三菱自動車は、残価設定型ローンを活用し、2月に発売するピックアップトラック「トライトン」の販売を促進する。系列金融会社の三菱自動車ファイナンスが5年後の残価率を63%に設定。車両価格帯はトヨタ自動車「ハイラックス」よりも高いものの、戦略的な残価率を設定することで事実上の価格競争力を引き上げる。アウトドア人気などでピックアップトラックへの関心が高まる中、金融商品を活用し、ターゲットの裾野を広げる。
60回払いで月間1000km以内に走行距離を制限した場合の残価率を63%に設定した。同社主力車種の残価率を同様の条件で見た場合、「アウトランダーPHEV」(Mグレード)、「デリカミニ」(Gグレード)残価率はそれぞれ47%で、トライトンは同社のラインアップの中で最も高い残価率となる。
三菱自動車「トライトン」、カスタム用品パッケージの付帯率で新車販売の2割めざす
トライトンに高残価を設定した理由は2つある。1つ目は、ピックアップトラックは、そもそも流通台数が少なく、中古車相場を維持しやすいカテゴリーであること。もう1つは競合車のハイラックスに対する競争力の確保だ。
ハイラックスはトヨタが2017年に発売したピックアップトラック。年間1万台近い国内のピックアップ需要をほぼ独占してきた。三菱自はトライトンを「三菱らしさを訴求するためのモデル」(開発責任者)と量販車種ではなく、広告塔的なモデルと位置付けるが、この市場に食い込み、一定の台数を販売しなければ広告塔の役割も果たせない。
ただ、約500万円からという車両価格の高さは、一般的なユーザーが手を出しにくい価格帯だ。三菱自は「機能性や装備でハイラックスとの差別化を図る」(開発責任者)というものの、エントリー価格はハイラックスより90万円ほど高いため、販売競争に勝つのは簡単ではない。
このため、三菱自は残価率を高く設定した。トヨタの場合、販売会社によって残価率は若干変わるものの、ハイラックスの残価率は56~57%程度に設定しているケースが多い。5年間の残価設定型ローンを使用した場合、ハイラックスとの月々の支払い額の差は2000円程度におさまるとみられる。
肝心の商品では、新開発シャシーや独自の四輪制御システムによる走行性能に加えて、先進運転支援システムや内装の充実度などを特徴に打ち出す。また、デザインも独自のデザインコンセプト「ダイナミックシールド」を採用し、ハイラックスとの差別化を図る。
「パジェロ」の販売終了で、一時はオフロード車などの三菱らしいモデルが少なくなった同社。軽では上手く三菱らしさを落とし込んだ「デリカミニ」がヒットしているものの、「ラダーフレーム車の復活を待っていた」と根強いファンもいる。トライトンを活用し、三菱自がブランドイメージをどのように再構築していくのか、注目される。
(水鳥 友哉)
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みんなのコメント
多くは売れないでしょう!!