■何もかも電動化されるなかで、あえて「からくり」を採用する訳は?
トヨタは、2022年1月13日に新型ミニバンとなる新型「ノア」と新型「ヴォクシー」を発売しました。
先行してデザインの一部が公開された際には、その迫力感のあるデザインが話題を集めましたが、正式発表後には新型ノア/ヴォクシーの機能に関する話題も出ています。
なかでも「からくり」機能が注目されていますが、どのような機能なのでしょうか。
【画像】現代に蘇る!? 「からくり忍者屋敷」 新型「ノア」&新型「ヴォクシー」がすごかった!(64枚)
4代目となる新型ノア/ヴォクシーは、歴代モデルから受け継がれている乗り降りしやすいスライドドア、多くの人や荷物を乗せられる広く快適な室内空間などを追求して開発されました。
デザイン面が話題となりがちな新型ノア/ヴォクシーですが、「より快適に」「より便利に」「より安心な」をテーマにトヨタの最新技術&機能が盛り込まれています。
クルマの骨格となるプラットフォームには、TNGAプラットフォーム(GA-C)を採用し、優れた「パッケージング」と「使い勝手」の良さがさらに向上されました。
機能といえば、電子(電動)的なものの進化に目が行きがちですが、新型ノア/ヴォクシーは、ちょっとした工夫で使い勝手が「カイゼン」されており、大きく分けて3点挙げられます。
ひとつめは、2列目シートのスライド構造です。
先代モデルでは、2列目シートを一旦横にスライドさせて後方に移動させていましたが、新型モデルでは横にスライドさせることなく、真っ直ぐ後ろに移動出来るほか、3列目シートの構造変更により、「超ロングスライド(スライド量745mm)を実現しました。
ふたつめは、子供やお年寄りが乗り降りしやすい「ユニバーサルステップ」がパワースライドドア装着車のオプションとして用意されています。
これは、パワースライドドアの開閉に合わせて車体下部に設置されたステップが出し入れされる機能です。
パワースライドドア自体は電動ですが、ユニバーサルステップはドアと棒状のものを繋ぐことで動くため、別名「からくりステップ」とも呼びます。
また、これまで乗り降りのステップは、数十万ほどのオプションとなっていることが多くありましたが、ユニバーサルステップは3万3000円で設定され、手に入れやすい価格なことも魅力のひとつといえます。
実際に成人男性(身長170cm)が2列目を乗り降りする際でも、ユニバーサルステップによる違いは大きく体感でき、ボディ自体にも加工が施されているため、強度も問題ありません。
しかし、ボディ加工が必要なことで、メーカーオプション(後付け不可)なことや、運転席側に設定がないようです。
これについて、トヨタの担当者は次のように説明しています。
「強度などさまざまな要件に合わせるためにボディ下部を変更しているため、『後付けしたい』というお声に応えられない部分があります。
また、価格を抑えるなどのために日本の道路事情に合わせた助手席側のみの設定となります」
最後の3つめは、バックドア開閉時に自分の好きな角度で位置を保持できる「フリーストップバックドア」を世界初採用したことです。
これは、バックドアを押すことでからくりを使って任意の角度で停止可能とし使い勝手を向上させました。
これにより、車両後方に壁や他車がいるなどのスペースがない場合でも、バックドアからの荷物の出し入れが容易です。
近年のクルマはさまざまな部分が電子(電動)的に動くことが多いなか、からくりを使った機能を採用した理由について、前出とは別の担当者は次のように説明しています。
「ミニバンはベース自体でもそれなりの重量があるため、工夫出来る部分はモーターなどを使わないようにしたかったためです。
あとは、そこに対するコストを下げることも重要でした」
※ ※ ※
また、ウェルキャブ(福祉車両)では、車いす仕様車の大幅な商品改良に加えて、型式指定自動車の設定を拡大しました。
しかしながら、実質負担額においては先代モデル(ノア)の36万3000円から、新型モデルでは19万7000円とするなど、価格面でも手に入れやすいようになっています。
デザインや走行、燃費などの性能面だけでなく、幅広い世代が利用するミニバンだからこその進化が新型ノア/ヴォクシーには詰め込まれているようです。
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