チャーミングな見た目に優れた悪路性能
可愛い見た目の装甲車。トヨタFJクルーザーは、そんなイメージのクルマかもしれない。行く先を選ばないほどの悪路性能を持つ大きな四輪駆動モデルが、思いがけないほどチャーミングなスタイリングをまとっている。
【画像】可愛い見た目の本格派 トヨタFJクルーザー 丸めのオフローダーは他にも 現行プラドも 全120枚
この愛らしい見た目は1960年代のクラシック、FJ型ランドクルーザーを彷彿とさせる。ボクシーなフォルムだけでなく、丸いヘッドライトに四角いフェンダーアーチまで、象徴的な祖先に着想を得ていることは明らかだろう。
受け止め方は人それぞれだとしても、個性的なモデルであることに間違いない。筆者は嫌いではない。
FJクルーザーが搭載するエンジンは、現代的な4.0L V型6気筒ガソリン。トヨタとしては大排気量といえるが、その理由は2007年から2014年まで主に北米市場で売られていたため。その後、人気の高まりとともに日本へも導入されている。
既に日本では2018年に販売が終了しているが、チリや南アフリカでなどはまだ現役で活躍中。英国には、正規導入されることはなかった。
ところが、FJクルーザーを求める声は英国でも少なくなく、個人輸入などで数十台が並行輸入されている。取引価格は高く、例によっては4万ポンド(約664万円)まで上昇することもあるという。人気の高さを裏付けている。
シャシーはランドクルーザー・プラドと共有
大排気量エンジンのおかげで、気張らずともFJクルーザーは悠々と道を進む。高めのドライビングポジションと相まって、不思議な自信も湧いてくる。燃費は7.0km/h前後だ。
サスペンションは柔らかく、ステアリングホイールは軽い。ボディは小さくないものの、思いのほか簡単にカーブの続く道をクリアできる。速度を出し過ぎなければ。
都市部の舗装路より得意とするのはオフロード。トルセン式センターデフと、手動で切り替えられるロックデフがリアアクスルに装備されている。最低地上高は244mmあり、短いオーバーハングでバンパーも擦りにくい。渡河水深は700mmまで対応する。
シャシーはランドクルーザー・プラドと共有しており堅牢。荒野へ不安なく連れて行ってくれる。
インテリアは質実剛健な雰囲気で、シートは水洗い可能。フロントドアの後ろに珍しい観音開きのリアドアが備わり、大人4名での乗降性も悪くない。
フロントガラスには、トラックのようにワイパーが3本並ぶのも特徴の1つ。幅が広く低いガラスの都合上、2本では足りなかったそうだ。
一般的なクロスオーバーとは異なり、本格的なオフローダーでありチャーミングなスタイリングのFJクルーザーは、ロンドンでも注目の的。珍しいから存在感は半端ない。
英国で乗りたい場合、日本から並行輸入する手があるものの、市場の中古車を探す方が手っ取り早い。今回撮影にお借りしたFJクルーザーは、英国の販売店が所有する1台。10週間の輸送時間をかけて、ファイナル・エディションを3台輸入したらしい。
新車時代のAUTOCARの評価は
FJクルーザーは完成度の高いオフローダーといえるものの、オンロードでの走りが得意とはいえない。車重は2tに迫りステアリングはおっとりで曖昧。動力性能に優れるわけではなく、燃費も褒めにくい。
レトロな見た目と、戦車級の信頼性や製造品質は北米市場で高い支持を集めた。英国トヨタが正規に導入する予定はないようだ。(2006年6月1日)
オーナーの意見を聞いてみる
アンドリュー・サクレ氏:ジープスター社代表
「初めてFJクルーザーを並行輸入した際、当社の技術者が点検整備をして驚いていました。3年前のクルマでしたが走行距離が短く、ほぼ新車のような状態だったためです。保証期間内に、目立った修理も施されていないようでした」
「サスペンションをリフトアップし、オールテレーン・タイヤを履かせても、走りはいい感じです。ロックバンド、スティッフ・リトル・フィンガーズのドラマーだったスティーブ・グラントレーさんに見せたら気に入ってくれ、1台お買い上げいただきました」
「彼はクルマ好きで、何台か他に所有しているんです。今まで買ったなかで、最高のクルマだと話していましたよ」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
エンジンオイルの消費が激しい場合があり、こまめに補充したい。ピストンのオイルリングが劣化し、オイルが燃焼することで不具合を招くことも。排気ガスに目立つ煙が混ざっているなら、エンジンオイルが燃えていることを示している。予め確かめたい。
ピストンリングの劣化で圧縮した空気がシリンダーから漏れ、燃焼不良になることがある。エンジン始動後にディップスティックを抜き、パイプの上へ手をかざして、空気が勢いよく吹き出ているなら深刻な問題を抱えている証拠。少量のブローバイは正常範囲だ。
ウオーターポンプからはクーラントが、エンジンブロック前後のクランクシャフト・シールからはエンジンオイルが漏れる場合がある。油圧センサーのエラーで、誤った警告が表示されることがある。
タイミングベルトのテンショナープーリーが駄目になり、ベルトがグラつくことがある。早期に対応したいポイントだ。
トランスミッション
5速MTか6速ATが搭載されていたが、基本的には堅牢。一部のモデルでは、ドランスミッションが大きめの振動を出すことがあるようだ。
インテリア
北米トヨタは、2007年から2013年までの31万台に、シートベルトに関するリコールを出している。前席側のシートベルトは観音開きのリアドアに固定されているが、強度不足のため手荒くドアを扱うと取り付け部分が破損する恐れがあるという。
知っておくべきこと
FJクルーザーの内装は良くできている。シートは通気性を確保しつつ、特殊な樹脂コーティングが施さた撥水性のクロス張り。シーラントが塗られていることで、縫い目からの水の侵入も防いでいる。フロアは灰色のゴムで覆われ、こちらも掃除しやすい。
英国では、スペアパーツをトヨタのディーラーでは買えないものの、インターネットを使えば入手可能。先出のジープスター社などが相談に乗ってくれるはず。
現行のRAV4よりボディサイズが大きいため、自宅の駐車スペースの寸法に合うか確かめておきたい。全長は4635mmと長くはないが、全幅は1905mm、全高は1840mmある。
英国ではいくら払うべき?
1万4000ポンド(約232万円)~1万9999ポンド(約331万円)
初期の北米仕様を英国では探せる価格帯。走行距離は12万km以上が中心。
2万ポンド(約332万円)~2万9999ポンド(約497万円)
2010年以降のFJクルーザーを英国では狙える。左ハンドル車だけでなく、右ハンドル車も含まれてくる。走行距離は11万km以下の例が殆どだ。
3万ポンド(約498万円)~3万9999ポンド(約663万円)
後期型のFJクルーザーが含まれてくる。リフトアップなど改造された例も。
4万ポンド(約664万円)以上
新車状態に近いFJクルーザーを英国で狙える価格帯。後期型が中心になる。
英国で掘り出し物を発見
トヨタFJクルーザー 登録:2011年 走行距離:7万9200km 価格:2万7999ポンド(約464万円)
FJクルーザーは基本的に目立つが、さらにイエローなら注目度は高いはず。価格帯としては中堅。走行距離も長すぎず、内容は良さそうだ。
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