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今よりもかなり個性的なモデルばかり? 1980年代の定番軽自動車5選

掲載 更新 34
今よりもかなり個性的なモデルばかり? 1980年代の定番軽自動車5選

■一気に進化を果たした頃の軽自動車を振り返る

 近年、日本の自動車市場で急激に販売台数を伸ばしたクルマといえば軽自動車です。とくに、全高が極端に高く、リアに両面スライドドアを採用したハイトワゴンやスーパーハイトワゴンが市場をけん引する存在で、各メーカーの力の入れ方は尋常ではありません。

不人気にもほどがある!? ビックリするほど売れていない軽自動車5選

 現在の軽自動車の基礎となったモデルは1955年に発売されたスズキ「スズライト」といわれ、その後マイカーブームの到来によって、軽自動車は爆発的に普及しました。

 そして1980年代になると軽自動車にもターボ化の波が押し寄せ、高性能化が加速し、さらに多種多様なモデル登場したことで、さまざまにニーズに対応するようになり、現在に至ります。

 そこで、ハイトワゴン登場以前に人気だった往年の軽自動車を、5車種ピックアップして紹介します。

●スズキ「アルト」

 軽自動車という日本独自の規格はこれまで何度も改正され、ボディサイズや排気量が変化してきた歴史があります。なかでも1976年に軽自動車規格は大きく変わり、それまで360ccだった排気量は550ccへ拡大し、ボディサイズも全長3200mm×全幅1400mm×全高2000mmが上限となり、居住性や安全性が向上しました。

 この新規格に対応したモデルとして1979年に、スズキ初代「アルト」が登場。アルトは装備をとにかくシンプルにすることなどで徹底したコスト削減をおこない、価格は47万円からという驚異的な低価格を実現しました。

 FFを採用したことで室内空間を広くし、低価格でありながら移動手段としては必要にして十分なアルトは、大ヒットしました。

 そして、1984年には2代目アルトが発売。前述のとおり軽自動車にも高性能化が求められると1985年に「アルトターボ」が登場し、1987年にはパワー競争の頂点に経つ「アルトワークス」シリーズが登場します。

 アルトワークスのエンジンは550cc直列3気筒DOHCターボで、最高出力は64馬力を発揮し、これがきっかけで軽自動車の出力自主規制の上限が64馬力に設定されたほどです。

 アルトワークスの登場はセンセーショナルでしたが、やはり販売の主流はスタンダードエンジンのモデルとあって、メインのユーザーである女性向けにファンシーな仕様や、リッターカー並の3速ATの採用、快適装備の充実が図られるなど、初代アルトのような安ければ売れるという時代から様変わりしていきました。

●ダイハツ「ミラ」

 前述の初代アルトの登場は、他メーカーにも大きな影響を与えました。とくに今もスズキと覇権争いを続けるライバル社のダイハツも、アルトと同様に軽乗用車「クオーレ」の軽ボンネットバン仕様の「ミラ クオーレ」を1980年に発売しました。

 ミラ クオーレは他車種から流用した550cc4サイクル直列2気筒エンジンを搭載したことで、アルトの2サイクルエンジンを嫌う層からは、広く受け入れられます。

 そして、1985年に2代目ミラが発売されるとスズキとの争いは激化の一途をたどり、アルトターボに対抗して「ミラターボTR-XX」を追加ラインナップ。1987年には電子制御燃料噴射装置になったTR-XX EFIが登場し、1988年には64馬力を達成しました。

 一方で、ミラも女性ユーザー獲得を重視し、セゾン・グループ(当時)のファッションビル「パルコ」とコラボレートした「ミラ・パルコ」を初代からラインナップし、シリーズ化をおこなうなど、アルトよりもおしゃれなクルマという戦略を進めました。

 その後、ミラは代を重ね、2018年に7代目をもって販売を終了。しかし、ミラのコンセプトは生き続け、現在の「ミライース」や「ミラトコット」へと受け継がれています。

●三菱「ミニカ」

 前出のアルト、ミラに対抗する第3の勢力だったのが、三菱「ミニカ」です。ミニカの歴史は古く、初代は1962年に誕生。軽自動車ながら2ドアセダンというユニークなスタイルでした。

 1969年には2代目が登場し、新時代の幕開けを象徴するように「ミニカ70」の名で、スペシャリティカーの要素を取り入れたスタイリッシュな3ドアハッチバックをラインナップするなど、ライバルに対してアドバンテージを築きます。

 しかし、その後モデルチェンジを繰り返すもFRが継承され、室内空間の広さではライバルに引き離されることになり、1984年に登場した5代目ではすべてを一新してFFモデルへと生まれ変わりました。

 軽自動車初のターボエンジンを搭載した4代目から引き続きターボモデルをラインナップし、さらに軽自動車初のインタークーラーを装着するなど先進性もアピール。

 なお、三菱が早期にターボエンジンを採用した背景には、同グループの三菱重工業がターボチャージャーの製造をおこなっていたという強みがあり、三菱がターボエンジンフルラインナップ化を進めていたということが挙げられます。

 FF化したことで室内空間の広さではライバルに追いついた5代目ミニカでしたが、最高出力64馬力という上限に達するには次世代の「ミニカ ダンガンZZ」登場まで待たなければなりませんでした。

■先進メカを搭載したモデルや超個性的なモデルとは!?

●スバル「レックス」

 スバルのルーツは第二次大戦以前から飛行機製造をおこなってきた中島飛行機で、戦後に中島飛行機が解体されると1945年に富士産業と改称し、平和産業への転換が図られました。

 そして、1958年にスバルブランドの起源となる軽自動車の「スバル360」を発売。一般庶民でもマイカーを持つことを夢から現実に変えた偉大なモデルとして、日本の機械遺産にも登録されている名車です。

 その後もスバルは軽乗用車の製造を続け、1972年には新世代のモデルとして「レックス」が登場し、1981年には2代目が発売されますが、ライバルに対して売りとなるポイントは希薄でした。

 そこでスバルは、1986年に3代目となるレックスと4ナンバーのレックスコンビを発売。2代目までの旧態然としたデザインを一新し、モダンな外観へと生まれ変わります。

 ボディタイプは5ドアハッチバックと3ドアバンで、居住性はさらに向上し、1987年にはフルタイム4WDや、現在では軽自動車で主流となっているCVTを初採用するなど、新技術が惜しみなく投入されました。

 さらにハイパワー化を進めるライバルに対抗して、1988年には550cc直列2気筒OHCエンジンにスーパーチャージャーとインタークーラーを備え、最高出力55馬力を発揮する「レックスコンビ スーパーチャージャーVX」を追加ラインナップ。

 1989年には軽ボンネットバン初の4気筒エンジンとスーパーチャージャーを組み合わせ、61馬力にパワーアップが図られました。

 トルクが細い軽自動車のエンジンと低回転域から加給が可能なスーパーチャージャーは相性がよく、以降はスバルの軽自動車といえばスーパーチャージャーが定番となり、1992年に発売された後継車の「ヴィヴィオ」へと受け継がれていきます。

●ホンダ「トゥデイ」

 オートバイメーカーとして高い実績があったホンダは、1963年に同社初の4輪自動車である軽トラックの「T360」を発売し、いまに続く4輪自動車製造の歴史がスタートしました。

 T360は商業的には失敗に終わりましたが、1967年に軽乗用車の「N360」を発売。Nシリーズは大ヒットを記録し、ホンダを4輪自動車メーカーとして広く知らしめました。

 ところが、初代「シビック」をはじめとする登録車の開発・生産に注力するために、1974年に乗用タイプの軽自動車生産から撤退。

 そして1985年に、軽ボンネットバンの初代「トゥデイ」を発売し、11年ぶりとなる乗用タイプの軽自動車生産を復活させました。

 トゥデイは、ホンダが提案する新世代の軽自動車として開発され、極端に短いフロントノーズと、ボンネットのラインから後端までつながるロングルーフ、そして低く伸びやかなフォルムが特徴です。

 1981年に発売された初代「シティ」が、全高を高くすることで広い室内空間を確保していたのと真逆のデザインコンセプトで、ショートノーズと新開発のサスペンションによってタイヤをボディの四隅に配置することで、室内の前後長を長くし、広い居住空間を確保するという手法を取り入れ、それまでの軽ボンネットバンの常識を覆す発想でした。

 初代トゥデイは、ほかにはない新たなデザインを提案したことが高く評価され、ヒットを記録。パワー競争には参戦しないという、他メーカーとは異なる戦略もユニークでした。

※ ※ ※

 軽自動車の進化は、ここ10年ほどで目覚ましいものがあります。とくに安全装備や快適装備の充実は顕著で、ボディサイズや排気量を考えなければ、コンパクトカーと何ら変わらない内容です。

 一方で、価格の高騰や車両重量の増加は避けられず、これ以上の装備の充実は、軽自動車の存在意義が問われる事態になりそうです。

 いまさら初代アルトの時代には戻ることはありえませんが、今後、軽自動車のフルハイブリッド化も検討されているといいますから、改めて軽自動車の意味を考え直す時期なのかもしれません。

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みんなのコメント

34件
  • JW1懐かしい。
  • 懐かしいな。MIRA TR-XX
    ダイハツが復活してくれないから、現行アルトワークスに乗ってるよ。操る楽しさの原点を思い出させてくれる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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