「手ごろな価格で便利なクルマ」こんな条件で探すならば、まずはコンパクトハッチが筆頭候補に挙がるだろう。ここで取り上げる3モデルは、いずれも自信を持ってオススメできる実力モデルだが、それぞれに得手不得手が存在しているのも事実。ここでは3モデルの強みと弱みをお教えしよう。
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●文:月刊自家用車編集部(ハラ)
【キャビン&荷室】広さや使い勝手はフィットとノートがリード
3モデルは、ボディサイズはほぼ同等といっていいが、キャビン&荷室の設計思想は微妙に異なる。
まずキャビン周りを一番便利に使えるのはフィットだろう。ホンダ独自のセンタータンクレイアウトがもたらす低床設計により広々としたキャビンを実現。ちょっとした荷物を置く時に便利な座面チップアップを備えるなど、荷室を含めた積載性は比較3モデルの中では一歩リードしている。ドライバー視点でもボディ4隅の見切りに優れるパッケージもあって運転感覚がつかみやすい利点を持つ。リュクスやクロスター、RSならば内装加飾の良さも魅力だ。
ノートは、質感と居心地を兼ね揃えたキャビン設計が強み。内装加飾を上級仕立てにすることでプレミアム感を押し出すノート オーラには及ばないものの、ノートのキャビンもクラス平均を超える質感を持っている。後席のゆとりも十分な広さが確保されており、ロングドライブをまったく苦にしない。キャビン機能の充実ぶりに比べると荷室は特筆する部分は少ないが、大人4名が寛げるという視点では筆頭にくる存在だ。
アクアは、乱暴にいってしまうとヤリス比で後席スペースを拡大したモデル。居住性はヤリスや先代アクアを超えているが、フィットやノートほどの余裕は感じられない。後席が窮屈というわけではないが、フロント2席を優先したパッケージだ。ドライバー視点では広さの余裕や操作性の良さ、広めのウインドウによる運転のしやすさがあるが、キャビン&荷室のユーティリティ機能は平凡といえる。
―― 画像はノート。 [写真タップで拡大]
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【パワートレーン&走り】実力は正直、横一線。クラス離れした走りが楽しめる
フィットはガソリン車とハイブリッド車が選べるが、ノートとアクアはハイブリッド車のみの設定。フィットのガソリン車は性能面で少し見劣りしてしまうので、ハイブリッド車同士で比較するのが自然だろう。
比較3モデルのハイブリッド車は、いずれも最新仕様に近いシステムが採用されており、コンパクト級モデルとしてはトップレベルの実力を持つ。街中中心ならば動力性能面で優劣はつけ難いのが実情だ。
差が出るのは高速走行時の余力感と燃費性能。
最もバランスが良いのはアクアで、ヤリス譲りのシャシー性能のおかげで高速域でも安定した走りを披露してくれる。搭載する1.5Lハイブリッド(91PS/12.2kg・m【エンジン】+58kW/141Nm【モーター】)は、バイポーラ型電池を採用したことで大出力駆動にも対応。アクセル入力に対する反応も高まっている。燃費性能(30.0km/L~※WLTC総合モード燃費)もトップレベルということも見逃せない強みだ。
ノートに搭載される1.2Lのe−POWERは、85kW/280Nmを発揮する高出力モーター仕様。電動走行がもたらす爽快な走りは大きなアドバンテージになっている。ちなみにリヤ側にも駆動モーターを配置する4WD車は、オンロードでも効果を実感できる高性能仕様という位置づけだ。ただし、高速走行などでモーターに負荷がかかってくると、電力消費も高くなることで燃費も伸び悩む傾向が強まる。ハイブリッド車としてはことさら燃費の良さを主張するモデルではない。
フィットに搭載される1.5Lのe:HEV(106PS/13.0kg・m【エンジン】+90kW/253Nm【モーター】)は、市街地走行はモーター駆動で走るが、高速走行時はエンジン駆動に切り替わることが特徴。ハイブリッド車が苦手としている高速走行をまったく苦にしないことが強み。駆動モーターも昨年のマイナーチェンジ時に出力向上が図られ力強さが増している。燃費は23.5km/L~(※WLTC総合モード燃費)になる。
―― 画像はアクア。 [写真タップで拡大]
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【装備機能】安全運転支援機能と車載ITの設定に違いあり
いまやクルマの基本装備になる安全運転支援機能は、各モデルごとに機能の組み合わせが若干異なるが、おおよその機能に関しては大差ない。異なるのはグレードごとの装着設定になる。
ノートはプリクラッシュブレーキやLKAなどの安全系の装備は一通りが標準装備されるが、高速道路上で操舵支援を行うプロパイロットはOPで選ぶことになる。フィットやアクアが標準装着されていることを考えると、少し残念な設定だ。
ナビやオーディオ機能を統合する車載ITも差がある部分で、アクアはグレードによってモニターサイズが異なってくるが、通信連携機能を備えるディスプレイオーディオは全グレードに標準装備。一方、ノートとフィットは対応する純正ナビシステムをOPで選ぶことになる。ただ、ディスプレイオーディオで独立型ナビ機能を使用する場合はOPで追加する必要があるため、同等の機能揃えで車載ITを選んだ場合だと、実質価格で大きな差は出ないだろう。
―― 画像はフィット。 [写真タップで拡大]
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予算と自分のライフスタイルに合わせて好きなクルマに乗ればいいだけの話ですよね。