9月21日土曜日、恒例となったメディア対抗ロードスター4時間耐久レース(ロードスター4耐)が茨城県の筑波サーキットで開催されました。1989年の初代ユーノス・ロードスター登場の年から開催され、今回で35回を迎える伝統のレースイベントにベストカーチームも毎年のように参加しているんだけど、おいおいおい! 記念すべき35回大会で「ベストカー/おとなの週末」チーム、なんと優勝してしまったのでありました! 何が起こったのか!? その様子をお伝えしたいと思います。
文/梅木智晴(ベストカー編集委員)、写真/ベストカー編集部
22回目の出場で初優勝!! まさかの結果にマジでしびれた メディア対抗ロードスター4時間耐久レース
ベストカーチームとしては22回目の参加で初めての優勝だ!
過去21回の参戦、過去最高位は“まぐれ”の5位だったが……
1989年に第1回大会が開催されたロードスター4耐。今大会で実に35回目を迎える、実に歴史あるレースイベントだ。ベストカーチームは第1回から第3回大会、その後しばらく間を開けて、3代目NC型にモデルチェンジした2005年の第16回大会以降2010年を除いて毎回参加をしているんですね。実に昨年までで21回参加、今大会で22回目の参加となるわけであります。
我がチーム、例年3時間45分ほど走ったあたりからガソリンが足りなくなりスローダウンを余儀なくされたり、「えーい、ままよ!」とファステストラップ狙いでプッシュをかけてガス欠ストップというパターンを繰り返してきたわけであります。逆にガス欠を恐れて省燃費ドライブをしすぎて、完走するも下位をうろうろなどと言うパターンもありました。
決勝レースは16時スタート。だんだん薄暗くなる時間帯を走る
そんなわけでこれまで2014年(第25回大会)と一昨年、2022年(第33回大会)にまぐれで5位に滑り込んだのがここ近年の最高位。21回も出ているんだから、1度くらいはトップ3に入りたいよね~とは思いつつ、なかなか現実が追い付かないチームだったのであります。
あれ? 今年、行けんじゃね????? 強力ドライバーが参戦
今回のドライバーはここ最近の定番となっている編集部飯干、同じく編集部梅木、プリウス武井に加え、大井貴之大先輩にも加わっていただいた。大井先輩はロードスターがデビューするよりも昔々、ベストカー編集部員だった大先輩だ。
左から編集部ウメキ、プリウス武井、ピット作業を手伝ってくれたブリッツの大久保佑紀さん、田口聡さん、編集部飯干、そしてロードスターを挟んで大井大先輩、監督の編集部林、尾崎選手
大井先輩、第1回大会には「ベストモータリング」チームより参戦して栄えある優勝ドライバーに輝いている。ここ最近はENGINチームのエースドライバーで、何度もポールポジションをゲットしているし、優勝経験も豊富。「勝ち方」を知っている頼れる先輩の加入に、ベストカーチームはザワついたのは言うまでもありません。
そしてもう一人、ベストカーWebのアルバイター尾崎俊介選手も参戦。25歳の若手なんだけど、スーパー耐久レースのチャンピオンというゆるぎない実績がある、これまた頼れる後輩なのだ。あれれ????? これ、けっこういい体制なんじゃない?
レース車は初めてカーボンニュートラル燃料を使うパーティレース仕様の新車に変更
2015年から現行ND型に切り替わったレース車なんだけど、今大会を前に、同じND型ではあるものの、最新の車両に入れ替えられた。ベースとなるND型ロードスターが今年1月に大規模なマイナーチェンジを実施したため、レース車も最新モデルに切り替えたというわけ。
これを機に、従来は内張がなく鉄板剥き出しで助手席のないN1規定だったレース車両をナンバー付き車両で闘う「パーティレース仕様」に変更した。もちろんロールケージやバケットシート、フルハーネスなどは装備されるものの、内装は普通にあるし、助手席も付いている。もちろんサスペンションは市販車のままだし、LSDや姿勢制御デバイスなども市販仕様と同じだ。より身近なクルマでレースを戦うことになるわけですね。
これまでのN1既定の車両から、内張アリ、助手席アリのパーティレース仕様へと変わった
そして今大会では初めてカーボンニュートラル燃料を使用したのだが、これがまた波乱を呼ぶ要素となった。何しろロードスター4耐は燃費レースだ。60リッターの燃料で4時間を走り切らなければならない。つまり、過去のデータや経験がものを言うのだが、このカーボンニュートラル燃料になることで、燃費がどうなるかがまったくわからない。全チームがイコールコンディションなんだけど、手探り状態。作戦も定まらない。ま、もともとそれほど綿密な作戦などはないベストカーチームなんですけどね~。
マツダによる事前のテストによると、カーボンニュートラル燃料(CNF)は数パーセント燃費が低下するという。しかし、今後のモータースポーツを考えればCNFの使用は不可避だ
大井先輩、予選3位は不本意そうだけどウメキはホッと安堵の表情
ひそかにポールゲットを目指していたであろう大井先輩だが、コンマ数秒の差で予選3位という結果。ご本人は「こんなもんでしょ~」と飄々としているものの、内心はポール狙いで口惜しさいっぱいなんだろうな。でも……、スタートドライバーのウメキはマジでホッとしています。
だって、先頭でスタートしたら、あとは抜かされるだけじゃないですか! 約50分、私ウメキにはトップをキープする未来予想図は描けません。プレッシャーも少しは薄らぐというものだ。
大井先輩、さすがの走りで予選3位ゲット!
第1ドライバーの走行時間帯にハンディキャップを消化するというレギュレーション。昨年18位だったベストカーチームにハンデはない。予選上位10チームでハンデがないのは我がチームのほかはマツダの役員で編成された人馬一体チーム(予選9位)とアヘッドチーム(予選10番手)だけ。
つまり、前後の速いクルマたちに抜かれようが引き離されようが、彼らはハンデ消化のためにいずれピットに消えていく。ここでウメキは無理をする必要はない、というワケだ。
焦らず無理せず、そしてレースを楽しみながら3位を走って2番手大井先輩に無事ロードスターをゆだねる。大井先輩はさすがの安定したドライブで、15秒台を出しながら燃費を上げていき、あれよという間にトップに立ち、2位との差を30秒、40秒と広げていく。3番手の飯干もこれなら走りやすかろう。
充分なマージンを得て走り出した飯干は燃費を稼ぐ走法で4番手の武井、そして最後を締めくくる尾崎に燃料を残す作戦。4番手武井の時間帯には雨が降り出し路面はウェットに。LAPタイムが落ち、燃料の心配が少し薄らぐ。雨はこの後も上がったり降り出したりを繰り返す。
チェッカーまで50分 トップのまま最終ドライバー尾崎がピットアウト!
燃費計は事前に定めた目標値を超えている。雨でラップタイムが落ちたことで最終周回数も例年より少なくなるだろうからガス欠の心配は小さい。途中他チームのハンデ消化やピットインのタイミングなどにより順位の入れ替わりはあったものの、008号車「ベストカー/おとなの週末」ロードスターはほとんどの時間帯でトップを快走。私ウメキ、これまで14回出場しているのですが、もちろんこんなことは初めて。あれれ????? 緊張が高まる。
チェッカーまで37分時点で008号車ベストカーチームはトップをキープ
チェッカーまで10分を切るころになると公式動画配信クルーが我がチームピット前に集結。審査委員長に鈴木俊治氏もやってきた。ギネス世界記録公式認定員の姿も見える。これ、うちが優勝する前提ってことだよね!? このタイミングでクラッシュしたりトラブルで止まったり、ガス欠したらどうなるんだろ? なんて不吉な思いが頭に浮かぶ。
19時台ともなれば真っ暗。完全なナイトレースとなる。しかもこの時間帯、雨足が強くなりコースはウェットになった。尾崎選手は硬い走りで集団をパスしていく
「オザキぃぃ~~、オザキぃぃぃ~~~」もはや祈る思い。
そしてチェッカー!! え? ホントにうちが勝ったの? 喜びというよりも、驚きの感情が先だった。
危なげない走りで後続との差を計算しつつトップを守り切った尾崎選手(左)は余裕の表情だ
それにしても勝てない時は振り返れば明確な敗因があるのだが、今回初めて優勝してみたら、「何で勝てたのか?」と不思議だらけ。もちろん大井先輩や尾崎選手の安定したドライブが大きな力となったことは間違いないのだが、「誰もが大きなミスをしなかった」ということが最終的な勝因だったのだろう。来年はハンデ4分30秒。連覇は……、う~ん、難しそうだけど頑張ります!
皆さん、応援ありがとうございました!!
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