一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表している、2018年度(2018年4月~2019年3月)新車販売台数ランキング。
このランキングで日産セレナは販売台数10万17台を売り上げている。
【トヨタHV技術無償供与の真相】なぜトヨタはハイブリッドをタダで他社に譲るのか?
これはシエンタの9万5933台を抑えて、2018年度ミニバン販売台数No.1に輝いた数字だ。
そんな日産セレナの中古車最新事情を、中古車ジャーナリストの萩原文博さんに聞いてみました。
やっぱりエアロ付のハイウェイスターが人気なのか?
文:萩原文博/写真:日産
■e-POWERとプロパイロットでミニバン王者に輝いたセレナ
トヨタヴォクシ-/ノア/エスクァイア、ホンダステップワゴンと、ミニバンの中でも最も売れ筋となっているクラスに属する現行型セレナは、2016年8月に販売を開始。
クラストップの室内長と室内幅を実現し、すべてのシートで余裕のあるニースペースを確保している。
e-POWERやプロパイロットの投入で消費者へ先端技術をうまくPRしたセレナ。ミニバンの王者に躍進させた新技術ともいえよう
また、ミニバンとして初めて同一車線自動運転技術「プロパイロット」を採用。ロングドライブ時の運転支援機能を強化し、ドライバーであるお父さんの疲労軽減を実現したミニバンだ。
2017年11月にはサーキットで培ったNISMO(ニスモ)の技術を惜しみなく注入したロードカーの「セレナNISMO」を発売。
空力性能を向上させるエアロパーツを装着した外観、そしてNISMOのアイコニックカラーであるレッドのアクセントを随所にあしらいレーシーな雰囲気が漂うインテリアが特徴だ。
日産のレース部門でもあるNISMOの技術を取り入れたセレナNISMO。外観だけでなくスポーティな乗り味も体感できる
また専用のボディ補強やサスペンションチューンによって高い操縦安定性と気持ちの良いハンドリングを実現している。
2018年1月にはプレミアムスポーティをコンセプトとした「セレナオーテック」を追加。
スポーティでありながら、プレミアム感の高いスタイリングや素材にこだわるユーザーに向けたモデルで、NISMOとは異なり、落ち着いた雰囲気が特徴となっている。
そして、2018年2月に搭載したガソリンで発電を行い、その電力でモーターを駆動して走行するe-POWERを追加。
100%モーター駆動ならではの力強くレスポンスの良い加速を実現するとともに、JC08モード燃費で26.2km/Lという優れた燃費性能を実現した。
このe-POWERの追加で、従来からある2L直4ガソリンエンジン、2L直4ガソリン+モーターのスマートシンプルハイブリッドとパワートレインのラインアップが完成した。
それでは、セレナの中古車事情について現行型を中心に紹介しよう。
2019年5月末現在、現行型セレナの中古車は約1450台流通している。
上質感を追求したセレナオーテック。ミドルクラスのミニバンながら新しいアプローチを続ける
流通台数は中古車最大の需要期である3月下旬から増え始めて、ゴールデンウィーク明けにピークとなる1600台となった。
その後は減少に転じて現在は1450台となった。中古車の平均価格は3カ月前の時点が約265万円、その後順調に値落ちが進み現在は256万円まで下がっている。
これまでの値動きを見ていると、今後もまだまだ順調な値落ちが進みそうだ。
続いては、2010年~2016年まで販売された先代セレナの中古車事情にも触れておきたい。
約6年間販売された先代セレナの中古車は約2900台もあり歴代モデルで最も多くなっている。
先代セレナの中古車の流通台数は現行型と同様に3月末から増え始めて、5月上旬のピーク時には3000台を突破、そして現在は約2900台で安定している。
一方の平均価格は現在、底値に達しているようで、3カ月前からゴールデンウィーク明けまで152万円の横這いで推移し、現在は149万円まで値落ちしている。
こちらの値落ちは現行型とは異なり、一時的なもので再び横這いになりそうな気配だ。
■セレナのなかでもハイウェイスターは不動の人気を誇る!!
それではセレナの中古車のグレード分布を見てみよう。
相変わらずエアロパーツを装着したハイウェイスターの人気は不動で流通台数上位を占めている。
約530台と最も流通台数が多いのが2.0ハイウェイスターVセレクションII、2.0ハイウェイスターVセレクションの168台、そして2.0ハイウェイスターの163台が続く。
若いファミリー層からの支持も強いセレナはエアロがついたハイウェイスターの人気が圧倒的
話題のe-POWERは第4位にランクインし、e-POWERハイウェイスターVが70台となっている。
興味深いのは中古車の流通台数が多い1位と2位に特別仕様車がランクインしていることだ。
特に2018年9月に販売された2.0ハイウェイスターVセレクションIIは走行距離1000km以下というおろしたて中古車が約91.3%を占めている。
これは販売台数No.1を獲得するために大量に登録したという結果と考えられる。
[usedcar-search carname="セレナ" limit="2"]
ユーザーにしてみれば、多少車検期間は短くなるものの、割安な価格でほぼ新車が手に入るならば、魅力は高い。
中古車の価格帯を見ると、2.0ハイウェイスターVセレクションIIは約209.9万~約315万円、2.0ハイウェイスターVセレクションは約196万~約306万円。2.0ハイウェイスターが約160万~約270万円。
そしてe-POWERハイウェイスターVは約290万~約398万円となっている。
最も流通台数の多い2.0ハイウェイスターVセレクションIIとe-POWERハイウェイスターVの2018年式の平均価格の推移を見てみる。
前者は3カ月前が約258万円、今月が約250万円の値落ちに対して、後者は約324万円から約333万円と値上がりとなっており、同じセレナであってもグレードによって値動きに差が出ている。
ハイウェイスターに比べるとシンプルなノーマルグレード。外観が気にならない人なら、あえての選択もおすすめだ
e-POWERハイウェイスターVの値上がりは、おろしたて中古車の流通が大きな要因だが、人気の高さも影響を与えているのは間違いない。
人気ミニバンのセレナをお得に購入するなら、(e-POWERではなく)スマートシンプルハイブリッド搭載車と言える。
最後にセレナのライバル車の値動きを確認しておきたい。
2014年に登場したトヨタヴォクシーの中古車の流通台数が約2800台。平均価格は3カ月前が約242万円で、今月は232万円。
3月の需要期に値落ちしたものの、4月からほぼ横這いで推移している。
そして、2015年に登場したホンダステップワゴンの中古車の流通台数は約1100台。
平均価格は3カ月前が243万円で今月は240万円とほぼ横這いで推移している。登場した年が最も古いヴォクシーは流通台数が最も多く、平均価格が安くなっている。
ヴォクシーは押し出し感の強いルックスもあり大人気。ノア、エスクァイアとのキャラクター分けはトヨタらしい巧みな戦略だ
しかし、セレナの値落ちに対して、ヴォクシーは横這いと値動きが異なるためこの差はさらに縮む可能性は高い。
運転支援装備ではセレナやステップワゴンに譲るものの、改めてトヨタヴォクシー/ノア/エスクァイアの人気の高さが浮き彫りとなった。
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