アウディがザウバー・グループの株式を100%取得するという決定は、彼らがF1プログラムを重視していることの明確な意志表示である。
自動車メーカーのアウディがザウバーの株式を100%所有することで、ザウバーは自動車メーカーが完全所有するF1チームとなるが、これはフェラーリと同じ状況だ。メルセデスはその名を冠してレースをしているが、所有するチームの株式は33%だ。アストンマーティンは、所有権は主にローレンス・ストロールが握っているが、彼にはともに投資を行う多くのパートナーがいる。アルピーヌも、多数の投資グループに売却することで、チームの株式は希薄化されている。
アウディが2026年F1参戦に向け、ザウバー・グループの完全買収に合意
アウディのF1プログラムへの取り組みをめぐり、何カ月にもわたって憶測が飛び交った後で、ザウバーのオーナーであるフィン・ラウジングとの最初の契約を超える決定がなされたことは、アウディがこのプログラムの重要性に疑いを持っていないことを証明している。当初の契約では、アウディは2025年初頭からザウバー・グループの株式の75%を所有することになっていたのだ。
さらに驚きなのは、ラウジングはアウディとチーム経営陣に対し、ザウバーの少数株を保持して長期的に取締役会に留まるつもりであることを明らかにしていたものの、F1から撤退することを受け入れたことだ。数字は公表されていないが、ラウジングは18カ月前に合意した75%の株式よりも、彼がまだ所有しているチームの25%の株式についてはるかによい取引をすることができたと考えられている。
直ちに有効となった新たな契約のもとで、アウディはザウバー・グループのレーシングチームとテクノロジー部門を全面的に掌握し、どのような投資を早急に行う必要があるのか、どの部門で人員を増員する必要があるのかについて、すでに完全な分析を終えている。
チームがどの分野で人的および財政的投資を必要とするのかを特定することは、アウディF1チームのCEOに就任することになるアンドレアス・ザイドルの最初の仕事であり、彼は3年ですべてを整えることになっていたが、その期限は18カ月前倒しされた。すべてのことが6月末までに整うか、少なくとも取り組みに必要な資金がそろうはずだ。
アウディがF1に参入する前に撤退するという話が2、3カ月ごとに出るなど、ライバル各社がドイツの金融メディアで煽り続けた根強いうわさにアウディは少々邪魔立てされたが、今や憶測に終止符が打たれた。スイスを拠点とするチームにとってのもうひとつの利点は、アウディがF1に長期にわたって参戦することに疑いの余地がなくなったことで、トップクラスのエンジニアをヒンウィルに引き付けることが容易になることだ。そのような状況になったのは、2006年から2009年までの、BMWのマネージメント下での4シーズンだけのことだった。
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