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開幕戦まさかのストール どうした笹原右京!! あのレースの真相に迫る

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開幕戦まさかのストール どうした笹原右京!! あのレースの真相に迫る

 2022年4月9日・10日、スーパーフォーミュラ2022開幕大会が富士スピードウェイで行われた。9日に開幕戦、10日に第2戦が行われる「1大会2レース開催」という開幕ラウンドで、チーム無限から参戦する笹原右京が天国と地獄を見た。

 開幕戦でポールポジションを奪ったものの、決勝スタートでのエンジンストール。そして第2戦では3番グリッドという好位置につけるも、なんと決勝でまたもストール! 波乱の2戦を終えた笹原右京にインタビュー。

開幕戦まさかのストール どうした笹原右京!! あのレースの真相に迫る

文/段純恵、写真/HONDA、TOYOTA GAZOO Racing

■好事魔多し!? ポールポジションからまさかの……

開幕戦の予選でいきなりポールポジションを奪ってみせ、決勝スタートでまさかのストール。開幕から衝撃の滑り出しとなった笹原右京

 いやー、スゴかったですね(笑)。自分で言うのもヘンな話ですが、まるでジェットコースターに乗ってるような週末でした。

 スタート練習は何回かしていましたが、その時は全然問題は発生してなかったんです。なのにSFで初ポールにつけた土曜日の決勝スタートで、片側の手動パドルを離した瞬間いきなり電源が落ちたかのようにストールしました。

 普通にスタートを切れるだけの余裕をもたせたバイトポイント(クラッチをつなげるポイント)に設定されていたのに、いざ本番になったらそれが勝手に変わっていた、みたいな状態でした。

 予選3番手につけた日曜日も8分間のウォームアップの時からクラッチの感触が怪しくて、パドルを1%動かしただけでストールしそうなくらい。本当にどうしちゃったんだろう? という感じでした。

 このマシン、もともとB-MAXさんが所有していた2台目のSF19をチーム無限さんがお借りして15号車になったと聞いてます。僕が全戦出場すると決まった時点(発表は3月初旬)で、新車を準備するのは物理的に100%無理な話でしたので。

 B-MAXさんが完全な2台体制で走っていたのはSF19の初年度で2020、2021年はほぼ1台体制でしたから、このマシンに誰がいつ最後に乗ったのかはわからないです。

 それを3月5日の鈴鹿ファン感謝デーまでにチームが毎日徹夜で準備してくれたのですが、開幕前にロングランテストができていなくて、第1戦の決勝が事実上の初ロングランでした。

 なので、時間的物理的に厳しいなかメカニックさんが徹底してマシンを調べてくれたんですが、それでもストールの原因を発見できたかどうかわからない、本当に複雑な要素だったと思います。

 結果的に二日連続のストールになってメカニックさん全員がすごく気落ちして、首脳陣もふくめて『めちゃくちゃ申し訳ない』と言われました。でも僕としては課題が明白なって良かったし、次の鈴鹿戦までにチームが徹底的に調べて対応してくれると思ってます。

 チーム無限は日本一のメカニックさんたちが集まっているチームなので、そこに関してはぜんぜん心配してないです。あと、予選で速さが圧倒的にあったという要素は非常に良かったです。

 僕の持っているものとチームが持っているものすべてがうまく噛み合って速さを出せたことは、本当にポジティブ。今回起きたことが開幕戦で良かったねと最後に笑えるよう、今後のシーズンをきっちり闘っていこうと話し合いました。

■もちろんレースでも存在感を発揮

2日目の第2戦は3番グリッドスタート。しかしここでもエンジンストール。レース終盤では小林可夢偉との激しいバトルを見せた

 日曜日の決勝で小林可夢偉選手と接触しそうな場面があって、『行き過ぎかも』ということで黒白(警告)旗で注意をいただきました。

 もちろん故意に押そうとしたのではなく、オーバーテイクボタンを使っても追い抜きが厳しいのでサイドスリップを使おうとして寄っていったら、効果の部分は発揮されず、なのに想定以上に吸い寄せられた、という二つの部分が重なったかんじでした。

 レース後、競技長から、どっちもどっちというのもあるけれど、もっとお手本になるような部分があったら良かったかな、と言われました。

 僕自身、熱くなっていた部分はありました。最後尾に下がって、もう捨て身で上がっていくしかないって感じでしたし。可夢偉さんも絶対に譲らない意思がすごく感じられて、ギリギリまでやってくるというか。映像に映ってないところでもいろいろありました。

 とにかく可夢偉さんはスゴいです。さすがF1で表彰台に載った人だなとバトルをして改めて思いました。後ろから追ってくる僕をふくめて自分が置かれている状況やレース全体を俯瞰して見ているというか、脳内ドローンがあるというか。

 追い上げている僕のほうがペースはいいんですけど、追いついたところから可夢偉さんは自分のペースに上手に付き合わせるんです。しかも圧倒的にミスが少なく精度が高い。

 チームメイトの野尻智紀さんもそうですが、すごいドライバーの共通点ってほんとそこですね。僕は盛大なミスみたいなのはないけれど、毎ラップ毎コーナーでどうなのかと細かなことを言うとせいぜい2、30点くらいでまだまだ全然足りない。

 可夢偉さんとのバトルでものすごく多くのことを学んだので、今後はそれを活かして自分をどう伸ばしていけるかに取り組みたいです。突き抜けて速いのも大事だけど、可夢偉さんのようにいろんな引き出しというか、幅があるのが本当に強いドライバーだと思うので。

■実戦から様々な要素を吸収しながら次へ向かう

イキのいい若手・笹原右京の前に立ちはだかったベテラン・小林可夢偉。これからもそう簡単には前に行かせてくれないだろう

 なんていうんですかね、今回のことは神様が与えてくれた訓練というか、神様が遣わしてくれた可夢偉さんというか(笑)。もし次にこういうシチュエーションになったら、可夢偉さんはまたあの手この手を尽くしてくると思います。でもそれに対抗できるものを準備していきたい。

 技術面はもちろん、メンタルだったり全体を俯瞰して先を読んだりする要素だったり。今回そういうことを一気に教えられたので、次こそは一発でサラっと抜いて前に出られるようになっていたい。

 可夢偉さんは『そんなことさせるか!』って絶対言うと思いますが(笑)。とにかくいま学ぶことができて本当に良かったと思ってます。

 それにしてもレベルの高いチャンピオンシップにレベルの高いドライバーがいるなと、改めて思いました。久々に日本でこういうバトルを出来てる感覚だったというか。

 楽しかったという表現が正しいのかどうかわかりませんが、引いてはそれが見ている人にレースの醍醐味とかレースの面白さが少しでも伝わると嬉しいです。

 あと笑い話になるかどうかわかりませんが、スタートでストールした後のオフィシャルさんの対応が、日曜日のほうがめちゃくちゃ速かった気がします(笑)。

 『あ、またコイツだ!』みたいな感じで、すぐにパーっときてスーっとマシンをピットロード出口に戻してくれたので、日曜日のほうがロスタイムが全然少なかったです(笑)。

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