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ランドローバー ディフェンダー110試乗記(AWD 2.0Lターボ+8速AT)

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ランドローバー ディフェンダー110試乗記(AWD 2.0Lターボ+8速AT)

2019年9月のフランクフルト・モーターショーで新型ディフェンダーがワールドプレミアし、約1年経って国内デビューを果たした。そのディフェンダー110に試乗してきたのでお伝えしよう。

試乗は横浜のみなとみらい地区で、ディフェンダーを象徴する悪路走破力をテストする環境ではなく、市街地と高速道路での試乗となった。また試乗車はディフェンダー110のSEグレードだった。

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まずはそのボディの大きさに圧倒される。全長4945mm、全幅1995mm、全高1970mm、ホイールベースが3020mmで車両重量も約2.2トンという重量級だ。その大柄なボディに僅か2.0Lターボガソリンエンジンを搭載し、ロースピードギヤを持つ副変速機搭載の8速ATが組み合わされている。

全高1970mmが示すようにドライバーズシートの位置も高く、ステアリングを握りながら体を引き上げて乗り込むことになる。シートに座ると元祖コマンドポジションと言われたように、腰掛けたポジションから外界を見下ろす景色になる。フロントウインドウには視界を遮るものはなく、ボンネットも見えないようにスッキリとした視界がある。

インテリアは個性的であるものの、ランドローバーのイメージどおりに、また無骨さも持ち合わせた高級車になっていた。かつてのディフェンダーを知るユーザーは、その進化の違いに驚くかもしれない。いわば21世紀仕様に刷新されたというわけだ。

横幅が2m近くあるので、助手席は遠くに感じ、センターコンソールにはオプションのジャンプシートが設置できるほどの広さがある。そのためもあり、シフトレバーはフロアにはなく、ダッシュボードに設置されている。また助手席前にはグリップハンドルが装備され、オフロードを得意とする雰囲気が伝わってくる。


ターゲット

新型ディフェンダーは冒険好きな人や好奇心溢れる人、そして、コミュニティの価値を理解し、変化をもたらすために努力を惜しまない人々のために開発したという。世界128カ国で発売される新型ディフェンダーには、そうした思いが込められ、実際のオフロードでの性能も最高の走破力を目指す仕様となっているのだ。

新型を開発するにあたって、ラダーフレームからアルミモノコック「D7x」を開発し、ランドローバー史上最も頑丈なボディ構造だという。従来のラダーフレームと比較して約3倍のねじり剛性を確保している。それは走行してみると鉄の塊の中に乗っているような剛性感を得ることで実感する。スペック表にも最大ルーフ静荷重、動荷重という項目があり、それぞれ300kg、168kgの重量を屋根に載せることができるというのだ。

最低地上高も近年のSUV車より100mmほど高く291mmもある。そのため、乗り込みが高い位置になっているのだ。本格的オフロード性能とひと目でディフェンダーとわかるデザインは、前後のオーバーハングの短さでも感じる。フロント38度、リヤ40度のアプローチ、デパーチャーアングルを確保し、最大渡河水深も900mmという他に類を見ないスペックが揃う。

本気で山を駆け登り、砂漠を走り、そして凍てつくような寒さの中を走り回るために必要な性能を全て持たせたモデルというわけだ。そのためのオール テレインレスポンス2オートは、オフロード経験の少ないユーザーでも走破できるシステムも搭載している。

市街地走行では

こうした本格オフローダーを舗装路ではどうなのか?正直なところ先代のディフェンダーは高速道路は苦手だった。100km/h程度であれば、走行はできるがアウトバーンなどのスピード域では「走りたくない」と思わせるものだった。それは非常に長いサスペンションストロークが影響し、ロールが大きいから高速域では怖さにつながる。だから高速よりは一般道というのが先代だった。

新型のディフェンダーは、ステアリングのレスポンスは本格クロスカントリー車の常識どおりスローだ。ステアしてからワンテンポ遅れて車体が動き出すイメージだ。これは悪路を走る場合にキックバックなどを考慮すると必要な緩さであり、そうした性能はリスペクトされているのだろう。

反面、サスペンションはエアサスに変わり、超ロングストロークな足回りは影を潜めた。その結果、高速道路でも快適に乗り心地よく走ることができていた。ステア応答はスローなものの、その緩さがゆったり感へとつながる印象に変わる。

エンジンパワーは2.0Lで大丈夫か?と思ったがP300型4気筒ターボエンジンは300ps(221kW)/5500rpm、400Nm/2000rpmというスペックがあり、決して速いわけではないが、普通に走らせるには十分なパワー/トルクだと感じた。

また、驚きの性能のひとつに、静粛性があった。ディフェンダーへのイメージがどうしても「ゲタタイヤ」を履いているイメージが強く、実際ロードノイズも大きかった。高速道路では会話はできない、というレベルだったが、最新のランドローバーモデルにふさわしく、静粛性は高くラインアップに相応しい静かさだと感じた。




もうひとつ、お気に入りのポイントとしてリヤドアが片開きになっている点だ。実用面でどうか?は不明だが、イメージどおりのアウトドアモデルといった印象で、タイヤを背中に背負っているモデルも、ほぼなくなっている今、そのあたりも新鮮さと懐古性が混在した印象を受けた。

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現在国内ではこのディフェンダー110だけが導入されているが、まもなく90も発売されるようだ。また2021年モデルではディーゼルモデルが導入されるので、これも楽しみ。都心部では大柄で駐車スペースにも苦労すると思うが、大自然が多く残るエリアでの活動は、この上なくスタイリッシュに映るのは間違いない。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

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