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“世界一過酷”なダカールラリーに挑むトヨタGR、新加入のモラエスが競技3日目に今大会初のステージ優勝

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“世界一過酷”なダカールラリーに挑むトヨタGR、新加入のモラエスが競技3日目に今大会初のステージ優勝

 1月5日(金)に中東のサウジアラビアで開幕したW2RC世界ラリーレイド選手権第1戦『第46回ダカールラリー』に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing(TGR)。計5台のトヨタGRダカールハイラックス・エボT1Uを投入する、過去最大規模のチーム体制で2022年、23年大会に続く3連覇を狙うTGRは、8日(月)に行われたステージ3で今大会初のステージウインを飾った。

 この勝利は昨年、ダカールラリー初参戦ながら総合3位となったブラジル人ドライバー、ルーカス・モラエスによってもたらされたもので、彼にとってもキャリア初のステージ優勝となった。そのモラエスとアルマンド・モンレオンのペアは、ステージ3を終えた段階でトップと10分以内の総合4番手につけている。

トヨタGRのモラエス、初ステージウイン。サインツに代わりアル・ラジが総合首位に【ダカールラリー】

 残る4台のハイラックスを駆る4つのペアも、現在ラリーの総合首位に立っているヤジード・アル・ラジ(オーバードライブ・レーシング/トヨタ・ハイラックス・オーバードライブ)から1時間以内の差で総合トップ20圏内で上位争いを繰り広げている。TGR各クルーの順位とステージレポートは以下のとおりだ。

■ダカールラリー2024 ステージ3終了時点の総合結果
総合順位ドライバー/コ・ドライバー首位との差4番手#206 ルーカス・モラエス/アルマンド・モンレオン組9分17秒11番手#216 セス・キンテロ/デニス・センツ組27分18秒14番手#209 ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組36分56秒17番手#243 ガイ・ボッテリル/ブレット・カミングス組46分14秒18番手#226 サオード・ヴァリアワ/フランソワ・カザレ組55分38秒

* * * * * * *

【プロローグ】
 ラリーがスタートする前日の1月5日(金)、サウジアラビア北部の都市アルウラのビバーク地で、GRダカールハイラックス・エボT1Uを含む四輪車、二輪のオートバイ、四輪バギー、トラックなど総計300台以上によるスタートセレモニーのあと、周辺に特設されたコースで、翌日ステージ1のスタート順を決定する、プロローグランが行われました。27kmで争われたこのプロローグランではセス・キンテロ/デニス・センツ組が2番手と好タイムをマークしました。

【ステージ1】
 1月6日(土)のステージ1は、アルウラからアルヘナキヤへ向かう競技区間414km、総走行距離541kmで争われました。TGRのGRダカールハイラックス・エボT1Uは、5台のうち4台がトップ10フィニッシュ。中でも、プロローグランで苦戦したジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組は、68番手と後方スタートを強いられながらも、ライバル勢をごぼう抜きし、一気に先頭集団へと浮上。マイナートラブルにより僅かにタイムをロスするも、TGR勢最上位となる、首位と9分18秒差の3番手でフィニッシュしました。

 モラエス/モンレオン組は順調なペースで走行も、ステージ中盤手前で右フロントのパンクに見舞われました。しかし、すぐに追い上げを開始し、13分25秒差の6番手。ガイ・ボッテリル/ブレット・カミングス組は初のダカールスタートで素晴らしい走りを見せ、一時は2番手を走行。しかし、ステージ終了直前にサスペンションパーツのトラブルに見舞われ、7番手フィニッシュとなりました。

 ダカール史上最年少ワークスドライバーであるサオード・ヴァリアワ/フランソワ・カザレ組も、初めてのダカールながら最初のステージをノートラブル、ノーパンクで走り切り、トップ10フィニッシュを果たしました。2番手からスタートを切ったキンテロ/センツ組は序盤パンクに見舞われるも、その後慎重な走りで19番手フィニッシュ。とは言え、まだトップとの差は23分と充分に上位を争える位置につけています。

【ステージ2】
 1月7日(日)のステージ2は、アルヘナキヤからアルダワディミへ向かう、競技区間463km、総走行距離655kmで争われました。車両の巻き上げる砂埃による視界不良と、困難なナビゲーションにより厳しい戦いとなったこのステージでは、TGRのキンテロ/センツ組が首位と3分11秒差の3番手でフィニッシュ。期待の若きアメリカ人がその才能とGRダカールハイラックス・エボT1Uの速さを披露し、総合でも4番手に浮上しました。

 モラエス/モンレオン組も前日に続き強さを見せ、9番手フィニッシュ。彼らは6番手と早いスタート順だったこともあり、他の上位スタート車両と共にコースを切り拓いていく、ナビゲーションで困難な闘いを強いられました。しかし、タイムロスを最小限に抑えたモラエス/モンレオン組は首位と17分51秒差でステージを終え、首位とは12分差の総合8番手につけました。

 ルーキーのボッテリル/カミングス組はこの日も安定した走りで13番手フィニッシュ。一方、ベテランであるド・ヴィリエール/マーフィ組は3番手と早い位置でのスタートとなり、コースを探しながらの走りでタイムをロス。さらにタイヤがリムから外れるアクシデントでホイール交換も余儀なくされてしまいました。このタイムロスにより、ド・ヴィリエール/マーフィ組は首位から30分ほど遅れ22番手でフィニッシュ。総合では14番手に後退。

 11番手からスタートを切ったヴァリアワ/カザレ組は、先行車の巻き上げる砂埃による視界不良に見舞われ苦戦。39分26秒遅れの31番手でフィニッシュし、総合では35分差の19番手となりました。

■ダカールラリーのステージ初勝利に「本当に信じられない!」

【ステージ3】
 1月8日(月)のステージ3は、アルダワディミからアルサラミヤへ向かう競技区間438km、総走行距離733kmで争われました。このステージ3から4にかけては「ミニ・マラソン」ステージとして、ステージ終了後、メカニックの作業は2時間に制限。ドライバーとコドライバーはリモートビバークでサポートなしでキャンプし、ステージ4に臨むことになるため、これまで以上に慎重な走行が求められました。

 このステージ3では、モラエス/モンレオン組がトップでフィニッシュ。400kmを越えるステージを走り切り、たった9秒という僅差でTGRに今大会最初のステージ優勝をもたらしました。W2RC世界ラリーレイド選手権にもシリーズ参戦するモラエス/モンレオン組にとっては、各ステージで得られるシリーズポイントにおいても重要な勝利を飾ることとなりました。また、このステージ優勝により、モラエス/モンレオン組は3ステージを終えての総合順位も、トップから9分17秒差の4番手へと浮上しました。なお、この時点での総合首位は、トヨタ・ハイラックスT1Uでプライベート参戦しているヤジード・アル・ラジ/ティモ・ゴットシャルク組(オーバードライブ・レーシング)となっています。

 ド・ヴィリエール/マーフィ組は2度のパンクに見舞われ大きくタイムロス。タイヤ交換作業中に追い越された車両の巻き上げる砂埃にも苦しめられることになりました。ド・ヴィリエール/マーフィ組は首位のモラエス/モンレオン組から遅れること19分42秒の16番手でフィニッシュ。総合順位では36分56秒差の14番手につけています。

 キンテロ/センツ組はさらに1回多い、3度のパンクに見舞われ、2本積んでいるスペアタイヤを使い切ったため、チームメイトの助けを待つこととなりました。幸運にもすぐにモラエス/モンレオン組が到着し、スペアタイヤをチームメイトに提供、モラエス/モンレオン組にとっては僅差のステージ優勝を逃すところでしたが、キンテロ/センツ組はチームメイトの助けによりタイムロスを最小限に走行を継続し、終盤は慎重な走行となるも、22分42秒遅れの17番手でフィニッシュ。このタイムロスにより、キンテロ/センツ組は総合でトップ10から脱落。首位から27分18秒遅れの11番手へと後退することとなってしまいました。

 TGRのもうひとりの若手、ヴァリアワ/カザレ組にも試練が待ち受けていました。ヴァリアワ/カザレ組はこの日40番手と後方からのスタートだったため、遅い先行車の巻き上げる砂埃に苦しめられました。また、2度にわたってチェックポイントを見失って戻ることを余儀なくされました。それでも23分37秒遅れの21番手でフィニッシュし、総合でも18番手につけています。

 ボッテリル・カミングス組は初のダカールながらここまでの2ステージは素晴らしい走りを見せてきましたが、ステージ3では苦戦を強いられました。ステージが始まって50kmほどのところで最初のパンクに見舞われ、100kmを過ぎた地点でも2度目のパンク。これでスペアタイヤを使い切り、完走のために慎重な走行に切り替えざるを得ませんでした。しかし、フィニッシュまで残り150kmというところで3度目のパンク。幸運にもこの時は完全に空気が抜けきる症状ではなかったため、クルーは何度も車両を停めてタイヤに空気を補充しながらの走行を強いられるも、なんとかこのステージを走り切りました。31分53秒遅れの32番手でのフィニッシュも、総合では17番手に留まっています。

 ステージ3を終え、メカニックは翌ステージ4へ向けて2時間のみに制限された修復・整備作業を終えました。ドライバーとコドライバーはチームサポートのいないリモートビバークでキャンプを行い、ステージ4に挑みます。ステージ4はアルサラミヤから198kmの移動区間を経て、ダート路面が主で小さな砂丘地帯が混ざる299kmの競技区間を戦い、201kmの移動区間を経てアルホフフのビバークへと向かいます。

■ステージ3終了時のコメント
●シャミア・ヴァリアワ(SVR:シャミア・ヴァリアワ・レーシング代表)
「ダカールでのステージ優勝は良いことで、非常にタフなステージにもかかわらず勝利を掴んだルーカス(・モラエス)とアルマンド(・モンレオン/コドライバー)を祝福する。他のクルーたちはタイヤのパンクに苦しみ、厳しい一日となってしまったが、それでもメカニカルな問題もなく2時間に制限されたサービスに戻ってこられたのは良かったと思う」

「期待していたよりはやや順位が後退してしまったが、今大会は序盤から特に厳しい戦いが続いており、そんな中で大きなトラブルなくここまで全車両が走ってこられたことは、我々のGRダカールハイラックス・エボT1Uの強靱さを証明していると思う」

●ルーカス・モラエス 206号車
「(ステージ優勝は)本当に信じられないよ! 今日の勝利はアルマンド(・モンレオン)のおかげだ。ナビゲーションは本当に難しかったが、我々は狙い通りの走りができた。パンクもなく、クルマを着実に良いリズムで走らせられたのが良かった。とにかくアルマンドが素晴らしかったですし、チームのみんなにも感謝している。一日一日、走り続けるだけだ」

●セス・キンテロ 216号車
「今日は不運にもパンクに見舞われてしまい、正直なところいい日ではなかった。しかし、まだ先は長いし焦ってはいない。大きなタイムロスはしていないし、順位もそんなに悪くないからね。今日はちょっと不運だったけど、幸運が巡ってくることを祈るよ」

「明日は良い走りができることを願っているが、あまり浮き沈みの激しい戦いは望んでいない。プロローグ、ステージ2と1日おきに表彰台フィニッシュは果たしているので、明日はまた表彰台に戻れると思うし、残りのラリーもその調子を維持していきたいね」

●ガイ・ボッテリル 243号車
「我々にとっては非常に厳しい一日だった。50kmほどの地点でパンクに見舞われ、さらに100kmほど行ったところでもパンクし、スペアタイヤを使い切ってしまったんだ。残り130kmほどでさらなるパンクに見舞われまたが、タイヤ空気圧の監視システムで、スローパンクチャーなことがわかったので、何度も車両を停めてタイヤに空気を充填して走り続けることができた。今日はラリーではなくサバイバルの一日だったよ」

●ジニエル・ド・ヴィリエール 209号車
「今日も大変だった。残念ながら、我々は70kmを過ぎたところで2度のパンクに見舞われ、今日のラリーは終わってしまった。その後は砂埃の中でクルージング走行するしかなかったんだ。さらなるパンクは絶対にできなかったので、プッシュすることは不可能だった。終わりの見えない状況で、非常にフラストレーションの溜まる一日だったね。とはいえ、最後まで走り切ることができて良かった」

●サオード・ヴァリアワ 226号車
「ここまでの3日間、本当に大変だった! 今日は上位との差を詰めるべく、競技区間でペースを上げていくつもりだったんだ。序盤はそれができ、何台もパスすることができた。けれど、残念ながらふたつほどトリッキーなチェックポイントがあり、かなり時間をロスし、最後のチェックポイントも見つけられなかった。渓谷を戻ったことで、ライバルにパスされ、その後は彼らの巻き上げる砂埃にも苦しむことにもなってしまった」

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