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マセラティ・レヴァンテ V8ウルティマへ試乗(2) 妥協も許せる豊潤なソウル メカニカルな感覚

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マセラティ・レヴァンテ V8ウルティマへ試乗(2) 妥協も許せる豊潤なソウル メカニカルな感覚

豊潤なソウルとメカニカルな味わい

マセラティ・レヴァンテの最高出力は、4気筒ガソリンターボのマイルド・ハイブリッド、GTで330ps。スターター・ジェネレーターが組まれ、荷室フロア下の駆動用バッテリーへ運動エネルギーが回収される。0-100km/h加速時間は、6.0秒と充分だ。

【画像】「フェラーリ製V8」を限定搭載 マセラティ・レヴァンテ V8ウルティマ 競合クラスのSUVと比較 全167枚

V6ツインターボのモデナは、430ps。0-100km/h加速を5.2秒でこなす。

これはフェラーリ由来のユニットで、アルファ・ロメオのクアドリフォリオ用エンジンと同系統になり、反応は鋭敏で回転上昇は意欲的。パワーデリバリーも滑らかだ。サウンドもモダンでエキゾチック。スポーティな印象を補強している。

対して、同じくフェラーリ製V8ツインターボを積むレヴァンテ V8ウルティマでは、4.0秒を切る。かつての自然吸気ユニットほど魂を揺さぶるものではないが、スムーズで素晴らしいサウンドも響かせる。

ストロークの長いアクセルペダルを使い切れば、本物の高性能SUVであることを実感する。アルファ・ロメオ・ステルビオ・クアドリフォリオほどの攻撃性は感じられないが、より上質で角の取れた、マセラティの個性とも一致している。

トルクは豊かで、トラクションも見事。48-112km/hの中間加速を、4.5秒でこなす。V8ディーゼルエンジンの、アウディSQ7へ匹敵する鋭さだ。

より多い予算を準備すれば、一層の速さも手に入るはず。しかし、豊潤なソウルやメカニカルな感覚、優れたマナーなどを備えるモデルは、この価格帯では非常に限られる。

大型SUVとして優れる乗り心地と操縦性

乗り心地と操縦性は、大型SUVとして優れる。クラストップのカイエンのように驚くほどではないものの、登場から8年が経過しても平均以上の仕上がりにある。

エアサスペンションはスピードに応じて車高を自動的に調整し、コンフォート・モード時はしなやかで穏やか。ただし、高速域でのロールは大きめ。段差を越えると、若干跳ねるような揺れが残る。

スポーツモードへ切り替えると、ステアリングホイールの重み付けが増し、姿勢制御も引き締まる。乗り心地は明確に硬くなり、強めの衝撃が届くことも。

後輪操舵システムは備わらず、2160kgの車重が巧みに隠されるわけではない。リアタイヤ主導の四輪駆動システムは、厳しい路面状態での能力に多少の制限を生んでいる。

だが、グリップ力と姿勢制御は充分に優秀。ステアリングホイールには、ドライバーの気持ちを刺激するような感触も伝わってくる。レシオがクイックとはいえず、タイトコーナーでは、予想より思い切って手を動かす必要があるけれど。

パワーの発生は滑らかで、狙ったラインをしっかり辿れる。リミテッドスリップ・デフは、アクセルペダルの加減でのスタンス調整までは叶えていない。スタビリティ・コントロールをオフにしパワーを加えていくと、穏やかにアンダーステアへ転じる。

それでも、高めの速度域でカーブの連続する道を流す体験は、非常に楽しい。マセラティのSUVとして、もっと躍動的な個性が備わっていても良いとはいえ。

スタイリングとフェラーリのV8へ惹かれる

快適に長距離をこなす、グランドツアラーとしての能力も低くはない。ただし、外界との隔離性は、もう少し高める余地はあるだろう。

8速ATは、Dポジションのままで望み通りの変速を披露。マニュアルモード時は、よりクイックな反応を求めてしまうものの、全般的に滑らかに処理される。

高速道路では、タイヤノイズが大きめで、エンジン音も小さくない。気になるなら、V6ツインターボ版を選べば、110km/h前後を静かに走れる。その条件での車内ノイズは68dB。ランドローバー・レンジローバー・スポーツSVRより、1dB大きい。

燃費は、4気筒のマイルド・ハイブリッドで10.0km/Lがうたわれ、V6ツインターボでは8.1km/L。580psのV8ウルティマは6.9km/Lと伸びないが、値としてはアストン マーティンDBX707などへ並ぶ。

レヴァンテが属する大型プレミアムSUV市場は、選択肢の幅が広がる一方。8年前より、競争は一層激しくなっている。スタイリングは魅力的で、素晴らしい歴史を持つブランドではあるが、多数の競合の中では更なる強みが備わっていてもいい。

フェラーリ由来のV8エンジンを搭載したV8ウルティマへ、強く惹かれることには納得できる。動的能力や人間工学的に、多少の妥協は存在する。それでも、目を引く存在感と相まって、強い独自性を我が物にできるはずだ。

◯:魅力的なスタイリング V8ウルティマの熱いエンジン 華やかでエモーショナルなインテリア
△:操縦性や乗り心地のバランス 設計の古さを感じさせる人間工学 限定的なエンジンの選択肢

マセラティ・レヴァンテ V8ウルティマ(欧州仕様)のスペック

英国価格:16万625ポンド(約2972万円)
全長:5005mm(標準レヴァンテ)
全幅:1981mm(標準レヴァンテ)
全高:1693mm(標準レヴァンテ)
最高速度:304km/h
0-100km/h加速:3.8秒
燃費:6.9km/L
CO2排出量:313g/km
車両重量:2160kg
パワートレイン:V型8気筒3799cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:580ps/6750rpm
最大トルク:74.2kg-m/2250-5250rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

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