アリアNISMOで1000kmを走行
日産のフラグシップEVであるアリアNISMOで恒例の1000kmチャレンジを行いました。基準車であるB9 e-4ORCEや競合のテスラ・モデルYと比較して、どれほどのEV性能を実現することができたのか。途中の電費や充電の様子を詳細リポートします。
恒例の1000kmチャレンジで明らかになった充電性能! 長距離走行が多いひとにはメルセデス・ベンツEQEはアリなEVだった
まず、1000kmチャレンジの前提条件は以下のとおりです。
*走行ルート 海老名SA下り(神奈川県)→加古川北IC(兵庫県)→海老名SA上り(神奈川県)
*走行条件 ・途中充電のための停車以外はノンストップで海老名SA上りを目指す ・車内の空調システムはつねにONにして快適な状態をキープ(アリアNISMOの場合22℃オートに設定) ・追い越しなど含めて制限速度+10%までは許容 ・渋滞や充電エラー、充電渋滞など、車両の問題以外についてはトータルのタイムから除外 ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のアリアNISMO・20インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離との乖離がなかったため、オドメーター上で1000kmの段階でゴール)
1) 海老名SA下り→湾岸長島PA下り(150kW級急速充電器)
・走行距離:302.5km ・消費電力量:100%→17% ・平均電費:4.6km/kWh(217.4Wh/km) ・外気温:28℃→24℃ ・充電セッション:17%→85%(35分)
まず、この区間で注目するべきは、120km/h制限区間をがっつり走行するという、EVの電費という観点でもっとも厳しい300kmを無充電で走破しているという点です。この湾岸長島PAに150kW級急速充電器が設置されている点も、ちょうど関東を出発した高性能EVの最初の充電スポットとして、非常に考えられた経路充電設置計画であることがうかがえます。
また、充電について、SOC85%まで充電をしている理由は、アリアの充電性能の高い安定性にあります。というのも、アリアB9はSOC80%前半までは80kW以上を発揮可能です。つまりこれは、200A以上の電流値をキープできることを意味します。よって、いわゆる90kW級と呼ばれる200Aが上限の充電器よりも高い充電出力を発揮することが可能であり、充電時間の最短化を目指す場合は、SOC80%前半まで、なるべく150kW級で充電したほうがいいわけです。
2)湾岸長島PA下り→加古川北IC(折り返し)→桂川PA上り(90kW級急速充電器)
・走行距離:305.5km ・消費電力量:85%→0% ・平均電費:4.8km/kWh(208.3Wh/km) ・外気温:24℃→27℃ ・充電セッション:0%→35%(28分)
すでに折り返し地点を超えました。区間電費は208.3Wh/kmと、雨の影響で想定よりも電費が悪化。なんとかSOC0%で到着したものの、最初に充電を行った新電元製の90kW級の画面に、最大75kWに制限されていると、何やらエラーが表示されていました。
よってもう一基のABB製の90kW級で充電を繋ぎ直すことで、期待どおり70kW程度(=200A)の充電出力を発揮することができました。
そして桂川PAに設置されているのは90kW級であることから、この先の湾岸長島PAの150kW級を使用したほうが充電時間を短縮できるので、ここでは湾岸長島PA上り線に辿り着けるぶんだけの充電に留めています。
3) 桂川PA上り→湾岸長島PA上り(150kW級急速充電器)
・走行距離:109.8km ・消費電力量:35%→0% ・平均電費:4.2 km/kWh(238Wh/km) ・外気温:27℃→24℃ ・充電セッション:0%→51%(28分)
充電器到着直前に残念な光景が飛び込んできました。先客のEVが充電中であったことから、150kW級を使用したとしても、アリアNISMO側に割り振られる充電出力は最大でも90kW級(=200A)となってしまい、実際に70kW程度(200A×約350V)しか発揮することができませんでした。本来120kW以上で充電できるものが70kWに留まるわけですから、1000kmチャレンジのタイムという点では極めてマイナスとなります。
その一方で、途中で先客のボルボXC40 Rechargeが充電を切り上げたため、私も充電セッションを中断し、再度充電セッションを仕切り直すと、120kW級(=350A)を発揮することができ、結果としてタイムロスは想定未満に抑えることができました。
よって、SOC51%まで充電しているのは、アリアB9であればSOC60%程度までは120kW程度(=310~320A)を維持することが可能であり、150kW級で充電した際の「もっとも美味しい部分」を享受できるからとなります。
テスラとは大きな差がついた
4) 湾岸長島PA上り→浜松SA上り(150kW級急速充電器)
・走行距離:110.8km ・消費電力量:51%→14% ・平均電費:4.2km/kWh(238Wh/km) ・外気温:24℃→24℃ ・充電セッション:14%→59%(25分)
浜松SAまでは雨の降り方が強まり、一部120km/h区間もあるため電費が悪化しています。ところが問題は、150kW級で充電エラーが発生してしまい、何度か接続をやり直すという状況が発生した点です。なんとか15分間のブーストを終えて再度充電セッションをやり直そうとすると、何度も充電エラー表示となり充電することができなくなりました。よって隣の90kW級である青いマルチで充電をする羽目になり、想定以上に充電時間を要してしまったわけです。
じつは充電器検索サイトの利用口コミを確認すると、私以外にも、この浜松SA上りのABB製150kW級では充電エラーが多数報告されているため、どうやらアリアNISMOの問題ではなさそうです。
5) 浜松SA上り→駿河湾沼津SA上り(150kW級急速充電器)
・走行距離:115.8km ・消費電力量:59%→12% ・平均電費:3.3km/kWh(303Wh/km) ・外気温:23℃→25℃ ・充電セッション:12%→20%(4分)
最後の充電スポットは1000kmチャレンジ終了直前の駿河湾沼津SA上りの150kW級です。浜松で予期せぬ充電エラーによる充電セッションの途中切り上げを余儀なくされたことで、4分間だけ充電を行いました。ちなみにこのABB製150kW級急速充電器は充電エラーを起こしていた浜松SA上り線と同じ機種であることから、アリアNISMOとの相性問題ではなく、あくまでも浜松SA上り線のにあるABB製150kW級急速充電器特有の事象であることは間違いありません。
また、大雨と120km/h区間のみということもあり、行きよりも電費が悪化しています。
6) 駿河湾沼津SA上り→海老名SA上り(ゴール)
・走行距離:75.8km ・消費電力量:20%→0% ・平均電費:4.7km/kWh(212.8Wh/km) ・外気温:25℃→26℃
海老名SA直前で走行距離1000kmを達成しました。海老名SAには充電残量0%で到着。
この海老名SA到着時点での充電残量が少なければ少ないほど、最後の充電時間を短縮することができるわけですので、綿密な充電残量コントロールが求められるわけです。その意味においては完璧な充電残量コントロールを達成できたといえそうです。
トータルの所要時間は11時間1分と、私がこれまで行ってきた1000kmチャレンジの検証のなかでは平凡な記録となりました。他方で注目するべきは、数カ月前に検証していたアリアB9 e-4ORCE Limitedが15分ほど早いタイムで到着していたという点です。
まず、全行程における平均電費が233Wh/kmと、Limitedの213Wh/kmと比較しても悪化しており、パフォーマンスタイヤの装着、および大雨の影響による転がり抵抗の悪化が要因として考えられます。充電性能では同じなものの、そのぶんだけ余分に充電しなければならないわけです。
また、競合車種であるテスラ・モデルYロングレンジは10時間1分を記録しています。この検証では、今回と同じく大雨だったこともあり、かなり似たようなコンディションでした。ところが電費の差が歴然であり、スーパーチャージャーの高性能さも相まって、充電時間で1時間以上もの差がついてしまっています。
そして、今回のアリアNISMOの検証を通して感じたのが、公共の急速充電ネットワークの不安定さです。というのも、現在設置されている150kW級(=350A級)の急速充電器のほとんどが、2台同時充電可能な仕様です。湾岸長島PA上り線のように、先客のEVがいた場合、もしくは後発のEVが充電を始めてしまった場合、最大でも90kW級(=200A)に制限されてしまいます。充電をスタートした段階では350Aを発揮していたのに、SAの施設内で休憩して充電器に戻ってみると、期待したとおりの充電ができていなかった、なんてケースが考えられるわけです。
さらに問題なのが充電料金でしょう。現在、eMPは時間制課金を採用しており、150kW級で充電しようが90kW級で充電しようが充電料金は同じです。コストを意識すれば、150kW級で充電したいのがユーザー心理というもの。途中で充電出力がシェアされるとコスパが悪くなり、ユーザーの不満が高まるのも無理はありません。
その上、浜松SA上りで発生した充電エラーも気になるところです。確かに浜松SAには合計7基の急速充電器が設置されているので、充電できないという心配は少ないでしょうが、充電エラーが発生した際に、eMP側がしっかりとデータを収集して、車両側の問題なのか、それとも充電器側の問題なのかを判断。仮に充電器側に問題があるのであれば、迅速にエラーを改善するというサイクルを進めていってほしいと感じます。
いずれにしても、今回の検証に使用したアリアNISMO B9 e-4ORCEはオプション込み込みで1000万円を優に超えてくる超高級車です。やはり超高級EVであれば、充電エラーなどを気にすることなく、快適な長距離走破性能を期待するのは当然のこと。その意味において、充電エラーや競合車種と比較した電費性能の低さについては、やや残念な結果に終わったと結論づけることができるでしょう。
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