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「オート三輪」にホンダエンジンをぶち込み魔改造! ヤンチャすぎるドリフトにイタリア人大熱狂

掲載 更新 3
「オート三輪」にホンダエンジンをぶち込み魔改造! ヤンチャすぎるドリフトにイタリア人大熱狂

イタリアにはオート三輪「ピアッジオ・アペ」のレースが存在

 日本にも昔は「オート三輪」があったし、タイの「トゥクトゥク」やインドの「オートリクシャー」など、まだまだ現役の国もある。そしてイタリアでも、「ピアッジオ・アペ」という三輪車が今なお販売されているのだ。

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 しかもヤンチャな走りが大好きなイタリアの国民性ゆえか、「アペ」を改造しまくってレースしている人たちもいる。そしてここ10年近くアペ・レース界の絶対王者の座に君臨しているスター・ドライバーが「ロリス・ロサーティ(Loris Rosati)」。なんと弱冠29歳のチャンピオンだ。

1948年から70年以上も続いている名作オート三輪「アペ」

 イタリアを代表するスクーター「ベスパ(Vespa)」が1946年に発売された2年後の1948年、「ピアッジオ」社はベスパのリヤを二輪にして荷台を載せた「アペ(Ape)」を発売した。なお、「ベスパ」はイタリア語で「スズメバチ」、「アペ」は「ミツバチ」の意味だ。

 アペはやがて屋根とドアを備えるようになり、バリエーションを増やしてイタリアの市街地から田園まで、あらゆるシーンに普及。1969年にボディを小型化してからは基本設計を変えないまま、なんと今でも新車で販売されている超ロングセラーである。

コマのようにクルクル回る三輪ならではのレース規程

 イタリアの走り好きたちがこの手ごろなオモチャを放っておくわけもなく、アペ専門のレースが毎年何戦も開催されている。しかも適当な草レースではなく、UISP(イタリアスポーツ連盟)に加入してレギュレーションが厳密に定義されている本格的なレースだ。まあ、重心が高い三輪車なのだから放っておけば転倒しまくって危険極まるのだから、当然といえば当然だが……。

 ベース車両のアペはエンジンが50cc2ストロークで最高出力わずか2.4psという可愛らしいスペックだが、当然みんなバイク用のエンジンに載せかえて、排気量でクラス分けされている。450cc以上のクラスがもっとも過激で、なかには「ドカティ」や「アプリリア」の1000ccエンジンを搭載する猛者もいるほど。

 当然、マトモに曲がるためにリヤのトレッドを拡大することになり、上位クラスはリヤトレッド1.8mまでOK。安全装備、ボディ剛性強化、サスペンションに至るまで、「アペ・レース」独自のチューニングが求められるわけだ。

アペとともに育って15歳でレースデビュー

 そんなアペ・レースの世界にどっぷりハマった若者が、1992年生まれのロリス・ロサーティさんだ。アドリア海沿いの街・ファーノで生まれ育ち、父がバイクレースを趣味としていたため、小さいころから週末は一緒にさまざまなレースを見ていたそうだ。

 4歳で初めてポケットバイクを手に入れ、10歳ころから「モペッド」(ペダルつきバイク)を分解して組み立てるようになりったロリスさんは、11歳のときに「アペ」に出会う。

「2004年に祖父の家の近所で、壊れたアぺが捨てられていたのを持ち帰ったのが始まりでした。さらに、イタリア北部では1991年から改造アぺのレースが行われていたことを知ってビックリしたんです。次の年には私の家の近所でレースが行われたので両親に連れて行ってもらい、そこでアぺに対する情熱が爆発しました!」

 田舎住まいなので毎日のように古いアぺで野原を走り回り、たまに捨てられていたアぺを見るとすべて家に持ち帰った結果、最終的に16台のアペを所有するほどになったロリスさん。

 15歳のときに父と一緒にレース用のアペをつくって102ccクラスでレースにデビューし、その後140ccクラスに移ってアペ・レースを続けていった。

 そして2010年の夏から、上位カテゴリーに進出するべくよりパワフルなマシンを製作することに。自宅の庭でおよそ3カ月かけてつくったマシンは、お気に入りの映画にちなんで「サエッタ」(イタリア語で“ライトニング”の意味)と名づけたのだった。

レースを4連覇してヨーロッパ中の有名人に

 ちょうどこの時期、イタリアではアペのレースが盛り上がってきたことで、2012年に本格的な選手権「アペ・プロト・エボリューション選手権(Ape Proto Evolution Championship)」が設立され、もちろんロリスさんも参戦。

 この年の経験から、駆動系を変更してさらに「サエッタ」号の信頼性を高めたロリスさんは、なんと2013年から2016年まで、4年連続でイタリア王者の座に輝いたのだ!

 愛車サエッタ号のインパクトのあるルックスと、ロリスさんのドラテク、派手なパフォーマンスはファンを増やしていった。そんななかで知り合ったイタリアのラリードライバー、パオロ・ディアナ氏が、ロリスさんを海外イベントに連れて行ってくれた。

 それがきっかけとなって、ギリシャ、ベルギー、オーストリアなどなど、ヨーロッパ各地のイベントに参加するようになり、またイベントから招待されもする、有名人になったのだった。

ホンダ製600ccエンジンを搭載してパワーアップ

「いまは年間20~30回、ヨーロッパ各地のイベントに行っていますが、ふだんは毎晩、仕事が終わってから2~3時間以上、アペの微調整をしています。大変ではありますけど、運転を楽しんで、人々にも楽しんでもらえればすべて報われますね」

 そう語るロリスさん。愛車サエッタ号のエンジンは今では「ホンダCB600F(ホーネット600)」の直列4気筒600ccを積んでいて、最高出力は約100psに達している。ちなみに「ホーネット」は英語で「スズメバチ」の意味で、イタリア語の「ベスパ」と同じだ。

「4輪のクルマでラリーやサーキットのレースもしたいと思っていますが、アペをおろそかにすることはありません。いつか世界中を旅してアペ・レースというスポーツを知ってもらい、大人も子どもも熱狂させることができるようになりたいと思います」

 ロリスさんのアペ「サエッタ」号の迫力ある走りは本人のYouTubeチャンネルで見ることができる。ぜひチャンネル登録しておこう。

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みんなのコメント

3件
  • いいな、ホンダと言うよりバイクのエンジン。
    あまりにもハイレベルで比べようが無く、羨ましいです。

    NAでリッター200馬力?!以上?? 凄すぎる。 やっぱりNAだよな。
  • ちょっとでもダートに落としたら横転待ったなしだな🥶
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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