DIYオールペイントは1日あればできる!
「クルマのボディカラーって、定番色ばかりでつまらない」「もっとオリジナリティのある色が選べたら楽しいのに」と思ったことはないだろうか。また気に入っていたボディカラーでも、10年もすると退色がはじまり、クリアが剥がれて表面がカピカピになってくることも避けられない……。
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こうしたとき、業者にオールペンを頼むとコンパクトカーや軽自動車でも20万円ぐらいはかかってしまう。また色の塗り替えや再塗装には心理的な壁があるかもしれないが、もっと気軽にオールペンが楽しめれば、カーライフはさらに楽しみが広がるはずだ。
そう思って調べてみると、スプレーやエアブラシではなく、ローラーと刷毛(ハケ)を使ったオールペンなら簡単・安価にできるというものがあった。物は試しということで、塗装がくたびれて修復を悩んでいた平成元年式のロードスターでチャレンジしてみたので、レポートをお届けしよう。
全塗装に必要な道具はセットで購入できる
使ってみたのは、「タカラ塗料」の刷毛塗り全塗装用のカーペイントだ。その最大の特徴は、艶消しの塗料を使うことで、素人がローラーや刷毛で塗っても、色ムラができない(目立たない)というところ。流行りのつや消しカラーがDIYでのオールペンのネガティブな部分をフォローしてくれるのは盲点だった。提案色は23色が用意されていて、選択肢は意外に広いのもありがたい。
準備するものは次の通り。外装のオールペンに必要な塗料は、軽自動車、スポーツカー、コンパクトカーでおよそ3kg、大型の乗用車やワンボックスで4kgぐらいが目安だという。一番手頃な乾燥する時間の早いラッカータイプの塗料なら希釈用のシンナーとセットで3kg=9000円ほどで入手できる。
さらに今回は、「タカラ塗料」の刷毛やローラー、マスキングテープ、サンドペーパー、下げ缶、ウエス、手袋などがセットになった、「刷毛塗り全塗装用 刷毛ローラーセット」を購入。これで、基本的に必要なものを全部揃えることができた。ざっと合わせても約16000円なので、2万円でおつりが来る計算だ。
また塗料は同じ色でも、ラッカー、2液ウレタン、水性の3種類から選べるというからお好みを選択。ちなみにカラーは「パンプキンスープ」(ラッカー)という色をチョイスしてみた。気になるDIYでのオールペンの手順は下記の通り。
【工程01】洗車
まずはボディの埃や汚れを水洗いする。
【工程02】マスキング
ライトやウインカー、ドアノブ、ガラズの縁、タイヤ、ウォッシャー液のノズル、ドアミラーの鏡など、色を塗る必要がない部分は、マスキングテープと新聞紙などを使ってしっかり養生。マスキングテープをしっかり貼り付けないと塗料がはみ出て悲惨になるので要注意。
【工程03】足付け
塗料が定着しやすくなるように、サンドペーパーで表面に小傷を付けておく。純正塗装の上から塗装することを想定した塗料なので、元の塗料を剥がさなくても大丈夫。表面が曇るぐらいでOKだ。ただ、クリア塗装が剥がれている場合は、剥がれたところとそうでないところの段差が指で触ってなくなるまで、ペーパーをかけて平らになるようならしておく。
ペーパーをかけたら、削った粉を一度洗い流したほうがベター。サンドペーパーは、#600の耐水ペーパーがちょうどいい。今回は電動サンダーを使って、省力化してみたが、これはおすすめ。
朝の9時頃から用意しはじめて、だいたいここまでで午前中が終了! 昼食を挟んで午後から後半戦へ。
【工程04】脱脂
塗装前には、手袋をし、ウエスにしみこませたワックスオフ(脱脂用のシンナー)で塗装面の脂分や手垢を除去するのが基本中の基本。脱脂が不十分だと色を塗ったときに“はじき”が出るので重要な作業。毛くずのでるタオルやペーパータオルなどでこの作業をやると、逆に埃がついてしまうので要注意。洗濯済みの古いTシャツなどが一番だ。
【工程05】塗料の準備
塗料の缶を開け、よくかき混ぜてから下げ缶の中の内容器に塗料を入れ、指定の割合で塗料を薄め液で希釈する。(ラッカーの場合、薄め率は1:1ぐらい)
【工程06】塗装本番
これで下準備が終わったので、ここからが本番。広い面はローラーで塗って、細かいところは刷毛を使う。ムラができないようにするには、小まめによく塗料をかき混ぜ、一度にたくさんの塗料をつけないように容器の縁などで、ローラーを拭ってから何度も塗るつもりで薄く均一に塗ること。かすれるぐらい薄く塗っては乾かし、乾いたら重ね塗りをして仕上げていく。
3回ぐらい重ね塗りをすれば、かなりきれいになってくる。
完成
隅々まできれいに塗れたら(塗り忘れ箇所がないかよく確認を)、半乾きの状態でマスキングテープを剥がす(完全に乾くと、マスキングを剥がすときに塗膜が一緒に剥がれることも……)。ラッカーの場合、およそ1時間乾燥させれば走行可能!(水性・2液ウレタンの乾燥時間は2~4時間)
所要時間は脱脂から塗装、マスキングを剥がすまでにだいたい3時間半ぐらい。全行程で6~7時間だったので、丸一日あればここまでできる。風がなくて、雨の心配がない日を選んでやれば、とくに難しいことはないはずだ。
アイデアとセンス次第でオーナーのキャラクターまで表現できる
さて、仕上がり具合は、さすがにプロのようにツルツル・ピカピカとまではいえないが、当初予想していたよりははるかに満足できるレベル。何より色が変わっていく過程が楽しかったのが収穫だった。友達や仲間、家族で作業を行なえばもっと楽しいだろうし、回数をこなせばもっと手際よく美しく仕上げられるはずなので、定期的に塗り直したり、気が向いたら別の色に塗り替えてみるのも面白いはずだ。
単色でなくツートンに塗り分けたりするのも自由なので、補修というよりカスタマイズの一環としてオールペンを気軽に楽しむのはアリだと思う。オリジナルのボディカラーにすれば愛着も湧くし、アイデアとセンス次第で、オーナーのキャラクターまで表現できるのは魅力的。
神経質な人には向かないかもしれないが、コストパフォーマンスは文句なしで、ダイナミックかつおおらかにDIYオールペンで遊んでみよう。
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みんなのコメント
ガソリンに強いのは二液ウレタンだがシンナーがラッカーに比べ格段にキツいので有機溶剤用防毒マスクが必須。硬化剤も毒性あるし。