2020年のスーパーフォーミュラにTEAM MUGENから参戦するユーリ・ヴィップス。彼は昨季、様々なレースで自らの才能を遺憾無く発揮した。
昨季FIA F3に参戦したヴィップスは、プレマの3人のドライバーがシーズンを席巻する中で奮闘し、3勝を挙げてランキング4位となった。さらにマカオGPでは決勝こそ2位に終わったが、それ以前のセッションでは全てトップになるなど速さを見せつけた。
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そして彼は、2019年のスーパーフォーミュラ最終戦鈴鹿にもTEAM MUGENからスポット参戦した。マシン、サーキット共に初体験だったが、日曜のフリー走行では4番手タイムを記録。決勝ではキャリア初のピットストップでエンジンをストールさせてしまい18位に終わったが、それまでは入賞も狙えるポジションで走行していた。
そんなヴィップスは今季、スーパーフォーミュラにフル参戦することとなった。昨年末にはルーキーテストにも参加したヴィップスだが、改めてスーパーフォーミュラというカテゴリーのレベルの高さを感じたようだ。
「昨年の最終戦では、新品のソフトタイヤを使って走ることはなかった。そして今回のテストで初めて新品のソフトタイヤを使って走ったんだけど……信じられなかった。ものすごく速かったよ!」とヴィップスは語った。
「このタイヤを適切に使う方法を僕が完全に理解した時には……ああ、想像するだけでワクワクするよ」
「(チームメイトの)野尻さんはとても速くて、経験豊富だ。そういう人が僕の隣には必要だから、良いことだと思う。彼はすごく良い人だから、政治的ないざこざも起こらないだろう」
またヴィップス曰く、F1に最も近いカテゴリーであるFIA F2に参戦するのは、厳しいと考えていたようだ。
「F2は選択肢になかったと思う」
「F2参戦には多額の資金が必要だけど、僕たち家族には十分なお金がないんだ。それ(F2参戦)を実現させるためにはレッドブルに相当協力をしてもらう必要があったけど、そううまくはいかなかった」
F1参戦に必要なスーパーライセンスの発給には、40の“ライセンスポイント”を3年間で稼ぐ必要がある。ヴィップスは2018年にユーロF3でランキング4位、2019年にFIA F3でランキング4位となったことで、ライセンスポイントを20点所持している。2020年にあと20点加えるためには、実力者揃いのスーパーフォーミュラでランキング2位以上となること必要がある。
ヴィップスは、そんな現行のスーパーライセンス制度に少々不満を感じているという。
「僕は今スーパーライセンスポイントを20点持っている。非常にレベルの高い選手権で、ましてやベストではないチームにいながら4位に入ったのに、それでも(ライセンス発給に必要な)40点には届かないというのは、少々納得いかない部分もある」
「レッドブル育成ドライバーは常に大きなプレッシャーがかかっている。そんな中で、『どうやってレースに勝つか』以外のことを考えなければいけないんだ」
2021年にヴィップスがF1デビューを果たすためには、スーパーフォーミュラフル参戦1年目でチャンピオン争いに絡むことが求められる。彼は日本で活躍するための“課題”があると語ったが、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)をはじめとする外国人ドライバーのスーパーフォーミュラにおける成功例をポジティブに捉えている。
「日本では、スタッフとうまく仕事をする方法を心得る必要があって、そこが大変だと思う。ブリーフィングは日本語で行なわれていて、データエンジニアが僕に翻訳をしてくれているんだけど、やはりどうしても具体的な部分が省かれてしまうこともあるんだ」
「でも、ピエールやストフェル・バンドーン、フェリックス・ローゼンクヴィストは、そういった環境でもうまくやれるということを証明してくれているんだ」
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