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【ヒットの法則249】初代BMW X3の走りはフェイスリフトで劇的に変わっていた

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【ヒットの法則249】初代BMW X3の走りはフェイスリフトで劇的に変わっていた

2006年、コンパクトSUV市場にプレミアムな価値を持ち込んで成功していた初代BMW X3がフェイスリフトを受けている。その注目ポイントはパワートレーンの一新、これによりX3の走りはどう変わったのか。ドイツでの試乗記を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年12月号より)

初代X3はベストセリングSUV
ドイツでX3がデビューしたのは2003年。当時、Mクラス、X5、そしてカイエンなどの登場で、確かにこの国を中心に欧州ではSUVブームの兆しが見えていた。しかし、コンパクトあるいはミッドサイズSUVは、日本や韓国メーカーの得意分野で、コスト優先のこのセグメントにプレミアムメーカーが乗り込んで来るとは誰も考えていなかった。だからX3の登場はやや唐突な感じはあった。

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しかしフタを開けてみれば2年半で世界市場に26万台を販売、ドイツでも2005年のSUVセグメントで11.4%を占めるなど、X3は見る見るうちにベストセリングSUVの仲間に入り込んだ。しかも今年に入ってもその勢いは衰えず、8月までに昨年同期の10%増しに当たる7万台を超える生産台数を達成している。

そして3年目を迎え、X3はフェイスリフトを受けた。今回の改良に対する宿題はいろいろあったが、レポーターの期待は、まず批判の多かったインテリアに向かった。

基本的なデザインやレイアウトには変化がないが、クロームのアクセントが下に入った3本スポークのステアリングホイール、スケールが緻密になったメーター、そして新しい材質のプラスチックからなるダッシュボードなどにより、確かに全体的に安っぽかった印象は和らいでいる。

エクステリアでは、フロントはキドニーグリルがやや大きくなり、2灯式ヘッドランプがクリアガラスで覆われ、フォグランプがリデザインされたバンパーの上、ボディ側に移されている。一方、リアエンドはLEDが内蔵されたリアコンビランプが新しいグラフィックに変わった程度である。

ZF製の6速ATも進化、変速にかかる時間は半分に
しかし、新しいX3で注目すべき点は技術的な内容にある。まずこのテスト車3.0siには、すでに3シリーズに搭載されているマグネシウム・アルミ合金製のクランクケースを持った新世代の軽量直列6気筒エンジンが搭載される。従来よりもおよそ10kg軽いこのエンジンは、バルブトロニックとダブルVANOSを装備し、最高出力272ps、最大トルク315Nmを発生する。

また、X3には電子制御の多板クラッチを組み込んだxDriveシステムが採用されている。スタンダード・トルクディストリビューションが40対60であるこの4WDシステムの特徴は、メカニカルなスタンバイ四駆とは違って反応速度が素早く、またDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)との相性が良いことが挙げられる。

さらにこのX3ではxDriveとDSCの介入効果をより高めるために、ICM(インテグレーテッド・シャシ・マネージメント)を採用、それまで別々に働いていたエンジンとブレーキの介入をお互いに影響し合いながら作動するように改良されている。

さらにDSCのエマージェンシーブレーキ介入がより効果的になるDBC(ダイナミック・ブレーキ・コントロール)、また急斜面の下降時に有効なHDC(ヒル・ディセント・コントロール)、さらにワイパーが作動中(つまり雨天走行時)にはブレーキディスクを乾燥させる機能も加わった。

もちろんテストに選んだのは6速オートマチック仕様である。改良されたZF製のトランスミッションは従来システムに比べて50%もシフトチェンジの時間が短縮されている。

車重は1840kgと平均的な乗用車に対して300kg近いハンディのあるX3のだが、最高出力272psはパワフルで、0→100km/hの加速は7.5秒。交通の流れの邪魔になるようなことはまったくない。むしろエンジンとの相性の良い、そしてシフトが小気味良い6速ATによってスイスイと市街地、そして郊外を走り抜け、アウトバーンでさえ走るパイロン扱いにはされない。なにしろ最高速度は210km/h(タイヤを高速タイプにすれば228km/h)にまで達する。

また見た目の重心の高さにもかかわらず、ロールが抑えられているので、コーナーでもそうスピードを落とす必要はない。このシチュエーションではBMWらしいダイレクトでスポーティな反応も見せてくれる。

つまり普通乗用車並みの扱いやすい走行性能が高い次元で確保されているのである。また前後の大径ベンチレーテッドディスクブレーキ(325mm径/320mm径)のお陰で、クライアントあるいは同僚と共にビジネスマンズエクスプレスとして使用するにも安心である。

このトップグレードのガソリン車、ドイツでは4万2600ユーロ(税込み約620万円)。決して安くない買い物だが330xiとほぼ同じ価格だから、アクティブスポーツ派はX3を選択するに違いない。(文:木村好宏/Motor Magazine 2006年12月号より)



BMW X3 3.0si 主要諸元
●全長×全幅×全高:4569×1853×1674mm
●ホイールベース:2795mm
●車両重量:1840kg
●エンジン:直6DOHC
●排気量:2996cc
●最高出力:272ps/6650rpm
●最大トルク:315Nm/2750rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●0→100km/h加速:7.5秒
●最高速:210km/h
※欧州仕様

[ アルバム : BMW X3 3.0si はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

2件
  • E83後期型を2台乗り継いでます。昨今のエンジンダウンサイジンク、ディーゼル化も理解できなくありませんが、E83のちょうどいいサイズ感、スッキリしたインテリア感、逆にあまり使えない純正ナビもありますが このE83後期のN52エンジン ストレート6は本当に素晴らしいと思います。やめられません。現行のモデルにこのようなエンジンが無いのがさびしいです。が、時代の流れでは仕方ないです。
  • 普通の感覚ならX5を買うからいらない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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