いざ攻めると姿勢が落ち着かず手を焼いたものだが、マット・ベッカーが来て手がけたDB11 ヴォランテはリヤのサブフレームマウントを大幅に固めるなどのチューニングによって見違えるほど質高いフットワークに変身していた。DB11 AMRの走りはまさにその延長線上にあって、非常に良く曲がり、安定していて、きわめて洗練されている。もっとも雨の中、しかも外気温が低い環境ではグリップ感は今ひとつで、路面の継ぎ目では横っ飛びしていたから、無理は禁物だ。

「普段使いに我慢を要せず、しかしドライバーを確実に鼓舞する按配は見事」

車名からはレース直系のスパルタンな存在を想像したが、果たしてDB11 AMRは、従来のV12にピリッとスパイスを利かせた、アストンマーティンらしいスポーツモデルであった。普段使いに我慢を要せず、しかしドライバーを確実に鼓舞する、その按配は見事と言っていい。

そもそもAMRの主戦場である耐久レースで肝要なのは、瞬発力以上に長い時間ハイパフォーマンスを維持し続けることである。そう考えれば、この名とこの仕立てには整合性も説得力もある。結局やまなかった雨の帰路、その高い完成度に満足しながら、今後ラインナップを増やしてくるであろうAMRシリーズに大いに期待を膨らませたのである。

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)
PHOTO/小河原 認(Mitomu KOGAHARA)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

フォーミュラE王者のウェーレインがデイトナデビューへ。すでにポルシェ963でのテストを終える
フォーミュラE王者のウェーレインがデイトナデビューへ。すでにポルシェ963でのテストを終える
AUTOSPORT web
100万円台で衝撃の走り! スポーツモデルもブッちぎれる[バカッ速実用車]5選
100万円台で衝撃の走り! スポーツモデルもブッちぎれる[バカッ速実用車]5選
ベストカーWeb
雄大なレイクビュー楽しめる、白樺リゾート池の平ホテルの「湖天の湯」【風呂じまんの宿31選】
雄大なレイクビュー楽しめる、白樺リゾート池の平ホテルの「湖天の湯」【風呂じまんの宿31選】
グーネット
2025最新版《WR-V》ズバリ! “買い”のポイント
2025最新版《WR-V》ズバリ! “買い”のポイント
グーネット
違いは歴然!! 新型[アコード]は気持ちいいクルマに! 更なる進化に向け今後期待したいことは?
違いは歴然!! 新型[アコード]は気持ちいいクルマに! 更なる進化に向け今後期待したいことは?
ベストカーWeb
新型[ハリアー]は大変身!? 新開発エンジンでボンネットが超低く!! 1.5Lターボ搭載のハイブリッドで登場なるか
新型[ハリアー]は大変身!? 新開発エンジンでボンネットが超低く!! 1.5Lターボ搭載のハイブリッドで登場なるか
ベストカーWeb
地球の自転を感じながら南へまっすぐ1000キロ走破! 赤土のアウトバックを時速120キロで爆走…受付閉鎖3分前にギリギリセーフ!!【豪州釣りキャンの旅_14】
地球の自転を感じながら南へまっすぐ1000キロ走破! 赤土のアウトバックを時速120キロで爆走…受付閉鎖3分前にギリギリセーフ!!【豪州釣りキャンの旅_14】
Auto Messe Web
ハジャルの起用は“育成プログラムのコンセプトの証明”。RB代表は「アイザックと裕毅は素晴らしいチームになる」と期待
ハジャルの起用は“育成プログラムのコンセプトの証明”。RB代表は「アイザックと裕毅は素晴らしいチームになる」と期待
AUTOSPORT web
アイザック・ハジャルがF1昇格。RBが2025年の起用を発表「チームのためにベストを尽くす準備はできている」
アイザック・ハジャルがF1昇格。RBが2025年の起用を発表「チームのためにベストを尽くす準備はできている」
AUTOSPORT web
計29サイズ! ブリヂストンが新型タイヤ「REGNO GR-X III TYPE RV」を発売へ! ミニバン・コンパクトSUV向けに深みを増したタイヤとは!?
計29サイズ! ブリヂストンが新型タイヤ「REGNO GR-X III TYPE RV」を発売へ! ミニバン・コンパクトSUV向けに深みを増したタイヤとは!?
くるまのニュース
ヤリス・クロスの韓製ライバルの実力は? ヒョンデ・バイヨンに試乗 6速MTで軽快な走り!
ヤリス・クロスの韓製ライバルの実力は? ヒョンデ・バイヨンに試乗 6速MTで軽快な走り!
AUTOCAR JAPAN
メルセデスAMG本社へはドイツ版新幹線「ICE」の1等車で! 優雅な旅を堪能できるかと思いきや、元気なオバサマたちに邪魔をされ…【みどり独乙通信】
メルセデスAMG本社へはドイツ版新幹線「ICE」の1等車で! 優雅な旅を堪能できるかと思いきや、元気なオバサマたちに邪魔をされ…【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
ホンダ「0シリーズ」SUVが来月初公開へ 米CES 2025でプロトタイプ2車種を出展
ホンダ「0シリーズ」SUVが来月初公開へ 米CES 2025でプロトタイプ2車種を出展
AUTOCAR JAPAN
大人好みに進化したアウトランダーPHEV【九島辰也】
大人好みに進化したアウトランダーPHEV【九島辰也】
グーネット
“トヨタのなかでトップレベルで戦えるドライバー”平川亮のF1テストは「コースをはみ出すことすらなかった」と中嶋TGR-E副会長が評価
“トヨタのなかでトップレベルで戦えるドライバー”平川亮のF1テストは「コースをはみ出すことすらなかった」と中嶋TGR-E副会長が評価
AUTOSPORT web
2025年始動、世界初の水素燃料ワンメイク競技『エクストリームH』がFIAのワールドカップ格式を取得へ
2025年始動、世界初の水素燃料ワンメイク競技『エクストリームH』がFIAのワールドカップ格式を取得へ
AUTOSPORT web
【ドイツ】プリウス顔な新型「ハイパークーペ」がスゴイ! 5リッター「V8」搭載のナラン・オートモーティブの新モデルとは
【ドイツ】プリウス顔な新型「ハイパークーペ」がスゴイ! 5リッター「V8」搭載のナラン・オートモーティブの新モデルとは
くるまのニュース
上海汽車傘下のMG、「半固体電池」搭載EVを2025年発売 コスパ強調
上海汽車傘下のMG、「半固体電池」搭載EVを2025年発売 コスパ強調
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

2件
  • 最近のアストンはなんと無く尖って来てしまったなあ。
    パワーはそこそこで、優雅に走る車がイメージだったけど。
    速いけど、そこまで速さを求めない車というか。
  • 国内の高速道路なのかなぁ?そこそこ平坦な道を100km/hで巡航してたらDレンジなら恐らく6速以上で、そこから更に6,000rpm超えるまで踏んだら瞬時に優に200km/h越えるんじゃないかな、それを雨道で…怖っ!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2580.02870.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1130.02450.0万円

中古車を検索
DB11の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2580.02870.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1130.02450.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村