バイクで雨天時走行するときのコツは?
ライダーにとって天敵とも言える雨。雨が降っているときにはバイクに乗らないことが賢明ですが、通勤通学などで他の交通手段がない場合や、ツーリングの予定をずらせないときなど、どうしても乗らなければならないという状況もあるものです。また、突然雨に降られる可能性もゼロではありません。
雨天時は、晴天時と比べ「視界が悪くなる」「道路が滑りやすくなる」という悪条件が重なるため、事故や転倒の可能性が高まります。そのため、いつも以上に細心の注意を払って走行しなければなりません。
では、少しでもそのような危険を回避するために、バイクで雨天時走行するときのコツはあるのでしょうか。
雨天時にバイクで走行するときのコツとしては、いくつか挙げられます。
まずひとつ目のコツは、スピードを出しすぎないということ。ウェットコンディションでは、路面とタイヤの摩擦力が低下するため、滑りやすくなると言われています。そのぶん停止距離は長くなるので、車間距離は多く取るよう心掛けましょう。
また日本二輪普及安全協会によると、「速度は20%減速し、車間距離は50%増しにする」ことが望ましいとのこと。雨天時は視界が悪くなるため、とっさの判断が遅れがちになります。適切な速度と車間距離は心に留めて置きましょう。
続いてふたつ目のコツとして、“急”な操作をしないことが挙げられます。
“急”な操作とは、「急スピード」「急発進」「急加速」「急ハンドル」「急ブレーキ」「急な体重移動」などのこと。こういった操作をおこなうとスリップしてしまう恐れがあるので非常に危険です。
また、マンホールの蓋や白線を避けることも、雨天時走行のコツのひとつ。
ただでさえ滑りやすい雨天時の道路には、踏切のレールや鉄板、橋や道路のジョイント部、グレーチングと呼ばれる鉄製の排水溝の蓋といった金属の部分のほか、白線や黄色線のように特に滑りやすい箇所があります。
このような場所で、先に述べたような急な操作をするのは非常に危険です。また、タイヤが滑りやすいこともそうですが、停車時に地面に足を付く際にも滑りやすいので注意しましょう。
なお、滑りやすいスポットを避けようと意識しすぎるあまり、急なハンドル操作をしてしまうのはかえって危険。スリップする恐れがあるのはもちろん、後続車との接触事故も考えられます。
適当なスピードでまっすぐ走行して通過するだけでは、スリップすることはそうそうありません。状況に応じて落ち着いて判断することが大切です。
3つ目のコツは、車体を傾け過ぎないこと。
中でもタイヤのグリップ力が低下するカーブは、雨天時は特に転倒してしまう危険性があるので、カーブする際は車体を傾けすぎずに曲がるのがポイント。バイクは車体を傾けて曲がるものではありますが、スピードを抑えることで、バンク角を浅くすることができます。
また、走行時は水たまりに注意することも重要なコツといえます。
もしも深い水たまりの上を走行してブレーキ装置が濡れた場合、ブレーキが効きにくくなる可能性があります。また、深い水たまりには大きな石や釘といったパンクの要因になるものが隠れている可能性もあるので、なるべく避けて走行するとよいでしょう。
また、近くに歩行者がいる場合は水を掛けてしまう可能性も。マナーとして良くないことはもちろんのこと、道路交通法 第71条の1には「ぬかるみ又は水たまりを通行するときは、泥よけ器を付け、又は徐行する等して、泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること。」と明記されています。
もしも違反した場合、泥はね運転違反とみなされ二輪車には6000円、原付には5000円の反則金が科せられることになります。
そして4つ目のコツは、ヘルメットの水滴、曇り対策をすることです。
雨天時、ヘルメットのシールドは寒い日と同様に曇りやすくなるため、水滴対策と共に撥水スプレーや曇り止めスプレーを使用して曇り対策も取ると、安心して走行しやすくなります。
また、シールドの内側に貼り、二重構造化することで外側と内側の温度差を軽減し、シールド内を曇りにくくする「ピンロックシート」を使う方法もあります。
また、雨天時はライダーだけでなくドライバーや傘を差して歩く歩行者も、視界が悪くなります。無理なすり抜けなどの危険な走行は控えたり、白や黄色といった視認性の良いレインウェアやヘルメットを着用したりといった工夫も、一人ひとりが意識していきたいところです。
※ ※ ※
視界も悪く、道路も滑りやすい雨天時の走行は、晴天時よりも危険が増してしまいます。しかし、「スピードを落とす」「急な操作はしない」「車体を傾けすぎない」などのポイントを常に念頭に置きながら安全な走行を心掛けることで、転倒や事故の危険性を減らすことができそうです。
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