以前お伝えした“激安中古車チャレンジのススメ”であるが、当然ながら激安車だけにトラブルが発生することもあるし、中には手に負えずに早々にお別れした車両も存在している。今回はそんな激安中古車での失敗談と、新たに購入した激安車についてご紹介したい。
文、写真/小鮒康一
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激安中古車のトラブル、修理をするのか? それとも手放すのか?
激安中古車だからといってすぐにトラブルが発生するわけではないが、やはり安いなりに何かが起こる可能性は少なくない。もしトラブルが発生してしまった場合、そのトラブルを修理するのか、それともその車両は諦めて手放すのかを判断しなければならないのだが、これが意外と難しい。
筆者の過去の事例を挙げると、エンジン絶好調という触れ込みで購入した某MTの軽乗用車。当初は軽の耐久レースに参加するベース車にしても面白そうと5万円くらいで譲ってもらった物件で、確かにエンジンの調子はよく、MTも快調で気持ちよく走りを楽しむことができる個体だった。しかし、日が落ちてきて寒くなり、暖房をONにしても一切温風がでてこないのである。
それなりに古い車種だったため、サーモスタットの固着を疑って交換してみるも変化なし。メーター上の水温計の針の位置に異常はないから、恐らくヒーターコアの内部で異常が起きていると判断し、修理にはそれなりの工賃が発生することが予想され、車検残もわずかだったため、泣く泣くお別れという判断に至ったのだった。
殺人的な暑さとなる現代の日本ではエアコンが効かないというのは死活問題である
また前回の記事でも紹介したスズキKeiでは、ある夏の雨の日にエアコンをONにすると、それまで快調だったハズのコンプレッサーからイヤな音がすると共に冷風が出なくなる事態に。これは間違いなくコンプレッサーの死亡が原因だが、リビルト品を購入すると部品だけで数万円の出費となってしまう。
しかし、軽自動車であれば車種は違っても共通のパワートレインを採用していることが多いため、中古のコンプレッサーであればネットオークションで検索するとゴロゴロ出てくるのだ。
そこで、完動車から外したと記載された中古コンプレッサーを数千円で落札し、専門業者にて交換作業を実施。同時交換が推奨されるリキッドタンクやエキスパンションバルブは新品を投入したものの、すべての修理がリビルトコンプレッサー代+αで収まったのだった。ちなみにエアコン修理を実施した理由は車検を取得したばかりでこのままお別れしてしまうのは費用対効果が低いと判断したから。
なお、どちらの車種も引取の時点ではトラブルは発生しておらず(ヒーターは作動させなかったので気づかなったのだが)、前所有者がトラブルを隠して売却したというわけでないので勘違いのないよう。機械モノは昨日まで絶好調であっても翌日うんともすんとも言わないことも当たり前なのだ。
懲りずに購入した激安中古車。その現状はどんなもの?
ということで、なんだかんだとトラブルが発生しながらも楽しい激安中古車チャレンジ。懲りずに新たな相棒を購入してしまったので、激安中古車とはどんなものなのかをチェックしていきたい。
今回購入したのは軽ハイトワゴンであるスズキのパレット。激安中古車チャレンジの物件としては高年式と言っても過言ではない2010年式の物件で、2009年9月の改良時に市販車世界初となる副変速機構付CVTを搭載したもの。グレードは当時の最上級グレードである「X」で、フルタイム4WDというのが購入の最大の決め手となったポイントである。
そもそもなぜこの車両を購入したかというと、それまで所有していたミニバンを手放して荷物が積めるクルマがなくなってしまったから。気兼ねなく荷物を放り込むことができる激安軽自動車を探していたところ、たまたま出てきたのがこの車両だったのだ。
なお激安中古車チャレンジを実施する際は、車種などを絞ってしまうとヒット数が減ってしまうため、条件は緩くしておくことに越したことはない。もちろん「低走行でボディがキレイで程度バツグン」などという激安車はないので、ある程度のボロさは覚悟しておくことが必要。今回も「軽自動車、AT、荷物積める」という3点だけを条件に探している。
そんなパレットであるが、過去のオーナーが仙台→長野と降雪地帯で使用しており、ボディパネルにもところどころサビが出てきているというのと、走行距離が19万kmオーバーと超過走行であることが気になるところ。ただ、クルマの調子はよく、走行に支障があるようなサビはないという言葉を信じての購入となった。
もっとも目立つサビは右リアフェンダー。ただ内側からではなく、外側に発生したサビのようだ
車両の引き取りは自走で行い、長野から自宅のある神奈川県横浜市までおよそ200kmの道のりを走ってきた。確かに過走行ではあるものの、ある程度のメンテナンスをされてきたからこそそれだけの距離を走れているということもあるのか、特にエンジンやミッションから不具合の気配は感じられなかった。
ただ気になったのが、ブレーキの効きがイマイチに感じるという点だ。タイヤを見てみるとほぼスリップサインが露出するほどに摩耗してしまっており、タイヤの摩耗が影響しているのかもしれないが、要点検の最重要ポイントとなりそうな印象だった。
一目で山がないことが分かるタイヤも早急に交換しなければならない部分だ
実際に車両をチェック……思ったほど悪くない?
無事、自走で自宅へ戻った後はなじみの修理工場で車両のチェック大会を実施した。リフトアップして下から目視で確認した第一印象は「思ったよりもサビてない!」である。ボディの一部にこそサビや腐食が発生していたが、下回りには致命的な腐食は見当たらず、降雪地帯に生息していた車両としては上々のコンディションと言えるだろう。
後方から車体下を望むとそこまで致命的な腐食はなさそう。リアデフが4WDの証だ
またエンジンまわりも下から見る限り大きなオイル漏れはなく、19万kmを走破した車両としてはかなり良好な部類になりそうだ。上側からも目視でチェックする限り致命的なオイル漏れはなさそうなので、まずは一安心である。
ただし違和感を覚えたブレーキはやはりというかサビの影響を大きく受けており、ブレーキパッドがローターに正しく当たっていない状態となっていた。幸いにもキャリパーピストンの動きは悪くないようなので、早急にパッドとローターを発注し、入荷次第交換を実施することになった。
本来であれば面でパッドがローターに接触するハズなのだが、ほぼ点でしか当たっていなかった
ほかにも19万kmを走破した純正ショックアブソーバーがほとんど仕事をしていない乗り味となっている点や、BluetoothはおろかUSBすら対応していない古のオーディオ、視界に悪影響を及ぼすほどビッシリとこびりついたウインドウの水垢など気になる点はたくさんあるが、一つずつ楽しみながらじっくりと解消していくことにしよう。
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