国内4メーカーで唯一のフルカウル原付二種スポーツ、GSX-R125が新排ガス規制に適合。予定よりおよそ2か月遅れて7月に販売開始し、最高出力/最大トルクとも従来と変わらず、発生回転数がそれぞれ500rpmずつ上昇した。GSX-Rシリーズの末弟、適合後の変化やいかに。
結束バンド、切らなくても外せるって知ってた? 使い捨ての”ワンウェイ”タイプも再利用する方法
●文:ヤングマシン編集部(大屋雄一) ●写真:柴田直行 ●外部リンク:スズキ
スズキ GSX-R125 ABS:小排気量車の魅力凝縮。真のライトウェイト車
―― 【スズキGSX-R125 ABS】■全長2000 全高1070 軸距1300 シート高785(各mm) 車重137kg ■水冷4スト単気筒DOHC4バルブ 124cc 15ps/10500rpm1.1kg-m/8500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量11L ■ブレーキF=ディスク R=ディスク ■タイヤF=90/80-17 R=130/70-17 ●色:赤 黒 青 ●価格:45万3200円
―― 【レースベース車としても人気な戦う原付二種だ】’18年1月に38万6640円という安さで登場したGSX-Rシリーズの末弟。フレームはシートレール一体式のダイヤモンドタイプで、海外では同一シャーシで150も存在する。’20年のマイチェンでメーター表示が白黒反転となり、合わせてハザードスイッチを追加。レース用パーツも豊富に揃う。
―― ハンドル/シート/ステップの位置関係が完全にスーパースポーツのそれだが、コンパクトなのでつらさは皆無。足着き性も優秀だ。[身長175cm/体重68kg]
スズキ GSX-R125 ABS:試乗インプレッション
まずは最も気になるであろうエンジンから。GSX‐R1000Rよりもボア×ストローク比がショートな124cc水冷DOHC4バルブ単気筒は、スズキイージースタートシステムによって瞬時に目覚め、新排ガス規制適合前と同様に歯切れのいい排気音を響かせる。
ギヤをローに入れて発進すると、6000rpmぐらいまでは穏やかだが、7000rpmを超えたあたりからグングンとパワーが盛り上がり、レッドゾーンの始まる1万1500rpmまで力強く加速する。こうした高回転型という基本的なイメージは適合前と大きく変わらず、使うギヤを慎重に選んでパワーバンドをキープするという、一般公道において小排気量車にしか味わえない楽しさに思わずニヤリとする。
厳密には、街中で常用する6000rpm以下でのトルクが薄いというか、スロットルの動きに対する反応がより穏やかになったような気がするが、新旧を同時に比べていないので断言は避けたい。
ハンドリングに関して影響しそうな変更点は、車重が3kg増えた程度だ。車体のバンクに対する舵角の入り方が素早く、フロントからしっかりと旋回するという特性は、完全にスーパースポーツのそれと言っていい。250ccクラスのフルカウルスポーツよりも切れ味は良く、高回転型のエンジンと合わせてスポーツライディングに没頭できる。
今回は終日雨の中での試乗となったが、ドライ路面でペースを上げたときに露呈する前後サスペンションの頼りなさはほとんど気にならなかった。むしろスムーズに発生する車体のピッチングとしなやかなフレーム、そして標準装着タイヤのウェットグリップの高さに感心したほどで、3kg増えたことはほとんどの人が気付かないだろう。
ブレーキは、フロントが入力に比例して高い制動力を発揮し、リヤはコントロール重視という設定だ。原付二種クラスでは、フロントのみにABSを採用する例は珍しくないのだが、R125はリヤも介入する2チャンネル式となっている。若年層のビギナーにも好まれそうなスタイルだけに、この配慮はうれしい。
スズキ GSX-R125 ABS 車両紹介
◆スズキ GSX-R125 ABS:エンジン
―― 【新規制に適合しつつ最高出力15psをキープ】超ショートストロークな124cc水冷DOHC4バルブ単気筒。6つのセンサー搭載のデュアルスプレー式4穴FIにより、高出力と低燃費を両立する。 [写真タップで拡大]
―― 上下に並んだ排気口の内径が微妙に異なるデュアルテールエンドマフラー。新排ガス規制に適合しつつ上質な排気音を実現。 [写真タップで拡大]
◆スズキ GSX-R125 ABS:足まわり
―― φ31mm正立式フォークとリンク式のリヤモノショックは非調整式。ペタルタイプのブレーキディスクはフロントφ290mm、リヤφ187mmで、これに小型軽量なABS制御ユニットを組み合わせる。10本スポークのスポーティなホイールはアルミキャストで、標準装着タイヤはダンロップ D102だ。 [写真タップで拡大]
◆スズキ GSX-R125 ABS:主要装備
―― 中央上段にロー/下段にハイビーム/その左右にポジションを配置したヘッドライト。テールランプ/ナンバー灯までLEDで、ウインカーのみフィラメント球。 [写真タップで拡大]
―― セパレートハンドルはトップブリッジの下にクランプされる。セルボタンの短押しで始動可能なスズキイージースタートシステムを装備。 [写真タップで拡大]
―― フル液晶ディスプレイは’20年モデルでネガティブ液晶に。エンジンRPMインジケーターは3000~1万1500rpmの間で500rpm刻みで設定可能だ。便利な平均燃費計やギヤ段数表示も。 [写真タップで拡大]
―― キーシリンダーは鍵穴をガードするシャッター付きだ。これを開けるためのオープナーは、ネイキッドのGSX-S125がキーと一体式なのに対し、R125は別体式とされる。 [写真タップで拡大]
―― 燃料タンク容量は11Lで、ガソリンはレギュラー指定。 [写真タップで拡大]
―― ステップはラバーのないスポーティなもので、ペダルは左右とも同軸式を採用。プレートも含め質感は良好だ。 [写真タップで拡大]
―― タンデムシートはキーロックの解除で取り外すことができ、中には車載工具や書類入れが収納されるほか、ヘルメットホルダーも装備。ライダーシートはボルト2本で着脱可能だ。 [写真タップで拡大]
[△] 足回りに対する不満は社外品で解消できそう
レースベース車としても人気というだけあり、パフォーマンスアップを目的とした社外パーツが多数存在する。サスに関しては、ペースを上げると前後とも減衰力不足が露呈するが、こうしたパーツを換装することで解消できる可能性は大きい。
[こんな人におすすめ] 適合前後での印象差は少なく納得して買える
同じ原付二種でもダックス125などホンダのレジャー系とは真逆の、スポーツライディングに特化したのがGSX-R125であり、シリーズのDNAをヒシヒシと感じる。価格は3万7400円上昇したが、この唯一無二の走りは試す価値大!
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