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シトロエンC5 Xの兄弟 プジョー408 ハイブリッド225へ試乗 新型クロスオーバー 猫耳付き

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シトロエンC5 Xの兄弟 プジョー408 ハイブリッド225へ試乗 新型クロスオーバー 猫耳付き

シトロエンC5 Xのプジョー版

プジョーからスタイリッシュなクロスオーバー、408が登場した。フランスらしい、新しさに溢れたモデルだと思う。

【画像】フランスの兄弟 プジョー408とシトロエンC5 X クーペ風クロスオーバーと写真で比較 全134枚

ところでこの408という名前だが、プジョーの命名ルールに従うなら、405から406、407へ進化した中型サルーンの最新版へ与えられるのが妥当といえる。だが、実質的な後継モデルは現行の508が担っている。

車高が嵩上げされたクロスオーバーだから、4008というモデル名の方が合うかもしれない。ファッショナブルで特別感が漂い、3008と5008の中間という位置づけだとしても違和感はないように思う。

プジョーは10年ほど前まで、三菱アウトランダーをベースにした4007という7シーターのオフローダーを販売していた。しかし408はクーペ風シルエットで、雰囲気がまったく異なる点も興味深い。

さらに、408という名のサルーンを東南アジアや南アメリカでプジョーは販売している。混乱を避けるため、その市場ではこのクルマを408 Xとして販売するという。

順調にモデル数が増えている同社らしいテーマだが、この408は、実質的にはシトロエンC5 Xのプジョー版といえることは事実。スリークなルーフラインに不足ない実用性を融合させ、流行に合わせて少しワイルドな見た目で仕上げられている。

プジョーらしい大胆なスタイリング

C5 Xと比べてみると、ファストバック・ボディのシルエットは共通しており、基礎骨格をなすEMP2 V3というアーキテクチャも同一。欧州で提供されるパワートレインも、基本的にはシトロエンとプジョーでラインナップは同じのようだ。

今回試乗した、ガソリン・ターボエンジンと電気モーターが組み合わされた、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)もその1つ。追って、バッテリーEV版も登場予定にある。

C5 Xと密接な関係性を持つ408だが、デザイナーの仕事ぶりは見事。シトロエンとは明確に印象の異なるボディを生み出しており、ラインナップの一員としての訴求力は充分だろう。

フロントマスクを中心に大胆なスタイリングが与えられ、リアフェンダー付近やLEDテールライトの造形がプジョーらしさを強めている。全長はC5 Xより僅かに短く、引き締まったアスリートのような佇まいがある。

前後に貼られた408のロゴは少しクラシカル。20インチと大きいアルミホイールのデザインは、放射状ではなく斬新。好みが分かれそうだ。

後ろ姿を特徴づけている要素の1つが、Cピラー上部のルーフスポイラー両端にある通称「猫耳」。走行中の空力特性を改善させるだけでなく、リアシート側の頭上空間を確保するため、飛び出た構造部分を視覚的になじませる役割がある。

驚くほどゆとりがある車内空間

ドアを開いて運転席へ腰掛けると、プジョーがプレミアムな質感を追求したことが理解できる。内装の素材はソフトタッチ加工され、ダッシュボードは大きく傾斜した大胆なデザインでありながら、落ち着きもある。

プジョーが現代モデルで展開するiコクピット・レイアウトは、今でも賛否があるだろう。小径のステアリングホイールが低めに伸び、メーター用モニターの一部がリムで隠れてしまう。

メーターのグラフィックは3D効果で立体的に描かれる。カッコイイのに、一度に見渡せないのが残念だ。

ダッシュボードの中央には10.0インチのインフォテインメント用タッチモニターが鎮座する。これは308にも採用されているもので、表示が鮮明で入力に対して正確に素早く反応する。

タッチモニターの下には、多様なメニューに対応したタッチセンサーのショートカットキーも備わる。運転中でも比較的操作しやすいと感じた。

車内空間は驚くほどゆとりがある。ホイールベースは、C5 Xと同じ2790mmと長いことが貢献している。身長が180cmを超えるような大人でも、頭が天井に触れたり、膝がシートバックに当たったりすることはない。

荷室容量は通常で536Lだが、PHEVの場合は471Lへ1割ほど小さくなる。開口部は広く、リアシートの背もたれは60:40の2分割で倒せるから、長い荷物も問題なく積める。実用性に不満はないだろう。

積極的に運転するとギクシャクしだすPHEV

気になる実際の走りだが、EMP2を採用するモデルらしい印象を受けた。これはプジョーに限定したものではなく、プラスの側面もあれば、そうではない部分もある。

試乗車はPHEVで、パワートレインはシステム総合で225psを発揮する。12.4kWhの駆動用バッテリーを搭載し、電気の力だけで最長64kmが走れると主張される。ファーストエディションでは62kmへ若干短くなるが。

EVモードでの走行時は静かで穏やか。80psを発揮する駆動用モーターは、スペインの市街地の流れに不足ない加速力を提供する。

駆動用バッテリーの残量や必要なパワーに応じて、1.6L 4気筒ターボエンジンが介入するが、低回転域でのノイズは控えめ。8速ATは滑らかに変速を繰り返し、質感の良い走りをバックアップする。

乗り心地は、低速域では若干硬い。速度が増すほど、しなやかさが出てくる。試乗コースの舗装は古く、平滑とはいえなかった。引き締まったサスペンションだということを、細かい振動が教えていた。

積極的に運転し始めると、4気筒エンジンと8速ATがギクシャクしだす。車重が1706kgあることもあり、225psという数字ほど速くは感じられない。エンジンの回転数が高まると、張り詰めたノイズも響くようになる。

8速ATは、デュアルクラッチATのように小気味いい変速を披露するわけではなく、ステアリングコラム側に固定されたシフトパドルの操作にワンテンポ反応が遅れる。電気モーターと内燃エンジンとの調和も、高いとはいえない。

魅力的な新スタイルのクロスオーバー

結果として、カーブが連続するような峠道では、流れるようにリズムカルに走ることが難しい。コーナリング自体は安定性が高く、狙ったラインをしっかり辿り、挑発的な操作をしなければアンダーステアにも転じにくいのだが。

高速道路のように一定の速度で巡航する場面では、508 PSEと同じく流暢に先を急げる。正確で適度な重み付けのステアリングや幅245タイヤが叶える確かなグリップ、不足ない減衰力によって、操縦性と快適性のバランスに優れることがうかがえる。

プジョーのシャシー技術者が、思い描いた走行シーンといえる。敏捷性や正確性は充分だから、長距離ドライブに飽き飽きすることはないだろう。

ハイブリッド225は、気持ちを高ぶらせて運転するタイプではない。1392kgの車重に130psの1.2Lガソリンターボが組み合わされた408の方が、甘美なドライビング体験を得られそうだ。

とはいえ、多くのドライバーにとって、408は快適で日常的に付き合いやすいファミリーカーになるはず。車内は広々としていて装備は充実し、製造品質も高い。スタイリッシュで、数多あるSUVとは違った個性も備わっている。

新スタイルのプジョーとして、筆者は魅力的に感じた。英国価格は、シトロエンC5 Xより2000ポンド(約33万円)以上高く設定されているけれど。

プジョー408 ハイブリッド225 GT(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万3200ポンド(約717万円)
全長:4687mm
全幅:1848mm
全高:1478mm
最高速度:233km/h
0-100km/h加速:7.8秒
燃費:74.8-95.4km/L
CO2排出量:28g/km
車両重量:1706kg
パワートレイン:直列4気筒1598ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:12.4kWh
最高出力:225ps/6000rpm(システム総合)
最大トルク:36.7kg-m/1750rpm(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック

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