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日産とのシナジー効果はあるか!? 虎の子・新型アウトランダーが三菱の未来を切り開く

掲載 更新 15
日産とのシナジー効果はあるか!? 虎の子・新型アウトランダーが三菱の未来を切り開く

 2020年2月17日に一部情報が公開された、三菱の新型アウトランダー。まだ詳細なスペックは不明だが、新たなデザインや、三菱の得意とする4WD技術の搭載など、おおまかな概要は把握できた。

 現在、経営再建中の三菱自動車。2020年1月の主力モデルの国内販売台数は、デリカD:5が1543台、エクリプスクロスが823台、デリカD:2が529台、アウトランダーが187台と、相当に厳しい状況であり、今回の新型アウトランダーは是が非でもヒットさせたいモデルに違いない。

今ならもっと売れていた?? 時代の先を行き過ぎた挑戦車たち

 はたして、新型アウトランダーは、激戦の国内ミドルクラス4WD SUVカテゴリで、一旗揚げることができるだろうか。国産の競合車と比較し、考察していこうと思う。

文/吉川賢一
写真/MITSUBISHI、NISSAN

【画像ギャラリー】ライバルを押しのけるインパクトあり! 新型アウトランダーの全貌をギャラリーでチェック!!

■エクステリアデザインは大成功!!

 新型アウトランダーのエクステリアデザインには、一昨年の東京モーターショー2019で披露された、ミッドサイズの電動SUVコンセプトカー「エンゲルベルクツアラー」のデザインテイストが採用されている。

2019年に登場した三菱電動SUVコンセプトカー「エンゲルベルクツアラー」 今見ると、新型アウトランダーのデザインのヒントが大いにあった

 これまでのアウトランダーは、オンロード寄りのスタイルであったが、新型は、ハードな走行もこなせるオフロードSUVのイメージを取り入れたデザインになっており、三菱のデザインコンセプト「ダイナミックシールド」がふんだんに取り入れられたワイルドなフロントグリルも相まって、新たな客層へも十分にアピールができるだろう。

新型アウトランダーのデザインのインパクトは十分にある。デザインは大成功ではないだろうか

 インテリアも、これまでの路線とは大きく変化し、スタイリッシュで清潔感にあふれた方向へと昇華した。内装色によっては、BMWやアウディのようなテイストへ向かっているようにも見える。12.3インチのフルデジタルドライバーディスプレイや、9インチのスマホ連携ナビゲーションモニターなど、最新技術もしっかりとおさえている。

スタイリッシュで清潔感にあふれたインテリアになったように感じる

 グローバルでライバルとなるのは、RAV4やローグ(日本名:エクストレイル)、フォレスター、CX-5といったミドルクラス4WD SUVだ。そうした強豪の中に入っても、新型アウトランダーのデザインのインパクトは十分にあり、誰の目にも新鮮に映るだろう。デザインは、大成功ではないだろうか。

3列シートの7人乗りSUVとして、先代アウトランダーを継続している ただし簡便なヘッドレストになっているところは衝突安全上よくない

■PHEVは2022年 日本・欧州には三菱版e-POWERも!?

 詳細なスペックに関する情報は未発表ではあったが、エンジンは新開発の2.5Lガソリンエンジンを採用とある。すでに国内市場では、2020年10月にアウトランダーの2.4Lガソリンの仕様は生産終了となっており、その跡を継ぐ新型エンジンだ。

 ちなみに、2020年10月下旬より北米で発売開始した新型ローグも、2.5Lの新型エンジンだった。憶測だが、日産と三菱で、北米専用の2.5Lガソリンエンジンのユニットを共用化している可能性がある。ローグ(エクストレイル)とアウトランダーが、エンジンユニットを共用することは以前から予測されており、協業の成果が、いよいよ主力商品で表れ始めているのかもしれない。

2020年10月下旬より北米で発売開始した新型ローグ、現時点は2.5リッター4気筒ガソリンエンジンのみとなる ハイブリッドやPHEV仕様は未発表

 今回、この新型でのPHEVモデルに関するアナウンスはなかったが、三菱は、2020年7月に行われた中期経営計画の商品戦略において、次期型アウトランダーPHEVは2022年に登場、としており、PHEVモデルの登場まではあと少しかかるようだ。

 アウトランダーは、これまでグローバルで累計販売台数260万台を超えている人気ブランドであり、日本市場での売れ行きからは想像できないほど、海外市場では売れているSUVだ。

 そして、その「アウトランダー」というクルマにとって、PHEVモデルは大事な「資産」だ。三菱によると、アウトランダーPHEVは、2020年、欧州市場においてもっとも売れたSUVタイプのプラグインハイブリッド車となった(2020年に26673台を販売)。

 また、2019年時点で世界累計販売台数20万台を達成した「世界で最も売れているプラグインハイブリッド車」としても認定されている。PHEVモデルこそが、アウトランダーのブランドバリューを引き上げているのは間違いない。

 また、筆者は、北米向けローグには今年、e-POWER モデルが登場すると予想しており、今年登場が期待されている新型エクストレイルにも、そしてこの新型アウトランダーにも、e-POWER(三菱版は「mi-POWER」とか??)が登場するのではと考えている。

 純ガソリンエンジンが許される仕向け国(北米とインド、アジア圏)には2.5LガソリンエンジンとPHEVを出し、電動化が待ったなしの仕向け国(欧州、日本など)には、e-POWERとPHEVのラインアップを用意するのでは!? という予想だ。

 e-POWERという簡単なシステムと、エンジン発電による航続距離の長さは、日産・三菱の最大の武器となりうる。ほかの自動車メーカーは、相当に厄介だと感じることだろう。

次期型アウトランダーPHEVは2022年に登場する予定だ

■今こそ日産とのアライアンスを利用すべき

 三菱によると、新型アウトランダーは、北米市場を皮切りに販売を活性化させ、グローバルに販売を広げていく計画だという。「プラグインハイブリッドSUVトップ」の座を守ってきたアウトランダーPHEVではあるが、他メーカーのプラグインハイブリッドの登場で、初代の功績を超えるどころか、一気に販売が落ちていく可能性もある。

 なぜならライバル車は、売れ続けたアウトランダーPHEVを存分に研究しつくしているからだ。

三菱の強みである4WD制御「S-AWC」をアピールする場所が欲しいところだ パリダカやオフロードレースに出るなどでもよいと思う

 いかに素早く、新型PHEVと、比較的廉価なe-POWERモデルを登場させられるか、それは協業関係の日産にもあてはまることだ。コロナ禍によるダメージを受ける以前から、両社は経営状態がよくなかった。三菱として、アウトランダーで失敗することは、絶対に許されない。

 PHEVを含めたアウトランダーを、一切の妥協なく、最高のクルマとしたうえで、「いいクルマをいかに売り広げていくか」という点に関しては、北米市場では強い日産とのシナジー(相乗効果)は大いに利用してほしいと思う。

 この新型アウトランダーをきっかけに、三菱、そして日産が活気づくことを、期待している。

【画像ギャラリー】ライバルを押しのけるインパクトあり!新型アウトランダーの全貌をギャラリーでチェック!!

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みんなのコメント

15件
  • e-powerがそれほど優れた技術とは思わないのやけど……
    三菱のphev技術のほうがe-powerよりもはるかに上や。
  • 元三菱ファンとしては、それなりに売れることを願っている。
    足回りや部品の耐久性など、三菱車の長所は多かった。売れてるメーカーのクルマが必ずしも良いクルマでないことも経験則。
    さらには統一グリルを捨てて、次が期待できるようなデザインになることも願っている。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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