販売台数30%増し、躍進するアルファ
新年早々、アルファ・ロメオのCEO、ジャン=フィリップ・インパラートが来日し、伝統的なイタリアン・ブランドの展望を話してくれた。
【画像】アルファ・ロメオCEOが語る イタリアン・ブランドの展望の様子と最新アルファ・ロメオの写真をみる 全99枚
その名前でお気づきの方がいるかもしれないが、インパラートはフランス人で、もともとプジョーやシトロエンでセールスやサプライヤー担当としてキャリアを積んできた人物。2021年の1月からステランティスの取締役会メンバー、そしてアルファ・ロメオ・ブランドの最高経営責任者になっている。
インパラートは昨年3月、コンパクトSUVのトナーレをローンチした際にも来日している。アルファ・ロメオ電動化の嚆矢といえるトナーレはMHEVやPHEVをラインナップしたモデルであり、インパラートはこれをきっかけとして電動ゼロのメーカーから今後5年でゼロエミッションのメーカーに変わると宣言している。
今回の話は2023年の振り返りからはじまった。
「昨年の大きなニュースは7万台の販売台数を達成できた点です。これは前年比で30%の伸びとなります。ヨーロッパ市場だけでみると46%の伸び、中東とアフリカ地域では74%の伸び率になります」と彼は述べた。
もちろんこれほどの大幅な伸びを記録した要因は売れセンの導入。つまりトナーレが起爆剤となっている。それと同時にインパラートが強調していたトピックはJDパワーの北米における初期品質において、並み居るプレミアムブランドを抑え、アルファ・ロメオが首位に輝いたことだった。
電動化への第一歩だけでなくクオリティが高まっていることも証明したのである。インパラートの口ぶりもとても軽妙に感じられたのである。
日本市場の期待も厚い今年の主役とは?
さて今回インパラートCEOの口から直接伺いたいことといえば当然のニューモデルの導入計画である。インパラートCEOは就任直後、クオリティを高めるとともに毎年1台の新車を導入すると約束しているのだ。
「その前にまず、33ストラダーレについて触れさせてください。33台限定で、オーナーが様々な仕様をオーダーできるこの特別なモデルは昔のアルファ・ロメオを彷彿とさせるもの。価格は3億円ほどですが、33台が7週間で完売しました。これはアルファ・ロメオの技術力とともにブランドの潜在能力を示すものだと思っています。ちなみに80%のカスタマーが内燃機モデルを選んでいます。BEVは10%ですね。残りはまだ決まっていないようです。デリバリーは月2台、今年の年末からカスタマーのもとに届くことになります」
33ストラダーレの結果に気をよくしたアルファ・ロメオとインパラートCEOは新たなフォーリセリエ(特別なモデル)を企画しており、すでにウェイティングリストが作られているのだとか。
「2024年、今年の主役は4月に発表予定のミラノです。バロッコ工場で生産されることになるこのクルマはジュリエッタやミトといったスモールモデルの精神的な後継モデルといえるでしょう。このクルマはアルファ・ロメオ初のBEVですが、MHEVモデルも用意します。動力源に関わらず、ハンドリングや楽しさはアルファ・ロメオであると明言できます」
ミラノはBセグメントのSUVで、ステルヴィオ/トナーレに続くアルファ・ロメオSUVの末っ子という位置づけになるようだ。
ステルヴィオとジュリア、後継はBEVに
ミラノの登場によって現代の自動車メーカーに欠かせない3サイズのSUVが揃うことになるアルファ・ロメオ。その後も1年に1台というペースは変わらないようだ。
「2025年からはDセグメントモデルをリリースします。つまりジュリアとステルヴィオの次世代モデルということになります。プラットフォームはステランティスのステララージを使い、動力源はBEVになります。最初にステルヴィオ、次にジュリアという順番になると思います。また2027年にはさらに大型のモデルを計画しています。Eセグメントということまでしかお話しできませんが、ブランドの可能性を引き上げたいと思っています」
急進的に改革を進めるアルファ・ロメオ。その旗手を務めるインパラートだが、その雰囲気は穏やかなジェントルマンといった感じ。ステランティスを率いるカルロス・タバレスCEOの鋭い雰囲気とは対照的にも見える。
「もうすぐ取締役会があり、その中で私はタバレスCEOに2030年以降のプランを説明します。アルファ・ロメオは伝統あるブランドなので、急いで何か大きな変更をする必要はないと思っています。ブランドをより安定したものにするための基盤を確立していくことが大事です。私は毎年世界中のマーケットを視察しますが、それをいつも日本からはじめたいと思っています。来年もここで皆さんにお会いできることを楽しみにしています」
自動車の、そしてアルファ・ロメオの変革期を支えるインパラートCEOの言葉は今後のブランドのさらなる躍進を予感させる自信に満ち溢れたものだった。
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