◆国別開催はイギリスと日本のみ
決められた1車種のみしか参加が許されない、イコールコンディションのガチンコレースというイメージが強いワンメイクレース。スポーツカーの世界最高峰ブランドであるフェラーリのそれも、イコールコンディションが徹底されたレースとして知られる。その名も「フェラーリ チャレンジ」。1993年から始まった、歴史あるワンメイクレースだ。
そのフェラーリ チャレンジが、2023年より日本でも開催されることになった。12月13日にフェラーリジャパンが発表した、23年に開催されるフェラーリ チャレンジのシリーズは全世界で4つ。ヨーロッパと北米の2地域、そして国ごとの開催となるイギリスと日本の計4シリーズだ。
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国単位としては、イギリスに続く2つ目の開催国として選ばれた日本。理由はいくつかあるそうだが、オーナー側からの要望が強かったという点と、参戦可能車両が60台近く日本には現存している点が特に重要視されたようだ。
日本での開催イベントは5つで、それぞれ2ヒート制の2レース開催となる。参加台数は各レースで20台前後を予定しているようで、エントリーは2イベント以上参戦が条件。フェラーリ チャレンジは、ジェントルマン(アマチュア)ドライバーのみで争われるシリーズなので、プロのドライバーは一切参加できない。海外イベントではないため、国際ライセンスではなく国内A級ライセンスが必要となる。
◆価格相当!? 驚くべき参戦パッケージの内容とは?
フェラーリ チャレンジは、その内容にも驚かされる。参戦パッケージには、レースに必要なあらゆるものが含まれているからだ。以下がそのパッケージの内容となる。
・各ラウンドのエントリーフィー
・コース利用料 フリープラクティス1時間/予選・決勝 各30分
・予選・決勝用ピレリタイヤ 2セット
・ラウンドのセッションで使用する燃料
・フェラーリ オフィシャル インストラクター1名
・レースエンジニア/メカニックサポート
・スペアパーツサポート
・オフィシャルレーシングスーツキット&カジュアルウェア
・チェンジングルーム(更衣室)/パーソナルロッカー/ランドリーサービス/ヘルメットドライヤー
・セラピストマッサージ
・ウェルカムディナー/ホスピタリティ/ケータリング2名分
まさに至れり尽くせりのサービスである。タイヤと燃料が含まれているのに加え、オフィシャルドライバーによるコーチング、そしてフェラーリのセミワークスでもあるAFコルセのチームスタッフがエンジニアとチーフメカニックとで、イタリアからサポートに来てくれる。参加者がサーキットへ持っていくのは、ヘルメットと安全装置のHANSだけという気軽さだ。
参戦車両の488チャレンジEVOは、AFコルセのスタッフによって完璧なイコールコンディションになるようメンテナンスされ、サーキットに送られる。参加者のセッティング範囲ももちろん決められているので、調整も含めAFコルセのメカニックが手がけてくれる。
気になるパッケージの金額は、1イベントで370万円。5イベントフルで参戦すると1360万円となる。額面だけで見れば驚くほど高額なエントリーフィーにも思えるが、その内容を見るとむしろリーズナブルに感じるほどだ。こんなに贅沢なサービスが受けられるのも、フェラーリ チャレンジならではと言える。
ただし、参加するには当然ながら車両が必要となる。ジャパンシリーズでは、基本的にオーナーを対象にしているため参戦車両を保有していないとエントリーできない。レンタルなどの制度は行っていないので、所有していない人が出場するにはまずチャレンジ車両を購入するところから始まる。
現在の参戦車両は、会場にも展示されていた488チャレンジEVOだが、この日の発表会の場では車両価格や購入可能かとどうかといったことは明言されなかった。もうすでに、完売してしまっている可能性も考えられる。となると、次期チャレンジ車両を狙うしかないのだが、おそらく296 GTBをベースにするであろう次世代型に関するアナウンスは未だ明らかにされていない。
世界最高峰のスポーツカーブランドが運営する、世界最高レベルのワンメイクレース「フェラーリ チャレンジ」。フェラーリ自身が自ら、このシリーズは純粋なレースではなくオーナー同士などの交流を目的としたクラブイベントであると明言している通り、世界一贅沢なクラブ活動とも言えるチャンピオンシップだ。そこに参加できる人は、ごくわずかな人のみである。
<文・写真=青山朋弘>
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