アメリカでは富裕層や有識者がハイブリッド車を所有し始めた
軽から高級車まで、日本ではさまざまなタイプのハイブリッド車が販売されている。あまりクルマに興味のない人ならば、自分のクルマや家族のクルマが、ハイブリッド車だとは知らない場合もあるだろう。それほどまでに、日本ではハイブリッド車が浸透している。
【ほとんどの車種でハイブリッドが選べる時代】プリウスやアクアなど「HV専用車」に存在意義はあるのか?
一方、海外では国や地域にもよるが「最近になってやっとクルマ選びのなかで、ハイブリッド車も考えようか」という雰囲気になってきた。
そもそも、海外メーカーの大手であるジャーマン3(メルセデス、BMW、VWグループ)とデトロイト3(GM、フォード、FCA)は、ハイブリッド車を「トヨタによる、特異なシステム」と位置付けていた。
2000年代、ハリウッドスターなどのアメリカのセレブが「地球環境に役立つ」という観点から第二世代プリウスに乗るようになり、富裕層や有識者の間でハイブリッド車の所有が増えた。
だが、一般ユーザーにとっては、通常のガソリン車より価格が高いこと、またSUV市場が拡大してもハイブリッドのラインアップがほとんどなかったことなどから、本格普及に結びつかなかった。状況が徐々に変わり始めたのは、第三世代プリウスが登場した2010年代前半以降。だが、環境対応ではテスラが急伸して、ハイブリッド車のお株を奪ってしまった。
欧州CO2規制強化が後押ししてPHVやEVの普及が進んだ
欧州でも、ハイブリッド車が普及し始めたのは2010年代に入ってから。トヨタが2012年にヤリス、2014年にRAV4、2016年にC-HR、2018年にカムリと新型RAV4、そして2019年にカローラでハイブリッド車を市場導入。その結果、欧州でのトヨタハイブリッド車販売台数は、2012年の約100万台が、2019年には1000万台を超える急激な普及につながった。全モデルでのハイブリッド車比率は50%を超えた。
背景にあるのは、世界でもっとも厳しいと言われる欧州でのCO2規制だ。規制をクリアするため、欧州で主力だったディーゼル車がハイブリッド車、または欧州メーカーで採用が多いプラグインハイブリッド車へのシフトが加速した。
中国では、新エネルギー車(NEV)政策と企業別平均燃費(CAFE)による、いわゆるダブルクレジットの規制強化によって、EVやプラグインハイブリッド車の普及が促進されてきた。だが、ユーザーへの購入補助金の取り扱いを巡り、NEV普及での足踏みがみられる。
そのほか、インド、南米、東南アジア、アフリカなど、排気ガス規制が先進国より遅れている国ではこれから、ハイブリッド車の需要が増えていく可能性がある。現状では、ユーザーにとって、通常モデルより割高な高級車という意識が強い。
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