現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 【忘れがたき銘車たち】日本の誇り、GT-Rの価値ある“助走”『NISMO GT-R LM』

ここから本文です

【忘れがたき銘車たち】日本の誇り、GT-Rの価値ある“助走”『NISMO GT-R LM』

掲載 更新 7
【忘れがたき銘車たち】日本の誇り、GT-Rの価値ある“助走”『NISMO GT-R LM』

 モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは『NISMO GT-R LM』です。

* * * * * *

【忘れがたき銘車たち】“ラリーの三菱”がサーキットでも速さを魅せる『グループA 三菱スタリオン』

 BNR32型の時代には、車両開発のときからターゲットにしていた『グループA』レースにおいて、国内のみならずスパ24時間など海外の耐久レースも制し、世界をも席巻させたスカイラインGT-R。

 1995年にBCNR33型へとモデルチェンジしたあとは、国内カテゴリーの変遷とともに主戦場を全日本GT選手権(JGTC)にしていたGT-Rだが、このR33時代にもGT-Rは世界のレースへと挑戦し続けた。

 その舞台となったのは、伝統のル・マン24時間。日産にとってもグループCカー期以来、5年ぶりだったル・マン24時間への挑戦は、GT-Rにとって厳しい戦いとなった。

 R33型GT-Rがル・マン24時間に挑んだのは、GT1が本格的にメインカテゴリーとなった1995年。R33型のGT-Rをベースとした『NISMO GT-R LM』を2台開発してのエントリーだった。

 NISMO GT-R LMは、トヨタやホンダとは異なり、R33のスカイラインGT-RをベースにFR化され、スカイラインの名を持たない同名のホモロゲーション用ロードカーが1台製作された。

 ロードカーが作られた理由は、GT1の規定を最大限活かすためと、GT規定では4WDが禁止だったこと、さらに“スカイラインGT-R”だと同一車種に4ドアのグレードが存在するため、GT1のホモロゲーションを取ることができず、“GT-R”という新たな車種を仕立てる必要があったためなどが挙げられる。

 GT-R LMは、見た目こそJGTC仕様に似ているのだが、各所がル・マン用にモディファイされている。搭載するエンジンは、JGTC仕様の450馬力に比べて、600馬力へとパワーアップを図った。

 さらに、ブレーキはカーボン製となり、フロントにはグループCカーのR92CP用、リヤにはNP35用を流用する。カーボン製のボディ下面には、フラットボトム規定によってアンダーディフューザーを装着していた。

 参戦した2台の22号車と23号車では、それぞれ仕様が異なっている。エンジンが22号車はJGTC N1用を、23号車はスパ24時間を制したグループA仕様をベースに開発されている。

 トランスミッションも22号車は、日産製5速Hパターンを採用しているのに対し、23号車はXトラック製6速シーケンシャルを用いている。

 当初は、これが3年計画の1年目であったために今後の方向性を確認する目的で、22号車と23号車では、それぞれ違うアプローチでの開発となった。

 挑戦初年度となった1995年のル・マン24時間では、23号車が総合27番手、22号車が35番手という予選順位を確保する。

 決勝は、23号車が一時総合5番手まで浮上したものの、予選からアキレス腱となっていたシーケンシャルトランスミッションが原因でリタイア。22号車は、総合10位で完走を果たしたものの、GT2勢の後塵を拝する結果となってしまった。

 1996年は、ウィークポイントだったトランスミッションをHパターンに変更。エンジンはドライサンプ化で低重心となり、最高出力も670馬力ほどにパワーアップ。予選タイムでも前年より10秒速い4分切りを達成するほどポテンシャルアップしていた。

 しかし、それ以上にライバル勢の上がり幅が大きく、やはり苦戦をしいられる。結局、トラブルを抱えながら、23号車が総合15位で完走するのがやっとだった。

 3年計画として進んでいた日産のGT1期ル・マン24時間への参戦は、この2年連続の敗北によって、3年目に大きく方向転換することになる。日産は「市販車の延長ではダメだ」と判断し、1997年に専用車『R390 GT1』を生み出すことになる。

 この挑戦によって、日産がGT1に本腰を入れるきっかけになったという意味では価値ある“助走”だった2年に及ぶGT-Rでのル・マン参戦劇は、幕を下ろした。

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

レース終盤に突然荒れ出したGT500クラス決勝。トラブル、ハプニングまとめ/第2戦富士
レース終盤に突然荒れ出したGT500クラス決勝。トラブル、ハプニングまとめ/第2戦富士
AUTOSPORT web
小暮卓史「ホッとしています」。元嶋佑弥「タイヤがプッシュに応えてくれた」【第2戦GT300決勝会見】
小暮卓史「ホッとしています」。元嶋佑弥「タイヤがプッシュに応えてくれた」【第2戦GT300決勝会見】
AUTOSPORT web
うおおお魂動デザインのピックアップ! トライトンがありならマツダBT-50も入れてくれ!
うおおお魂動デザインのピックアップ! トライトンがありならマツダBT-50も入れてくれ!
ベストカーWeb
高星明誠「これで満足しない」。三宅淳詞「流れを崩さず準備していきたい」【第2戦GT500決勝会見】
高星明誠「これで満足しない」。三宅淳詞「流れを崩さず準備していきたい」【第2戦GT500決勝会見】
AUTOSPORT web
ベントレー・ベンテイガ 詳細データテスト 上質で広い 動力性能も操縦性もハイレベル 文句なく快適
ベントレー・ベンテイガ 詳細データテスト 上質で広い 動力性能も操縦性もハイレベル 文句なく快適
AUTOCAR JAPAN
初開催「RALLY三河湾2024」は大苦戦! それでも完走できたのは「OZホイール」のおかげでした【ゴスラリ参戦記】
初開催「RALLY三河湾2024」は大苦戦! それでも完走できたのは「OZホイール」のおかげでした【ゴスラリ参戦記】
Auto Messe Web
ニスモが1-2で富士を制圧。Niterra MOTUL Zの三宅淳詞がデビュー2戦目で初優勝【第2戦GT500決勝レポート】
ニスモが1-2で富士を制圧。Niterra MOTUL Zの三宅淳詞がデビュー2戦目で初優勝【第2戦GT500決勝レポート】
AUTOSPORT web
逆襲のヨコハマがワン・ツー。JLOCランボルギーニが独走ポール・トゥ・ウイン【第2戦GT300決勝レポート】
逆襲のヨコハマがワン・ツー。JLOCランボルギーニが独走ポール・トゥ・ウイン【第2戦GT300決勝レポート】
AUTOSPORT web
前年比10パーセント増。ゴールデンウイークの富士スピードウェイ、スーパーGT第2戦に8万8000人が来場
前年比10パーセント増。ゴールデンウイークの富士スピードウェイ、スーパーGT第2戦に8万8000人が来場
AUTOSPORT web
オススメできない理由がない! 新型フォルクスワーゲン・ティグアンへ試乗 アウディに見劣りしない車内
オススメできない理由がない! 新型フォルクスワーゲン・ティグアンへ試乗 アウディに見劣りしない車内
AUTOCAR JAPAN
「プロテクションフィルム」を貼ると査定は下がる!? プロショップに聞く最新フィルム事情とは
「プロテクションフィルム」を貼ると査定は下がる!? プロショップに聞く最新フィルム事情とは
Auto Messe Web
【正式結果】2024年スーパーGT第2戦富士 決勝3時間後
【正式結果】2024年スーパーGT第2戦富士 決勝3時間後
AUTOSPORT web
アルピーヌF1、予選Q2ダブル進出。ガスリーが進歩実感の一方でオコンにエンジントラブル発生「決勝は大丈夫なはず」
アルピーヌF1、予選Q2ダブル進出。ガスリーが進歩実感の一方でオコンにエンジントラブル発生「決勝は大丈夫なはず」
motorsport.com 日本版
メルセデス、2台がSQ2で敗退「実験のせいでなくこれが実力」「アップデートが機能していない」F1第6戦スプリント予選
メルセデス、2台がSQ2で敗退「実験のせいでなくこれが実力」「アップデートが機能していない」F1第6戦スプリント予選
AUTOSPORT web
【速報!マイアミGP予選 】F1第6戦、角田裕毅は10番グリッドから決勝にのぞむ、ポールポジションはフェルスタッペン
【速報!マイアミGP予選 】F1第6戦、角田裕毅は10番グリッドから決勝にのぞむ、ポールポジションはフェルスタッペン
Webモーターマガジン
FP1をスピンで失ったルクレールがスプリント予選2番手「シングルラップ改善の努力が報われた」フェラーリ/F1第6戦
FP1をスピンで失ったルクレールがスプリント予選2番手「シングルラップ改善の努力が報われた」フェラーリ/F1第6戦
AUTOSPORT web
「異端児」の有終の美 TVR T 400R トップギアの映像で内装を再現 ナンバー付きGT1ル・マン・マシン(2)
「異端児」の有終の美 TVR T 400R トップギアの映像で内装を再現 ナンバー付きGT1ル・マン・マシン(2)
AUTOCAR JAPAN
ちょっと「度を超えた」挑戦? TVR T 400R 346km/hのタスカン ナンバー付きGT1マシン(1)
ちょっと「度を超えた」挑戦? TVR T 400R 346km/hのタスカン ナンバー付きGT1マシン(1)
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

7件
  • グループC~GT1規定時代のル・マンはマジで黄金期だった。
    あの頃のルマンカーよりカッコいい車はこの世に存在しないとさえ思っている。(個人的に)
  • 星野一義のドライブで社内テストコースを使って撮影されたCMでグラベルに片輪落として走り去る姿にニヤリとした思い出。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1444.33061.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

588.023000.0万円

中古車を検索
NISSAN GT-Rの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1444.33061.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

588.023000.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村